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自家製ドクダミ茶
ドクダミの群生
毎年5月頃になると庭に雑草が生えてきます。面白いのは、毎年違う種類の雑草が群生すること。
冬から春にかけて草たちの勢力争いがあるのか、それとも鳥たちが毎年違う植物の種を落としていくのか分からないけれど、今年は何が生えてくるのだろうと、いつもちょっと気になります。
今年はドクダミの花がたくさん咲きました。ドクダミは、あまり日の当たらない湿った土を好むらしいので、日当たりが悪かったのかなぁと思ったけれど、近所の家々や、公園や街路樹の周りにもドクダミが群生してあちらこちらで咲いています。
今年は特別にドクダミが多い年なのか、それとも毎年見逃していたのだろうかと記憶をたどってみたけれど、意外と思い出せないものですね。
ドクダミは、よく見てみると葉の形も良いし、白い花は楚々として可愛らしい。
白い花びらに見えるのは、実は総苞片と呼ばれる葉が変化したもので、花は中心から突き出ている黄色い部分だそう。
花に見えて花じゃないって植物にあるあるですね。
朝の連ドラ「らんまん」
ちょうど今、朝の連続テレビ小説で「らんまん」という日本の植物学者・牧野富太郎氏をモデルにしたドラマが放送されています。神木隆之介さん演じる主人公が良い味を出していて楽しみに観ているのだけれど、主人公が住む長屋にはたくさんのドクダミの花が咲いていて、そのドクダミを長屋の住人みんなで採って丁寧に洗い、軒先に吊るして乾燥させるシーンがありました。
そこでドクダミについて調べてみると、乾燥してドクダミ茶、40度以上のアルコールに漬けてドクダミチンキなどの製法が載っていたので、勢いでつくってみることに。
私は薬剤師ですが、扱っているのはほとんどケミカルな医薬品で、普段生薬に触れることはなく、なかなか面白い体験でした。
ドクダミ茶作りの行程
雑草の駆除も兼ねて根ごと引き抜いて採集し、きれいに水洗いして4、5本ごとに束ね、洗濯用のピンチハンガーで1週間ほど干して乾燥させた後、花と葉に分けて保存しました。
花を摘んだところ
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中ほどにある丸いのは梅の実です。紅梅ですが少し実をつけたのでハチミツ漬けに。
花は真っ白い総苞片が可憐で、葉の形もハートをひっくり返したような可愛い形です。
パクチーと山椒とミントを足して3で割ったような独特な匂いがあり、
生食もできるのでサラダにも、と書いてあったので試しに小さい葉を少しかじってみたけれど、匂いがきつすぎて葉も硬く、あまり美味しくありませんでした。
パクチーサラダが一時期流行ったので、私は無理だけれど、パクチーが好きな方は挑戦してみて下さい。
サラダにドクダミの葉を1、2枚ちぎって入れる程度なら、アクセントになって良いかもしれません。
可愛らしいので、少し生けてみました。
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慎ましい風情が良い感じです。私はこういうの好きですね。
生命力が強いので花も長く持ちます。
輪ゴムで止めて束にして1週間乾燥させたもの
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匂いはあまりありません。
カビないように、カラッカラに乾燥させるのがコツです。普通は4、5日で乾燥するそうですが、途中雨が降って部屋干ししたりで1週間かかりました。
ばらしてハサミで葉と花の部分だけ切り分けたところ。
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少し面倒なので、枝付きのままでも良かったかなと途中で思ったけれど、終わってみればやはり、この方が保存しやすいです。
花と葉を分けたら花が本当に少しで、ちょっと貴重な花茶になりそうです。
消毒した容器に詰めて完成です。
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ドクダミの効能
ドクダミの効能について少し調べてみました。
十薬と呼ばれる生薬で、生の葉に含まれるデカノイルアセトアルデヒドには殺菌作用があり、解毒薬として主に葉の汁を外用します。
乾燥すると殺菌成分は失われてしまいますが、ケルセチンやクエルシトリンなどのフラボノイドには、便秘の改善や降圧、利尿作用、抗酸化作用による美肌効果などがあるようです。
乾燥する前に、生のドクダミそのままを何本か水に入れて沸かし、沸騰したら弱火で4、5分煮出してお茶にしました。
匂いはキツくなくまろやかに変わり、ほんのり僅かに甘く香ばしい、とても飲みやすいお茶でした。
乾燥葉のお茶も楽しみです。
ドクダミは身近な植物なので、もし良かったら作ってみて下さい。
あとがき
ドクダミは、子供の頃からよく見かける、どこにでもある身近な花ですが、ジメジメしたところに生えていることもあって、あまり良い印象はありませんでした。
繁殖力が強く、あっという間に群生するので厄介な雑草とも思われているようです。
でも、良く鑑賞して調べてみたら、花としても、益草としても何だか好きになりました。
来年また生えてくるかな。
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