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2nd

「いい曲だよね」

振り返るとそこには、羽付きの鉛筆が突き刺さったハットを被り、真夏なのにタキシードを着て、顔がなにかの楽器でできた人間...
ではない不思議なナニカが立っていた。

「あなたは…なに?」
あたりをうろちょろしている「ナニカ」にそう尋ねると、スッと立ち止まりこっちを見て答えた。
「僕は、音楽の精のガーキ。君がさっき弾いたメロディから生まれたってところかな。君が生み出したんだから、気軽にガーキって呼んでよ。」
そういうと、またあたりをうろちょろと歩き始めた。なぜみんな驚かないのか不思議に思っていると、私の心の中にある疑問を感じ取ったかのように振り返ってまた一言。
「みんなには僕の姿は見えていないよ。よくある設定だけどね。あと、君が僕と話している声もみんなには聞こえてない。それどころか、今、君はみんなから見ると何もしていないように見えてると思うよ。そういう事だから、安心して話すといいよ。」
どういう原理でそうなるかもわからないし、いかにも怪しいのに、なぜかそれを...ガーキを疑う事はなかった。

でも、本当に私が生み出したのか...?
なんでこんな格好をしているんだ?
本当に不自然じゃないのか?
そんな疑問は次々と浮かび上がった。

これがいつもの夏と違う不思議な出会い。
それは夏休み2日目の出来事だった。

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