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ケーキの味に思いを込めて

洋菓子店「九二四四」公式ホームページ

―ケーキ屋という道に進もうと思ったきっかけ
2001年に東北芸術工科大学 情報デザイン学科を卒業し、現在、仙台市で洋菓子店「九二四四」を経営している橋浦邦義さんは、在学中にやりたいことを見つけられないまま卒業し、仙台に戻ってきた。そんな時、ケーキ屋を経営していた叔父さんからアルバイトの誘いがあり、それがきっかけで洋菓子の世界を知ることになった。

ーケーキを作るときのこだわり
様々な工夫について伺ったが、その中でも一番は「甘みの感じさせ方を大事にしている」というお話されていた。素材そのものが持っている甘さを引き出して味わっていただくことを意識している。極力、砂糖の甘さに頼らず甘みを感じてもらえるように素材の組み合わせが肝心だという。例えば、レモンや柚子など酸味の強いものや、キャラメルやコーヒーなどの苦味のある素材とうまく組み合わせることで、別の素材が持っている本来の甘さが引き立つのだという。

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ースマイルフォーバースデイ
橋浦さんは、2011年の東日本大震災の時、仲間と「スマイルフォーバースデイ」という活動を立ち上げ、避難所で誕生日を迎える子供たちに無料でケーキを届けていた。友人の一人が、全国から集まった物資を避難所に届ける活動をしていた中で、仲良くなった子どもから「昨日誕生日だったんだ」という言葉を聞き、せめてケーキでお祝いができないかと考えたことがきっかけだった。ケーキを作る費用、届けるための費用を多くの方からの寄付で賄うという形で始まったこの活動はメディアの取材や口コミなどで広まり、1年間で1000個近いケーキを届けた。配達にはたくさんの有志の方がボランティアで参加し、また、ケーキを作りきれない時は、市内の仲間のパティシエたちが手伝ってくれたという。活動を通して「普段からの連携やつながりの大切さを感じることができた」と話していた。

インタビューの最後に橋浦さんは、「人間らしいってなんだろう」「豊かさってなんだろう」ということを今改めて考え直している。と話していた。人とのつながりや思いを形にする時、豊かな時間を過ごす時、そんな時にお菓子やケーキは必要とされることが多い。あくまで食品ではあるけれど、生きるために必要不可欠な「日用品」というより、「趣向品」という側面が強いのが特徴。ただ流行っているから、写真映えするからという物作りではなく、その差を「強み」としてしっかり認識しながら様々なアイデアをクリエイトできればパティシエという仕事の存在価値はこれからもっと高まっていくはず。そういったことを、これからこの職業を目指す若い子たちや今頑張っている子たちに伝えていきたいと強く語っていた。   

―取材をしての感想
ケーキ屋というお仕事なのに東日本大震災でたくさんの人たちのために活動をし、喜んでくれる活動をしていたことを当時小学生だった私は知らなかった。また、お店に寄ってプリンを買って食べた時、口の中で広がった味が甘すぎずさっぱりとしていた。味にこだわりを持っていると改めて感じた。


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菊池来実                                 東北芸術工科大学 総合美術コース三年

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