新選組 鬼の副長 土方歳三を支えた兄弟たちの絆
土方歳三といえば新選組の「鬼の副長」として知られていますが、その強靭な精神と剣の道を歩むきっかけには、兄弟や家族との深い絆がありました。彼の幼少期から新選組での活躍までを支えた兄たちの存在に迫ります。
幼少期と兄夫婦との絆
天保6年(1835年)、四男一女の末っ子として生まれた歳三は、出生後間もなく父親を亡くし、さらに幼少期に母親も失うという不遇な少年時代を送りました。その中で、実兄の喜六夫婦(きろく)が歳三を養育します。馬を飼い作男を雇うほどの富農だった土方家では、歳三は末っ子として愛されつつも、周囲に迷惑をかけるやんちゃな子どもでした。彼の無邪気さと活発さは、時に家族を困らせた一方で、どこか憎めない存在でもあったようです。
奉公先での挫折と帰郷
歳三は奉公先でのトラブルに見舞われることが度々ありました。番頭に叱られた際、怒りが収まらずに脱走し、家に戻ることもあれば・・・。店の女性との問題で結婚を決意するも義兄・佐藤彦五郎の反対を受け、別れを余儀なくされたこともありました。再び実家に戻った彼は、自由気ままな生活を送りつつ、彦五郎の支えを受けて過ごします。
義兄・佐藤彦五郎との深い絆
嘉永2年(1849年)、佐藤彦五郎の近隣で火事に遭い、自宅を焼失するだけでなく、乱心者により祖母を殺害される事件が起こります。この経験が彦五郎を剣術の道へと導きました。彼が天然理心流の剣術を学ぶ姿に影響を受けた歳三もまた、正式に入門を果たします。この時の出会いが、後に歳三を新選組へと導く運命の分岐点だったのです。
土方歳三にとって、義兄の佐藤彦五郎はただの家族ではなく、生涯の恩人であり剣の道を開いた存在でした。彼らの絆は、新選組での歳三の活躍を支えた見えざる力だったといえるでしょう。
次回の投稿では、土方歳三の郷里や部下に向けた想い、そして形見に込められた感動的なエピソードをご紹介します。
参考文献
『日本の100人』32号 清原伸一編 2012
『土方歳三日記 上』菊池明編 2012
画像引用:父が辿った史跡巡りを綴るブログ「多摩の新選組・土方歳三②」
ウキペディア
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