【低音ボイス向け】ダンディなおじさまマスターに失恋を慰められて恋心を奪われる


使用想定SEは下記になります。
・グラスに氷を入れる音orグラスに水をそそぐ音
・フリージャズ音源などを全編にわたりかけてみると雰囲気が出るかもしれません

尺の想定は8~10分くらいです。

【低音ボイス向け】ダンディなおじさまマスターに失恋を慰められて恋心を奪われる

【場所:BARの中】

 //SE・ジャズ音楽などあれば雰囲気が出るかも

なぁ……キミ、さっきから飲みすぎじゃないか?
(溜息交じりで)
そんなに飲んだら、明日二日酔いで大変なことになるぞ。
オジサンね、これでもこの店のマスターだから。
お客さんが無理矢理飲もうとするなら止めなきゃいけないの

//ヒロイン「そ、そんなこといったって……!」

いや、わかるよ?
キミ、いつもウチの店に来て話してたもんね。
先輩が優しくしてくれたとか、
先輩に迷惑かけたとか……
(はーっと溜息)
キミがどれだけその先輩が好きだったのかは、俺もよーくわかってる。
……いや、今でも好きなんだろう?

//ヒロイン「好きですけど、結局振られちゃった」

そうだねぇ。
玉砕覚悟で先輩に告白して、本当に玉砕か……
俺としても、こんな時くらい好きなだけ飲めって言ってあげたいけど――。
でも、これ以上飲んだらキミ、本当に家に帰れなくなるぞ。

//酒を更に飲むヒロイン

って、言ってるそばから飲みすぎだ! 
まったく……もうダーメ。

//SE・氷が入ったグラスに水を入れる音

水飲んで少し休んだら、今日はもう帰んな。

//ヒロイン「だって、マスターしかこんな話聞いてくれる人いないんだもん」

(ふーっと溜息をついて)
……わかった。
どうせ今日は暇だし、こんなオジサンでよければ、とことんキミに付き合うよ。
……たーだーし、酒はだめだ。

//ヒロイン「えー? お酒だめなの?」

だめに決まってるだろ。
落ち着いたら帰るんだ。いいな?

//ヒロイン「はーい……」

よしよし、いい子だ。
……で、くだんの先輩っていうのは、よっぽどイケメンなの?

//ヒロイン「イケメンっていうより、すごく優しいんです。会社でも色々、私のことを助けてくれて」

そうか……キミは優しい男がタイプなんだな?

//ヒロイン「……多分」

多分って、なんだそりゃ。
なんかあるだろう?
ワイルドな男が好きーとか、アイドルみたいにキラキラしたのが好きーとか。

//ヒロイン「そういうのは、あんまりよくわからなくて」

でも、先輩のことは好き、と。
なるほどなぁ。(あまり興味なさそうに)
まぁ、オジサンが若い頃もそういうの流行ってたよ。社内恋愛とかさ。

//ヒロイン「マスター、言うほどオジサンじゃないくせに」

いやいや、キミみたいな若い子からすりゃ立派なオジサンよ。
こういう店やってるとね、酸いも甘いも味わうもんなの。
……って、俺の話はどうでもいいんだった。(半笑いで)
それで? その優しい先輩が、どうしてキミの告白断っちゃったの。

//ヒロイン「先輩、彼女いるんだって。だから私とは付き合えないって……」

あー、なるほど?
彼女がいるなら仕方がないか……
略奪させてくれる感じじゃなかったってことか。

//ヒロイン「略奪なんてしないよ!」

いや、本気で好きなら奪い取るくらいの勢いでいかないと。
今の男は受け身だってよく言うだろ?

//ヒロイン「そうかもしれないけど……まぁ、マスターみたいな人なら奪い取っちゃうのかもしれないけどさ」

俺ぇ?
まぁ、俺はね。
好きになった相手が別の男と付き合って、それで幸せになれるなら……奪ったりはしないさ。
隙を見つけてかっさらうくらいはするかもしれないけどな?

//ヒロイン「うわぁ……えっ、待ってマスターのコイバナ聞きたいかも」

オッサンのコイバナ聞いてなにが楽しいんだよ……
そりゃあね、この年になると恋の一つや二つもするけど、それほど面白いもんじゃない。
むしろ成就しなかったことの方が多いね。

//ヒロイン「マスターモテそうなのに」

そうかい? そう見えるならありがたいね。

//ヒロイン「またそういう……」

ははっ、俺のことなんてどうでもいいじゃない。
ほら、頭が冷えたならそろそろ帰る準備しなよ。
タクシー呼んでやるから、今日は家に帰ってすぐ休むんだ。

//ヒロイン「まだ家に帰りたくない……!」

そんなワガママ言わないの。
家に帰りたくないなんて、変な意味に捉えられそうなこと言っちゃダメ。

//ヒロイン「へ、変な意味って……マスターに限ってそんなこと……」

俺に限って?
信頼は嬉しいけど――そういうのは危険だよ?
俺にだって下心はあるし、キミみたいな女の子は尚更警戒心を持たなくちゃ

//ヒロイン「そんな……わ、私なんか全然、マスターの好みじゃないでしょ?」

そんなこと――なぁ、案外好みど真ん中だ、とか……考えたことないだろ?
俺を信用しきって、なんでも相談してくれて……
大好きな先輩の話を、俺がどんな気持ちで聞いてたと思う?

//ヒロイン「え、う、嘘だよね? マスターみたいな大人の男の人が、私みたいな……」

あー……
もう少し、駆け引きじみたことしたかったんだけどな。
キミが言う通り、「大人の男らしく」ね……(より声を低く)
でも、酔っ払いのキミには直接言わないとわからないかな。

//ヒロイン、驚きのあまり絶句

(耳元で囁くように)
好きだよ。キミがどんなに誰かを好きでも、諦めきれないくらいに。
人のいい大人の振りをして、ずーっと考えてた。
キミの隣に立つのは俺だったらいい。
俺なら、キミを悲しませたり、泣かせたりはしないのになぁって。

//ヒロイン「マスター……」

なぁ、俺にしておかないか?
いくらだって話を聞くし、いくらだって慰める。
――君が望むなら、その先輩の代わりでもいい。

//ヒロイン「そんなこと、望んでない……ほ、本当にマスターは私のこと……」

好きだよ。愛してるんだ。
……遊びでこんなことを言うほど若くはないんだ。
真剣に、キミを求めてる。

(耳元で囁くように)
もし、俺のことを――少しでも好意的に見てくれるなら、今日はもう、店を閉めることにする。
飲みすぎた酒のせいにしてしまっても構わないから――。
今夜は俺に、騙されてみてくれないか?

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