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番外編 3rd

「はい、1時間経ったのでおやつの時間までは自由時間にします。怪我しないように遊んでください。」

先生がそう言うと、みんなは外に飛び出していったが、私はいつも通り部屋の中で過ごす。何気なく、本棚にある一冊の本を取り出した。表紙には大きく「ミッケ」と書いてある。夏休みに、ガーキと一緒にやった思い出の本だ。見ているとガーキの声が聞こえてくる。

『君は僕が居なくなったあと、このピアノを見る度に僕のことを思い出すと思うんだ。一緒にやったミッケを見る度に僕のことを思い出すと思うんだ。この曲を聴く度に僕のことを思い出すと思うんだ。つまり、君の頭の中に僕がいる限り、ずっと君のそばに僕はいるんだよ。』

その言葉を、もう一度頭の中で繰り返した後、本を閉じて、ピアノのある部屋に向かった。

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