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正確な位置に立つ

何度もアレック・ソスに言及して恐縮ですが、Twitterでお勧めされていた Finacial Times の記事がめちゃくちゃ良かった。

「Uncommon Places」で有名な写真家スティーブン・ショアに対して、アレック・ソスがインタビューするという内容。写真家同士のリスペクトに溢れており、読み応えしかないのでぜひ読んでみてほしいです(Google Chrome であれば右クリックで全ページ翻訳可)。

現在開催中のアレック・ソス「部屋のための部屋」にこの時の写真が展示されています。記事ではトリミングされていた「お〜いお茶」が良い感じ。

さて、Finacial Times の記事なんですが、ウォーホールのファクトリーに出入りしていたことや「Uncommon Places」が生まれたいきさつ、Instagramへの言及まであってディープすぎる内容。写真家に対するここまで充実したインタビュー記事は、他にないんじゃなかろうか。

なかでも興味深かったのが「Uncommon Places」の終わりについて。翻訳した文章を引用します。

アンコモン プレイスが終焉を迎えたのは、私が結婚したのとほぼ同じ頃でした。ジョージア州にいて、サバンナのダウンタウンの交差点に陣取ったとき、どこに立つべきか正確にわかっていて、すぐに立つことができ、写真は完璧で、まったく退屈なものだったことを覚えています。そして、アンセルのことを思い出しました。よし、今がその時だと思いました。今、私は自分自身を真似していて、何も考えずにスティーブン ショアを演じることができますが、それは私にとって何の興味もありません。

A conversation with Stephen Shore

この引用部分から個人的に興味深いと思ったのが次の2点です。

1.「Uncommon Places」は立つべき正確な位置があること
2.ひとつのシリーズが終焉するときの感覚

1点目に関しては、記事の流れからそれちゃうのですが、やっぱり「立つべき位置」があるんだ!と変に感動しました。「Uncommon Places」の写真集を通して読んでいると、ちょっと言葉でいいあらわせないような「秩序」があって、その秩序が、静謐さやある種の諦念のようなものを感じさせる要因となっている気がします。

スティーブン・ショア写真集「Uncommon Places」

このカバー写真ひとつとっても、一歩右でも一歩左でもこうはならないだろうなと思います。信じがたいバランス。中心上に置いた電柱とか絶妙すぎるんだが。

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