見出し画像

2024年度芸工大×上桜田プロジェクトについて

共同プロジェクトの概要


東北芸術工科大学企画構想学科の田澤ゼミと、文芸学科のサンキュータツオゼミによる共同プロジェクト「悠創の丘プロジェクト」始動から約1年半が経ちました。悠創の丘プロジェクトとは、東北芸術工科大学周辺のお年寄りの方々から、大学が作られる以前のお話を伺い、聞いたお話を基に小説を作り朗読会を開催して、土地の記憶を後世に語り継ごうというプロジェクトです。今年は、物語の舞台を「悠創の丘」を含む「上桜田」周辺地域に設定したことで、さらに広がりのあるプロジェクトとなりました。

朗読会の実施


悠創の丘とは、大学のすぐ裏にある見晴らしがよい丘のことで、山形市を一望でき、大学周辺の地域の象徴でもあります。2023年の夏ごろから始動し、11月には地域の農家の方々の前での朗読、また2024年の5月には山形市立図書館で地域の方々を集めた朗読会が開催されました。当日はフロアが埋まるほどのお客さんにお越しいただき、満員の中で山形市の朗読会のメンバーやタツオゼミ生が朗読をおこない、大盛況で終演しました。

朗読中の様子
朗読終了後、朗読者と原作者が作品について話した

上桜田プロジェクトへ


朗読会終了後、田澤ゼミとタツオゼミに新しく入った3年生へバトンが渡り、「上桜田プロジェクト」と名前を変え、2024年度の活動が開始されました。活動内容は変わりませんが、扱う地域を、東北芸術工科大学の周辺地域である上桜田に広げ、古くから土地に住む方々から昔のお話を伺い、物語を作って朗読会を実施すべく現在活動を進めております。今回はそんな上桜田プロジェクトの様子の一部をお伝えしたいと思います。

2024年度トークイベント


昨年と同様に、東北芸術工科大学文芸学科の講義室で地域の方々からお話を伺うトークイベントを7月に実施いたしました。今回お越しいただいたのは、昨年もたくさん協力していただいた舟越隆さん(現在76歳)、そして舟越さんと小、中学校からの同級生である鏡惣一郎さんです。小学校時代からこれまでのお仕事のお話、お二人が交流を深めるきっかけとなったそば作りのお話、小さい頃に近所で紙芝居をしていた「赤猿」と呼ばれ親しまれた人物についてなど、大盛り上がりでした。特に盛り上がりを見せたのはダンスパーティーについての話題です。きっかけはタツオ先生からの「男女の出会いはいつあったのか」という質問からでした。

山形市におけるダンスパーティー文化


舟越さん)27歳が基準なんだ。給料がだいたいこのくらいになったら貰ってくれるとか、そういう考えなんだ。俺も27で結婚したわけだ。結婚してしまうとよ、悪い言い方だけど、女の人と遊べないわけさ。だから、それまでにいろいろ出かけたりしたんだ。ダンスパーティーとか。
鏡さん) 青年団でダンスパーティーを主催してたんだ。
舟越さん)ダンスパーティーの情報を聞きつけて遠征することもあったよな。情報がちゃんと入ってくるんだよ(笑)。友達がいろんな地区にいるから、それぞれの地区の青年団のダンスパーティーの話が入ってくるんだ。場所は公民館とか。ダンスはソーシャルダンスとか社交ダンスだな。俺、踊れるよ。マンボとか、ジルバ、チャチャチャ。
鏡さん) 青年団でちゃんと踊れるように講習会とかやったんだよな。それで本番に挑む。
舟越さん)ダンスの先生のスタジオに習いに行く人もいたし。そういう人が講習会で教えてくれることもあったし。男だけじゃなくて、女の人も習ったんだ。

今年のアンソロジーは「ダンスパーティー」しばりに⁉


この他にも市役所で開催していたことや、見合い結婚とは半々の割合だったことなど、当時青年時代だったお二人からしか聞けない恋愛についてのお話をたっぷりと聞くことが出来ました。今回のトークイベントを基に3年生たちはどのような作品を作るのでしょうか。思わず完成が待ち遠しくなってしまう実りあるイベントとなりました。

執筆:文芸学科 寺門蒼生


いいなと思ったら応援しよう!