ろうそくの火
「ろうそくの火を消すように、ふっと消えてしまいたい時がある」
彼女は言う。
「煙の匂いだって、すぐにわからなくなるでしょう?」
「そのくらい簡単で後腐れないのがいいわ」
虚ろな目、乾いた唇、なのに少し笑っている。
ろうそくの火を消すにもエネルギーが要る。
少し強く息を吐き出す、それだけなのに。
でも覚えていてください。
風に揺れたり、息を吹きかける誰かがいるかもしれないけれど、
その火は自分から消えることはないんです。
蝋が溶けて無くなるその時まで、自分からは消えない。
もちろん、蝋の量や長さはそれぞれだけど。
意味なんてなくていいんです。
何者になろうとしなくてもいい。
必要とされなくてもいい。
いつでも意味は後付けできるし、
名乗ろうと思えばどうとでも名乗れるし、
必要かどうか悩むより、なにかを与える側でありたい。
そのままでいてください。
何を言いたいかは自分でもわかりません。