
乳幼児の親と友人5人で親子向けの演奏会を開催した話
先日、こんな親子向けの演奏会を開催しました。


演奏会は事前予約で満席になり、当日は約100名の親子が生演奏を聴いたり、一緒に歌ったりして楽しんでくれました。
演奏した私たちもほとんどが乳幼児の親で、仕事や育児でしばらく楽器を触っていないメンバーもいました。
そんな私たちがどのようにこの演奏会を準備して開催したのか、企画から本番までのあらすじ、赤ちゃんを連れての練習、たくさんの親子を迎えた本番の様子を記事にします。
どんな演奏会だった?
演奏会のコンセプトや企画したメンバーはこのようなものでした。
0歳から入場可能な、親子で楽しめるポップスコンサート
弦楽四重奏とフルート、エレキベースで親子向けのポップスや映画音楽を演奏
同じ大学オーケストラで演奏していた友人5人による自主企画
メンバーのほとんどが乳幼児の親。また会場の鎌倉に住んでいるのは1人だけで、ほか4人は県外の関東・中部・九州から参加
はじまり
企画メンバーは大学時代に同じオーケストラで演奏していた友人たちです。
私たちは当時、百貨店の食品売り場で『ポップコーンクインテット』として、年に数回ポップスや映画音楽を演奏していました。
オーケストラの活動でポップスを演奏するのは珍しいので演奏そのものも楽しかったですし、コンサートホールとは違って小さなお子さん連れの方々にも気軽に楽しんでもらえるのも嬉しかったです。
そんな楽しい活動だったこともあり、卒業後、地方に散らばってからも数年に一度集まり、お客さんなしで自分たちだけで演奏して遊んでいました。
「いつかは演奏会をしたいねー」「やるなら同世代の親子向けかなー」と話しながらも、それぞれの出産や育児、仕事の都合で実現には至らず…。
そんな中、2024年11月にメンバーの結婚式で会ったのをきっかけに演奏会の計画が急始動。
調べてみると、「ちょうどいい会場が2月に空いてる!」「なんとか予定を合わせればいけるかも!」「もうここでやるしかないやろ!」と一気に話が進み、開催が決まりました。
とはいえ、メンバーはそれぞれ忙しく過ごしています。
出産直後だったり、3人の子育て真っ最中だったり、仕事と育児で楽器から離れていたり、逆に仕事も演奏も詰め込んでいたり…。
そんな中で数カ月後に自主公演をやろうだなんて、よく決めたなぁ…。笑
何はともあれそんなわけで、子育て世代のメンバーが、色々な地方から集まって、親子向け演奏会を開催するための準備を始めました!
親子で楽しんでいただくために企画開始!
まずは「0歳から入場可能な、親子で楽しめるポップスコンサート」にするため、演奏会の内容や会場の準備を次のように計画しました。
演奏会の内容
子どもが楽しめるテレビや映画の曲を中心にしつつ、親世代の曲も数曲含める
一緒に歌おう!のコーナーとして子どもに一緒に歌ってもらえる曲も準備
曲間にMCやクイズで楽器のことも紹介
前後半間の休憩中に楽器体験コーナーを開催
会場の準備
前方にプレイマットを敷いた座敷席を1列準備 (チケットは椅子席と共通)
後方にブルーシートを敷いたベビーカー置き場を準備
また、公演中はお子さんが多少声を出してもOK、さらに演奏の入退室も自由とし、泣き続けてしまったときは場外で対応いただくようアナウンスしました。
当日は、お子さんたちは静かに演奏を聴いてくれましたし、泣いてしまったときも保護者の方が自主的に場外へ移動して対応してくださいました。
場外では「もう中に入れる〜?まだいや〜?そうか〜〜」みたいなやり取りがされていたそうです。

宣伝開始から1ヶ月で満席に…
企画が固まったら次は宣伝です。
今回はメンバーの個人SNSとイベント情報サイト、紙チラシで宣伝しました。
イベント情報サイトは全国区のもの、会場がある鎌倉周辺のものに加えて、おやこイベント.comという親子向けイベントに特化したサイトにも掲載していただきました。
チラシは会場の鎌倉芸術館や地域の生涯学習センターと子育て支援センターに置いてもらったほか、メンバーの子どもが通っている幼稚園でも配っていただきました。
このチラシを配ったのが1月上旬だったのですが、そこからどんどん予約が入り1月末には予定していた座席が満席に!
無料だからでもあると思いますが、乳幼児連れで気軽に聴きに行ける演奏会の需要を実感しました。
また、「親子で気軽に聴けるこういう演奏会は嬉しい!」という声もいくつか直接いただきました。

実は最初の座席数はざっくりとした見積もりで決めていたのですが、満席になったタイミングでもう少し座席を足せないか再検討しました。
実際に会場と椅子の寸法を調べて、舞台と客席の配置図を描いて無理なくどれだけ収められるかを考えます。
これは本来は最初にきっちりやっておくべきことです。基本的なことをサボってはいけませんね…。
結果として20席ほどを追加できたのですが、この追加席もチケット受付開始から30分で満席となりました…。
なお、チケットはteketの電子チケットを使用しました。
以下のリンク先が実際のチケットページです。
膝の上で聴かれるお子さまのチケットは予約不要としました。
本番2日前に集まって合奏開始!
メンバーは関東・中部・九州とバラバラに住んでいるため、合奏は本番直前に一気に行いました。
会場がある鎌倉に住むメンバーの家に泊まり込み、1日半で全14曲の練習、MCや楽器紹介、配置替えの確認、さらに当日の設営やお客様の誘導方法の確認まで詰め込みました。よくやったな…。
「久しぶり〜!」といったお喋りもほどほどに、本番へ向けて急ピッチで練習を進めます。
これまでに演奏した曲もあるので新曲は3曲だけでしたが、それでも2日で全曲を仕上げられたのは、それぞれの準備と長年一緒に演奏していた仲のおかげですね。
しかもメンバーの1人は練習2日目のお昼に別団体の練習で中抜けしていました。笑
合奏中、子どもは近くで遊んでもらったり、メンバーでない旦那さんに見てもらったり、抱っこ紐で背負ったりしながらなんとか練習を進めました。
うちの子はまだ0歳5ヶ月なので泣き続けるときもありましたが、メンバーの理解のおかげでどうにか合奏をやり切れました。
お子さまのみんなも頑張ってくれてありがとう…!

そして迎えた演奏会当日
演奏会当日も限界スケジュールは続きます。
会場が使えるのが9時からなのに、演奏会の開場は10時。
1時間で舞台・カメラ・プロジェクター・客席・プレイマット・受付・パンフレット・案内表示の準備を済ませ、受付方法を打ち合わせたあと、演奏の音出し確認をします。
会場が午前中しか取れなかったのでこんなことに…。本当はもう少し長く予約したかった…。
全力で準備を終わらせて予定通り10時に開場。
そこから10時15分の開演までに約100人のお客様の受付をします。
なお、当日のサポートをお願いしたスタッフは1人だけ。
遠方から集まるメンバー5人で企画しているため予算にも限りがあり、受付を含めたスタッフ業務はメンバーも担当しました。
また、うちは夫婦で出演するため、演奏会当日はシッターさんに会場で子どもを預かっていただきました。
そして順調にお客様にも入場いただき、演奏会は定刻に開演!
子どもたちは元気な声で「トットロ、トットーロ!」と歌ってくれたし、「フルートを持ち運ぶときは何本に分けるでしょう?」というクイズには選択肢を無視して「14本!!」と答えてくれたし、最後は親子で「ぼよよよ〜ん!」の振り付けもしてくれました。
休憩中の楽器体験コーナーも大盛況で、たくさんの子どもたちがメンバーの楽器で音を鳴らしてくれました。

11時半過ぎに終演したら30分足らずで片付け、なんとか12時までに会場の鍵を返して演奏会を終えることができました。
終演後アンケートからの反省点
アンケートでは概ね好評価をいただきましたが、公演の長さや客席の配置については改善の余地がありそうでした。
公演の長さ
今回の公演は前半25分、楽器体験を含む休憩15分、後半35分という構成でしたが、「休憩が長くて子どもの集中力が切れてしまった」という声もありました。
乳幼児の親子向け演奏会としては休憩をなくして45分ほどにするのも良いかもしれません。
客席の配置
今回の会場は客席に段差がなかったため、特に後方のお子さんは奏者が見えづらくなってしまいました。
奏者の周りに半円形に座席を作ったり、座敷席を増やすために直接座れる会場を選べると、より良いかもしれません。
おわりに
ここまで書きながら改めて、よくやったなぁと自分で思いました。笑
親子で楽しめる演奏会を目指して準備した結果、「観に来てよかった」と思ってもらえる演奏会にできたのではないかと思います。
自分たちの力だけでなく家族の支えや友人の応援があったからこそ実現できたことです。
サポートしてくれたみなさん、本当にありがとうございました!
さらにメンバーそれぞれの個性や経験が活きた、自分たちらしい演奏会になったことも嬉しいです。
演奏だけでなくトークや運営、接客もでき、親でもあるこのメンバーだからこそ、この形の演奏会になったのだろうと思います。
社会人になったり育児が始まったりで楽器を演奏する機会が減ったメンバーもいますが、それでもまたみんなで集まって演奏会をつくる時間は、大変ながらも楽しいものでした。
演奏会のあとはみんなでグッタリしながらお寿司を食べて打ち上げをし、夕方にはそれぞれ帰路に着きました。
特別な時間も、ごくごく自然に終わります。
また演奏会をするかは分かりませんが、とりあえずまたいつか、みんなで集まって遊びましょう!
