ロマンとそろばん
それにしてもこの暑さよ。写欲を根こそぎ持っていかれるような季節ですが、まだ始まったばかり。開き直るくらいの気持ちで頑張っていたいものです。
さて、前回の更新が写真集の予約終了間近というタイミングでしたが、駆け込みの注文があり、最終的に予約期間内は760冊の販売となりました。意外にもその後の通常販売期間も注文は途切れず、現在800冊を超えたところ。売上でいえば740万円ほどという状況です。
そして嬉しかったのが、まさかの青山ブックセンターでのお取り扱い開始。
保井の方からメールしたり営業したりとかでなく、担当の方から直接ご連絡いただいて実現しました。まさか、こんなふうに自費出版の本までキャッチアップされてるのかと驚きました。いや、青山ブックセンター凄すぎる。写真集出版、ひいては写真界にとって救いの存在といえるかもしれません。
あと、京都出張から帰ってきたら、国立国会図書館から納本の受領書が届いていました。国立国会図書館への納本は、ISBNを取得した書籍であれば、自費出版であっても義務づけられているものです。保井の「PERSONAL WORK」も謹んで2冊納本しました。
納本制度のページには以下のような記載があります。
これ、めっちゃ良くないですか。大海の一滴とはいえ光栄なことだなと。これで「写真家」として後世にいくばくかの爪痕を残すことができたと思います。
このように、出版には売上では測れない意義があると、日々実感しているところです。もちろん、購入してくださった方の報告や感想なども、正直「これじぶんの本のこと?」と感じてしまうほど、現実と思えないような喜びを感じています。
というわけで、そんなロマンも語りつつ、そろばんの話も。
前述しましたが現状の売上は740万円で、これはご購入者からいただいた送料も含めての販売合計なので、税引き前の売上高としては660万円ほど。写真集の制作費が全部で820万円ほどなので、まだまだ全然赤字という状況です。
とはいえ、印刷・製本や梱包資材費などの直接原価に関して、早々に回収できたというのは上々の結果かなと考えています。いやでも、これがもし、まだ写真家として経済的体力のない時期に出版していたらと考えると、生きた心地がしないかも。
今回はコストパフォーマンスよりも、ひたすらクオリティを追求したので、状況によっては当然前者を選択しているとは思うのですが、とはいえ在庫を抱えてのビジネスということになるので、ロマンだけで突っ走っちゃうのは危険かなと思います。
やる気と情熱で本を作ったはいいけど、残ったのは負債と大量の在庫ということになると、その後の写真家としての活動も心が折れてしまうかもしれません。その可能性もあるので、じぶんも発信の仕方には気をつけないとと思いました。
もし出版に興味があったとしたら、一番良いのは少ない制作費、部数から始めることですよね。30冊とかでも立派な出版だと思いますし。
写真集「PERSONAL WORK」を出版しました。 http://usetsu.com