[心太] トコロテンの押し出され先について考えてみる
どうにも頭の痛い話がありまして。
あまり他所のことをどうだこうだと言うつもりはないのだけど、このところご同業のインストラクターのなかにはずいぶんといい加減なところが増えてきたように見受けられまして、言いにくいのですが私見を述べてみようかと思います。
わたしが学生のころと比べまして、音楽教育というのはずいぶん身近になった気がいたします。
子供の数は減ってきているのに、楽器を教えるところはどんどん増えているらしいですね。
高校を出て、音楽学校(音大を含む)に行く人も多くなったようです。
ところが、単純に音楽の仕事というものは減っています。少なくとも生演奏のお店などというものは日本の誇る「KARAOKE」の普及とともにずいぶんと減ってしまいました。
でも、音大を含む音楽学校にたくさんの生徒が入っていくということは、いつか卒業とかその他の方法で出ていくわけです。
大学と言っても国公立でない限りは経営としては会社と同じなので宣伝というものは必要です。
「卒業生の何%が音楽の仕事に従事!」とかパンフレットに書かなければ生徒が入ってこなくなります。
ただでさえ子供が減って、学校が増えているのだから必死になります。
あたらしい生徒が入ってきて、なかば自動的に押し出されるように出ていく卒業生。
まるでトコロテンのようですよね。
でもその受け皿となる音楽業界は年々縮んでいき、しかもさきに社会に出ていたオジサンたちでいっぱいなんである。
オジサンたちはもうトコロテンしてもらえないし、もしもされるときは総武線小岩駅とかそういうところかもしれないです。
わたしが20歳の頃はもうすでにそんな状態でした。
わたしがバブル経済を目にしたのは高校生の頃。大人になって社会に出たらワンレンボデコンのチャンネーとコンクリートジャングルのマンションに暮らし、クルマを乗り回したりディスコに行ったりとりあえずそんな調子になるのかと思っていたら、社会に出る頃にはすっかりそんなものは跡形もなくなくなっていたのであります。
それで、トコロテンされた学生さんたちはどうなるかと言えば、楽器屋さんに就職するか、一般企業へ進むか、留学してさらに研鑽を積むか、ということになるけどそれでは経営陣の欲しい"数字"が得られない。
うちの学校を卒業したらプロミュージシャンになれますよ、くらいの宣伝をしてきたのですから、それなりの数字を出さないといけない。
せめてプロミュージシャンとはいえないまでも、初心者向けの楽器のインストラクターくらいならできるだろう。
そんなわけで自分とこの学校で初心者を受け持たせることになるのですね。
これはこれほど愚かなことは無いと考えています。
初心者というのは指導が一番難しいのです。
ここでの指導を間違えば取り返しがつかないことだって起こりえるのです。
実際に、そういったところで指導を受けて"何かが違う"と思ってわたしのところに来られるかたも少なからずおられるのです。
初心者こそベテランが教えるべきなのだということです。
演奏をなりわいとしたいが食うに困って"仕方なく教えている"のと、自分はインストラクターであると名乗り教えているのとではちょっと違うと思っています。
京都在住のサックス/フルートプレイヤーです。 思ったことを自分勝手に書いていきます。 基本、内容はえらそうです。