甥っ子
甥っ子は、小学生の時から不登校気味な子供だ。
共依存のような母娘の姉と母の関係性。去年の夏から他県に離れて暮らすようになったが、まだ続いている関係。
70代の母一人に甥っ子を預けてくる姉。
GWでもないのに母のお金で九州から関西へ一人でやってきた、中学生の甥っ子を無下にも出来ず1週間程面倒を見たそうだ。
甥っ子はまた、学校に行けなくなっているらしい。
家事を手伝うでもなく、ゲームばかりしていた甥っ子に疲れてしまったという感じの愚痴を聞かされた。
朝昼晩のご飯を食べさせて、暇潰しに付き合い、疲れてしまったのだという。
気持ちは分かる。しんどかっただろう。
また、姉夫婦所有のマンションをまだ売りに出せていない現状に、不安感を募らせていたりする。それについても、私に相談してきた。
そんなことは姉夫婦の問題だし、母自身が去年、売るのを反対したのにだ。
甥っ子も反抗期である。何か下心を持って接すれば勘づく。
「何かさせようとしてるの?」と何度か言われたようだ。
我が家も中高生の息子が居るので、それもよく分かる。
自分もそうだったが、近付いただけで弾けそうなくらい繊細な時期だと思う。
言葉の選び方1つで心に深い傷を負わせてしまうかもしれない時期だ。
でもこれについても、母ではなく姉夫婦が向き合って行かなければならない問題だと、やはり思う。
近所に暮らしていた時とは違うということをお互いに理解していかなければならないのではないか。そう思ったが言えなかった、いや言わなかった。
姉夫婦の問題を自分事として考えすぎる母には、開いた口が塞がらないのだ。
甥っ子に対しても祖母の立場で接すれば良いだけなのにと思うが…。
もう5年も前の話になるが、母は姉から離婚したいと相談を持ち掛けられたのだが、問題解決も何も進まず、自分も離婚したいと言い出すような母なので、もう本当に手の施しようがないのだ。
姉も姉で、よくあんな相談事が向かない人に相談するもんだなぁと呆れた記憶がある。
そしてキャパオーバーになると私に連絡してくる。心のゴミ箱役が必要になるからだ。
母も姉も、何も自分で決められないのだ。これが正に共依存だ。
人生には色んな道がある。狭い枠に押し込めて安心したいのは大人だけの事情だ。子供には全く関係のない事情だ。
それを譲らず、生きる気力さえも奪って良いのだろうか。
極論だが自殺してしまわないだろうか。
私はずっと狭い枠しか提示してこない母親に何の相談も出来なかった思春期を過ごして、大学卒業後に夫に出会って視界が開けたのだが…そんな人間が甥っ子に現れるだろうか…私はその役にはなれないし、なりたくもないのだが。
きっと私があの頃、故郷を捨ててまで距離を取らなければ、母と姉は平気で病気持ちの私へ面倒(言い方はあれだが)な甥っ子を預けてきていたのだろう。
言葉の端々にうちの子供たちを使おうとしてくる雰囲気、奴隷のように姉の心配事を解決する道具の私、相談しなければ悩んでいないとでも言うのだろうか。
私は私の母へは相談はしない。
何故姉夫婦は、甥っ子が小さい頃から苦しんでいるのに温い場所、安心して他人と過ごせる場所を探し、用意し、一緒に悩み、面と向かって相談してきてくれるような環境整備を怠ってきたのだろうか。
謎過ぎる。甥っ子からのSOSはたくさん出ていただろうに。
環境整備こそが大人が子供にしてやれる唯一の事なのに。