silent6話がとても良かった話。
録画していた連続ドラマ、silentの6話を見る。
6話は、想が聴力を失いつつあった(完全に聴こえなくなったわけではないが徐々に聴力が失われていたであろう微妙な時期)大学生の頃、「音のない世界は悲しい世界じゃない」と教えてくれた、生まれつき耳の聴こえない奈々をクローズアップした回だった。
奈々が、ショーウィンドウで見かけた青いハンドバッグ(いつも持っているリュックサックではない)を持ち、電話で耳を使い声で話しながら、想と手をつないで歩く夢をみる場面、本当は耳が聴こえてほしいし想の声を聴きたいと思っている心の奥底の思い、想が手話を覚えて「奈々にだけわかればいいから」と言ってくれた思い出を大切にしている所など、が、悲しくてつらくて、自分でもびっくりするほど号泣してしまった。
多分、想が22ぐらいの時に知り合っていると思うから、4年間、想と二人の思い出があるのかーと思うと、本当につらい。想に耳の聴こえる彼女が出来る、という事実も、彼女にとっては、取り残されたような感じがしてしまうんじゃないだろうか…と思ってしまった。
多分、私がこれほどまで号泣してしまったのは、どんなに切望しても、手に入らないもの(ここでは、聴力、好きな人)がある、やりきれなさみたいなものを、まざまざと見せ付けられてしまったからだろう。もっときつく言うと、手に入らない「悔しさ、惨めさ」のようなもの。
それは、聴力に限らず、何らかのハンデがある人には共通している思いであるはずである。その、何ともいえない残酷さを、夏帆が見事に演じていた。
なかなか普通の連続ドラマで、ここまで主役の恋敵を丸々1話使って、丁寧に掘り下げ描写するというのは、少ない気がする。
今まで、何となく、ちょっと、あざとい感じだな…と思っていた(想に対して言う紬への言葉など)奈々の様々な面を、あれ?silentって奈々が主役だったっけ?と思うぐらい丁寧に描いていた6話だった。
彼女がいつも持っているリュックサックを、自分ではどうにもできない手に入らないものの象徴として描いていたのも、良かった。
そして、奈々が主役(?)の回なので、殆どが奈々と想、奈々の友達の聾者たちの会話で成り立っており、必然的に殆どが手話の回だった。
演者の演技が素晴らしい回でもあった。
個人的には、日の当たらない登場人物をここまで丁寧に描いてくれて有難うという感じ。
自分ではどうしようもないものがある人(多分誰しもあると思うが)には、刺さる回だったんじゃないかなあと思う。
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