それぞれの手により進化する「遊び」
皆さんは「変な顔」と聞いた際に、どんな顔をイメージしますか?あべこべな顔、どんな感情かわからない顔…、想像してみると思わず笑ってしまう方も多いのではないでしょうか。今回、私たちのグループではそんな「変な顔」を主題にした「へんなかおつくろ!」という遊びを企画しました。
この遊びは、福笑いをベースに作られています。ルールは福笑いと同じですが、渡されるパーツは雰囲気も大きさもバラバラ、ある一定の顔になるどころか、変すぎる顔が完成してしまう!そんな遊びになっています。
この遊びでは素材である「紙」を楽しむことはもちろん、「遊びや会話を通し、笑顔になってほしい」という願いが込められており、またペアになって行うことで、偶然生み出された変な顔を見て生まれる会話を楽しむ という事もねがいの一つになっています。
── それぞれが生み出す「楽しさ」
実践当日、子どもたちとの交流はとても盛り上がりました!部屋に入ってきた時はもちろんのこと、一人一人が自己紹介をする際には「べべ!!」と、名前を大きな声で呼んでくれたり、実際に目の前で遊んでみた際には一緒になって楽しんでくれました。
子ども達と遊んでみて最初に感じたことは「遊びがそれぞれ好きな形に発展していく」という事でした。私たちは「福笑いで変な顔を作る」ということを目的に、準備期間はただそれだけの遊びを追求していました。しかし、実際に子ども達と遊んでみると、最初は単純に福笑いの要素を楽しんでいる様子でしたが、だんだんと「顔を作る」ことを目的に遊ぶ子が多くなりました。
目を閉じてパーツを置いていくという遊びを経て、子ども達が自ら楽しいと思う遊び方を追求していき「目を開けてパーツを動かして変な顔を作る」という遊びをしている子が何人かいました。
他にも、ちゃんとした顔を作ったり、逆向きで見てみたり、鳴き声を考えてみたり…など、それぞれ子ども達が楽しい!と思える様々な遊びに変化しており、準備期間には生まれていなかった「楽しさ」が子ども達の手によって次々と生まれていました。
──「遊び」を追求する、「楽しむ」ことの向き合い方
今回、子ども達と交流したことで「遊び」の本来の姿、存在意義について改めて考えるきっかけになりました。
改めて振り返ってみると私は「福笑いで遊ぶ」という事に囚われていたように思えます。本来遊びというものは「楽しむ」ためのものであり、1番大切なことは「楽しさを追求すること」という事。その楽しさを単純に追求していくことが、遊びを生み出す上でとても重要だと気付きました。また、その「楽しさ」を追求するためには「自分が楽しいと思うことを自由にやってみる」ことが大切なのだと思いました。
自分の中にある先入観を捨て、実際に手を動かし様々な視点から対象を観察することは、遊びだけでなく普段生活する上でもとても重要なことです。この学びを、今後の生活の中で大切にしていきたいと思いました。
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阿部 澪里
東北芸術工科大学 総合美術コース
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