
宣伝広告費
開業すると宣伝したくなります😂
何かしら宣伝してここにクリニックがあることを伝えたい‼️
そういう気持ちになります。
そして、患者さんがなかなか増えないと心配になります。
それはその通りです。
じゃあ、どういう宣伝をするのか?というところが問題になります。
今はHPはほぼ必須です。
じゃあそれ以外は・・・?というと難しいです。
一つは看板です。
ただ、これはクリニックがあるということを示すより、むしろクリニックへ誘導するような看板が必要になります。
以前も書いたかもですが、当院、クリニックの前に4mくらいあるでかい看板がありますが、数年したのち「ここにクリニックがあるの分からなかった」といってきたごく近所のおばちゃんが来ました。
つまり看板は気になる人にしか意味はないということだと思っています。
気にならない人にとっては風景の一部です。
宣伝効果はゼロです。
僕も当初、間違って理解していました。
看板に当院のメリットを書いたら見てくれるのではないかと。
実際に、その看板のサービスを見てきた患者はほぼいませんでした。
費用対効果としては劣ります。
なので、看板広告はほぼしていません。
HPは何か目的があって検索をした人に訴求できるものであればいいので、そういう点では売り込みやすいですが、反面、同じことを考えるDrも多いので、競争が生まれますし、SEO対策が必要になります。
ただ、HPの欠点は、患者さんが遠くから来てくれる代わりに、面倒臭い(精神科ちっくであったり求めるものが非常に面倒臭かったり)患者さんが多いという印象です。
そしてそういう患者は気に入らないとすぐにクリニックを変えます。
なので、長く居つくことはあまり多くはありません。
当院でもHPをみてきた遠方の患者のうち、長く通院する人は実は多くはなかったりします。
中には当院で出した処方を近医で出してもらっていたけど、また悪くなったからきましたという患者もいました。
通院のための時間が無駄に感じてしまうんだろうなと思います。
なので、一回で終わり単価の高い美容皮膚科・外科や自費診療であればそれでもいいように思いますが、保険診療メインの場合、実はメリットはあまり大きくはないのではないか?と思うこともあります。
ただ当院は循環器なので、受診してもらい、心臓超音波検査等をして1-2回の診察で終わるというケースもありますので、そういう患者さんが増えるという点ではHPは有用ですが、慢性疾患で長く通院という点ではあまりメリットはないという感じだと思っています。
特殊外来であれば話は違うと思いますが、普通の循環器ではそんな感じだと思います。
そして、じゃあ、何が宣伝として一番有用なのか?というと、言うまでもなく「口コミ」です。
これに勝るものはありません。
でも、口コミってなかなか広がらないんですよね。
なぜなら、他のクリニックとの差別化が難しいのです。
保険診療をしていて「あの先生名医だよ!」と言ってもらえるほどのものがあればいいですが、たまたま劇的に改善したような患者がいたとしても、それが全員に当てはまるわけでもありません。
むしろ期待値が大きい分、思った結果が得られない場合、評価を下げかねないとさえ考えてしまいます。
そして治療内容は最新のものをアップデートして患者に提供するのはDrとして当然のことであり、そもそもそこで差がつきにくいと思っています。
とすると、何をどうすればいいのか?ということになります。
その結果、僕が感じたのは、サービス面をいかに充実させるかです。
その一つに診療時間があげられます。
診療時間というのも患者サービスの一面を持ちます。
朝9時から始めるか、8時半から始めるか・・・。
30分の違いですが、その30分に意味のある人たちが存在します。
そういうひとたちからすれば、9時から診療開始よりは8時30分からを選ぼうという動機にもなります。
また、17時30分閉院よりは18時であったり、19時であったほうがやはり、その時間帯に意味のある人たちにとってはそのクリニックを選ぶ動機になります。
ただ、診療時間の前倒しや延長・夜遅くまでは実は経費も相当かかります。
従業員の人件費はかなり上がります。
残業にするのか、交代制にするのか、いろんな方法はありますが、費用対効果にどこまで優れるのかはわかりません。
実際、相談を受けることもあります。
ただ、周囲のクリニックより1時間、診察時間を延ばした場合の費用は単純に人件費等の出費と、医療費の売上の差で考えていいのか?というと必ずしもそうではないと思っています。
そこには「宣伝費」というものを勘案してもいいと僕は考えています。
僕は新しいサービス・事業を法人で始める際に、それ単体で黒字になるかどうかも考えますが、その事業から波及して保険診療にも利益をもたらすかもしれないということも勘案します。
そして、さらに、その事業単体で法人の名前を宣伝できるのであれば、さらに宣伝費も兼ねます。
僕の場合はその2つをメインに考え、単体が赤字でも保険診療への利益ならびに宣伝費も兼ねたら事業としてはプラスになるのでは?と考えてその事業を開始することがあります。
もちろん事業を短期で見れば赤字なのは間違いないものも多く、ただ長期視点に立てば、黒字化できるというものもあります。
そういうことを色々と考えた上で行います。
ただ、もちろん、途中で修正したり、場合によっては止めることもあり得ます。
それはその時々の社会情勢によると思います。
実際、僕もコロナ前まで曜日限定で時間を延長して診療をしていましたがコロナに入って中止しました。
一つはその時間延長の際、看護師をつけず、医療事務と二人でやっていたからです。
そして延長した時間にコロナ疑いの患者が増えてきてしまい、普通の患者さんとの動線管理や時間帯の調整ができなくなったからです。
安全性を担保できなくなったので、やめました。
そして診療時間延長サービスは明らかに赤字でしたが、そこから波及する集患を考えるとトントンくらいであったと考えています。
どういうことかというと、検診異常とかで時間外に来院し、その後、話をして生活改善をしたのち検査等、その後の1-2回の検査・診療に繋がったり、場合によっては内服治療を開始して慢性疾患として通院につながるケースもあったからです。
新しい事業をする際に、赤字にしかならないのか、黒字化できるかどうか、できるならどのくらいの期間で黒字にできるのか?
そういうことを考えた上で、そこから波及する利益をどこまで見るのか、また宣伝広告費として考えればペイするのかどうか?
そういうところも考えてみると、新しい事業(サービス)を開始する際には少しハードルが下がる気がします。
そしてダメなら撤退するということも可能です。
良くも悪くもクリニックですので組織自体はさほど大きくはありません。
また、既存の患者さんには実は新しいサービスはさほど響かないという面もあります。
僕が考えるサービスはあくまで新規患者を集めるところに主眼があるので、既存の患者さんたちにとってはあまり響かないので、中止をしても実はあまり既存の患者さんにデメリットはありません。
既存の患者さんにとって最もメリットがあるのは、きちんとした診療・治療と待ち時間の短縮だと僕は考えています。
そのため、既存の患者さんへの最大のサービスは待ち時間の短縮だと思うので、既存の患者さんへは待ち時間の短縮にどこまでクリニックとしての労力を割けるかだと思います。
そして、新規患者さんの獲得には宣伝広告費というのもの含んで、利益等を考えてもいいのかなと思いっています。