「最近」を表す日常ドイツ語8選と、使い分けのポイント
「最近、首が痛くて」
「最近、イタリアに行ったんだ」
「最近」と言う言葉、便利でよく使っている人も多いのではないでしょうか。だから、ドイツ語でもいろいろと使いたいのですが、「最近」を辞書で引いても、以下のようにたくさんの単語やフレーズが載っています。例として、その中でも、日常でよく使われている表現を、以下にピックアップしてみます。
neulich
vor kurzem
kürzlich
letztens
in letzter Zeit
seit Kurzem
seit kurzer Zeit
neuerdings
こんなにたくさん、8表現もあります。どれも同じように使って、いいのでしょうか。それともやっぱり違いがあるの?冒頭の日本語文をドイツ語で言いたい時には、どの「最近」を使うのが、適切なのでしょうか。
この記事では、まず8種類の表現を、言い換え可能の2つのグループに分けて、根本的な違いを明確にします。そして、各グループ内にあるそれぞれの表現の微妙なニュアンスの違いを、あえて差別化した日本語訳をつけて、例文とともに紹介していきます。最後に、冒頭の日本語文には、どの「最近」を使えば、一番言いたいように言えるのか、みていきましょう。
最近「起きた」ことなのか、最近「起こっている」ことなのか
上記8つの表現は、日本語では全て「最近」と訳すことができるように、非常に似ていますが、決定的に違う点で、2つのグループに分けることができます。それは、「最近」の出来事が、(1)ある一時点で起こり、すでに完了した出来事なのか、または(2)継続的に起きていた、もしくは今もなお継続的に起こっていることなのか、ということ。
グループ1|ある1時点に起きた1つの出来事を指して使う4表現
neulich
vor kurzem
kürzlich
letztens
グループ2|最近のある期間内に継続的に起こったこと、または現在も引き続き起こっている事に対して使う4表現
in letzter Zeit
seit Kurzem
seit kurzer Zeit
neuerdings
同じグループ内の表現であれば、言い換えは基本的に可能です。とはいえ、微妙なニュアンスの違いはあります。その違いを説明するにあたり、あえて「最近」とは違う訳語をあて、差別化しながら、その違いをみていきたいと思います。
最近「起きた」ことは「neulich」など
日常的によく使われる表現。最近、自分の身の回りで「起きた」ことを表す4表現の中で1つ覚えるなら、これが一番ニュートラルでおすすめです。
Neulich habe ich einen alten Freund gesehen.
この間、昔の友達を見かけたよ。
前の「neulich 」と同じ。でも、どちらかと言うと「neulich」は私的な出来事に、「vor kurzem」は、一般的な出来事に対して使うことが多め」。
Vor kurzem hat es viel geregnet.
この間、大雨が降った。
前の「vor kurzem 」と同じだが、「vor kurzem」が口語的である一方、「kürzlich」は書き言葉でよく使われ、少しフォーマルな感じ。
Kürzlich wurde ein neues Gesetz verabschiedet.
先日、新しい法律が可決された。
最初の「neulich」はラフな場面でも、フォーマルな場面でも使えるけれど、「letztens」はもっとラフな感じ。また「最近」の幅も広く、ちょっと前の出来事にでも使えるなど、時間感覚も少しアバウト。
Letztens habe ich darüber nachgedacht.
この前、それについて考えてみたんだ。
最近「(継続的に)起こっている」ことは「in letzter Zeit」
日常的によく使われる表現。継続的に「起こっている」出来事を表す4つの表現の中で1つ覚えるなら、これが一番ニュートラルでおすすめ。
In letzter Zeit habe ich viel gearbeitet.
このところ、たくさん働いていた。
前の「in letzter Zeit」と似ていてるが、こちらの「seit Kurzem」の方は、最近「始まった」ことが強調された表現。「in letzter Zeit」と言い換えた文を、比較のため載せておきます。
Seit Kurzem lerne ich Italienisch.
ちょっと前にイタリア語の勉強を始めたんだよね(そして今もやってるよ)
In letzter Zeit lerne ich Italienisch.
このところ、イタリア語の勉強をしているんだ。
前の「seit Kurzem」と同じく、最近「始まった」ことが、前面に出された表現。でも「seit Kurzem」は口語表現で、「seit kurzer Zeit」の方はよりフォーマルな表現。そのため、書き言葉でよくみられる。
Seit kurzer Zeit hat die Zahl der Anfragen von Kunden zugenommen.
少し前から、顧客からの問い合わせが増えています
最初の「in letzter Zeit」と似ているが、「seit Kurzem 」が開始時を前面に出したニュアンスだったのに対し、こちらの「neuerdings」は最近「新たに」起こったことに焦点を当てた表現。これまでには見られなかった変化や傾向を強調したい時に、この表現を使うと、こなれた感じに。
Neuerdings geht sie jeden Morgen joggen.
この頃、あの子、毎朝ジョギングしに行ってるのよ。
「最近、肩が痛い」は、どの「最近」?
では最後に、文頭の日本語は、どのようにドイツ語にしたらいいでしょうか。まずは、2グループのうち、どちらの「最近」を使えばいいのかを考えてみてください。それが決まれば、あとはその中から、伝えたいニュアンスに近いものを選べばいいです。
「最近、 首が痛くて」の方は、今もなお続いている持続的な傾向なので、グループ2のいずれかの表現を使えばオッケーです。各表現の微妙な違いは下のようになります。ニュアンスの違いが、わかるように、あえて違いを強調させた訳にしています。
In letzter Zeit habe ich Nackenschmerzen.
このところ、首が痛いんだよね。
Seit Kurzem habe ich Nackenschmerzen.
ちょっと前から首が痛くなったんだよね。
Seit kurzer Zeit habe ich Nackenschmerzen.
少し前から、首に痛みが出てきたんです。
Neuerdings habe ich Nackenschmerzen.
近頃首が痛くなるようになってね。
「最近、イタリアに行ったんだ」の方は、すでにイタリアから帰ってきた状態での会話、つまりすでに出来事が終了したことなので、グループ1のいずれかを使えばいいです。
Neulich war ich in Italien.
この間イタリアに行ってきたんだ。
Vor kurzem war ich in Italien.
この間イタリアに行っていました。
Kürzlich war ich in Italien.
先日イタリアに行きました。
Letztens war ich in Italien.
この前、イタリアに行ってたんだ。