
開業医の忙しいは本当!?
ちょっと郊外の還暦すぎたクリニックのDrと飲んだりすると「忙しくて、もう患者いらない」とか「同じ科の先生のもう一人開業してほしい」とかいう発言を聞きます。
実際、僕も同じ話を何度か聞いて、そんなに忙しいのか・・・と思ったこともありますし、それなら割と近くに開業してもいけるのかもしれないと思ったことがあります。
ただ「忙しい」といのは非常に主観が入っています。
正直言えば、30代のDrの処理能力と60代Drの処理能力は違いますし、動くスピードも違いますし、判断スピードも違います。
そしてなにより体力が違います。
なので、還暦すぎたDrの忙しいは、本当に患者数が多くて、売上が多くて忙しいのか?と疑いの目をもって見る必要があります。
知り合いの内科Drは40代~50代の時は非常に忙しくして、ドイツの某スポーツカーメーカーの一番高いグレードの車を常に乗り回していましたが、それでも60歳を過ぎて徐々に売上は低下しているといっていました。
実際、忙しいと言っていた60代内科Drの医療法人の売上を見ると1.2-1.3億程度でした。
つまり、忙しいを真に受けて近隣で開業すると共倒れになる可能性があるということがいえると思います。
ちなみに40歳代の内科開業医で、まあまあ忙しいかな~といっていたDrの売上は1.7億くらいでした。
つまり、患者数・売上についていえば、40歳代の開業医のまあまあ忙しい>60歳代開業医のすごく忙しいという可能性があります。
時々、コンサルタントですら間違って認識している可能性があります。
なので、もし忙しい(と言っている)クリニックがあって、そこに患者が多く、忙しいからその患者が流れてくる可能性が高いという読みは正しくないかもしれません。
実際、医療法人の売上がインターネットでも閲覧可能になり、データがとりやすくなっています。
ちょっと前に医療法人を買いませんか?という話が薬局をしている会社の社長からきました。
患者も結構来ていて、毎日50人以上は来ている、先生も忙しいと言っているから、売上的には全然困らないと思うとのことでした。
しかし医療法人の会計書類を閲覧してみると、年間1億円程度の売上でした。
なので、コンサルやクリニックを売却したいDrのいう「混んでいる」や「流行っている」はあまりあてにはなりません。
1億あればDrを雇用して赤字にならずにいけるという考え方もあるかもしれませんが、譲渡であればそれもありかもしれませんが、売買契約となるとその支払い、スタッフを引き継ぐ、その他諸々の制限がかかりますから、個人的にはあまり買いたいなとは思いませんでした。
もし今後、非常に流行っている(と言っている)クリニックの周囲での開業や、流行って忙しいという高齢Drのクリニックの継承をする際には、本当に売上に見合った「忙しさ」なのかどうか見極める必要があると考えています。
診療圏調査で50人以上出ていて、かつ1日100人来ているクリニックが忙しくて患者から周囲にもっとクリニックがあればという意見が多いと言っているのであれば、周囲に開業して流れてくる患者を含め、戦略次第で戦えるのかもしれませんが(個人的にはやめた方がいいとおもいますが )、そうじゃなければやめた方がいいと思いますし、コンサル等の流行っているを聞いたら、まずは医療法人かどうかチェックし、医療法人なら県庁に行けば決算書がどこの件でも閲覧可能ですので、売上をチェックしてから判断するべきだと思います。
個人事業主なら仕方がありませんが、その際は、人脈を使って門前薬局の処方箋枚数を聞くのもありだと思います。
院内処方なら取引している卸から情報を得ることも必要だと思います。
そのくらいの慎重さをもって相手を見る必要があると考えています。