イオンモールは地方を救うのか?
皆さんはイオンモール最強説というのをご存知だろうか?
イオンモール最強説とは地方や地方と東京の比較について論争する際に出てくる、イオンモールを地方の希望の星とする思想である。
イオンモールに行けば何でも揃っていて買い物に困らない!休日1日潰せる!イオンが出来れば地方の全てが変わる!都会にも負けない!
そんな感じでイオンモールを高く評価する人がインターネット世界には非常に多いのだ。
イオンモールは1992年に一号店としてつがる柏店が開業。以後全国各地に店舗を開業させ、国内のショッピングモール最大手の地位に君臨している。地方の郊外に出ると大きなイオンモールが建っていて休日は車で溢れかえるなんてことは今や珍しくない。筆者も地元のイオンモールを幾度となく利用し、買い物、飲食、遊びと様々な面で本当に助けられている。
そんなイオンモールであるが、イオンが出来た地方では大きな変化は起きているのか?地域活性化や地方創生の観点で見たとき、本当に地方の希望の星たり得るのか?
気になったので調べてみることにした。
・イオンが街に与える効果とは?
一口にイオンモールと言っても、街一番の駅前にある店舗もあれば周りに田んぼしかない場所に広い施設と駐車場を備えた店舗まで形態は幅広い。なので街へのイオンの影響を考える時には、出店しているそれぞれの街の経済規模や抱えている事情も考慮しなくてはいけない。
今回は地方とイオンの関係性を掘り下げるべく、地方の一店舗と店舗の所在する自治体の統計を中心に他店舗の事例も参考にする形で考えてみることにした。
という訳で取り上げる店舗は、山形県の三川町にあるイオンモール三川だ。
三川は庄内地方唯一のイオンモールであり、イオンが地域にどれだけの効果をもたらしているかが推測しやすいこと、イオンの所在する三川町と近隣の市町村で経済規模等を比較しやすいことから選抜した。
早速三川町の様々な統計を見てみよう。
・消費
イオンモールが出来ることによる最も大きな変化は、消費が活発化し地元経済が潤う事だろう。これはどれ程の効果があるのか?
山形県より発表されている統計年間によると、三川町では令和3年の小売の年間販売額は213億となっている。流石に人口が多い鶴岡市や酒田市には及ばないものの、同じ町で三川町よりも人口の多い庄内町よりは販売額が多い。
特筆すべきは買い物による市町村間流動で、最寄品(食品や日用雑貨等)が居住地内での買い物が多いのに対し、買回品(服や家電、家具など複数のものを比較検討して買う商品)では近隣地域から三川町への流入が一定数存在する。ここからイオンモール内の専門店で買い物をする為にやって来る人がそれなりにいると考えられる。
つまりイオンモールは嗜好品や娯楽系の買い物をするために行く場所としてのニーズが大きい事になる。イオンの開業は、地域のそうしたニーズを拾って消費を拡大させる効果はあるだろう。
もっとも、これには他の商業施設が経営不振や閉店に追い込まれるデメリットもある。実際庄内地方でも鶴岡駅前の商業施設が閉店に追い込まれているし、他の地域でも商業施設の閉店や商店街の空洞化がイオン開業によって起きたという話は多い。イオンの集客は限られたパイの奪い合いになってしまってる可能性はあるだろう。
・雇用
イオンができることで地域にはどれ程の雇用が生まれるだろうか?
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