産んだス文明についての所感
筆者のツイッターのTLでは今「産んだス文明」というワードがしきりに登場している。
これは簡潔に言うと、「結婚して子供を産んだ奴が偉い!一人前!そういった奴を全力で支援していく!」という価値観の事であり、かつて日本に存在していた産め圧に近いものだ。
この産んだス文明が日本に到来するかについてしきりに議論が行われているのだが、この意見が真っ二つに割れているのだ。
やってくる派の主張は、
やってこない派の主張は、
といった具合だ。
これについて筆者としては、どっちも起こりうるし、どっちもありえないとは言い切れないという曖昧な考えなのが正直なところである。
強いて言えば、結婚して子供を持ちたい意識のある人は早く結婚して子供も複数持つ方向に向かい、意識のない人は最初から(交際の段階)から一切関わりを持たないという風に二極化していく可能性があると考えている。どちらの生き方について情報を仕入れ共感するかで選ぶ道が各々変わってくる感じだ。両者の分断を深めかねないので望ましい方向とは言いがたいのだが…
ただ少なくとも、「結婚しない、子供を産まない生き方を多様性として尊重しよう」という価値観を社会全体で称賛するこれまでの流れは終わると考える。それは産んだス文明やってくる派の主張に書いた通り、これまでおひとり様を称賛してきた結果が様々な形で可視化され始めたからだ。
ミクロでは40代50代を迎え子供を持てない事が確実となった中年の姿がsns等を通して次々に現れ始めた。彼等彼女等の生き方は、ぬいぐるみや甥っ子姪っ子を自分の子供のように可愛がったり、街中で子連れの女性達を見かけてはSNSで切れ散らかしたりと、子供がいない虚無を何としても埋め合わせようとする常軌を逸したものばかりだ。とても幸せには見えない。それを見た若い世代の中で「こんな風にはなりたくない」と考える人が出ることはおかしくないだろう。(実際、結婚相談所では以前よりも婚活を始める年齢の若返り傾向が出始めているようだ)
マクロでは少子化の進行とそれによるインフラ、社会保障の持続困難がいよいよ無視できない段階に来た。「お金がないから、支援が足りないから少子化になるんだ」といった意見は相変わらず強いが、他方それらの支援をやっても大した効果が無いことも徐々に知れ渡っている。そうした要因から、「色々な生き方が今はあるから結婚しない子供を持たない人が増えても仕方ない」という皆がうっすら持っていた考えについても、今後は無視する事が難しくなる。「結局、こういう考えを広めたのがいけなかったんじゃないの?」という結論にたどり着く人は増えていくだろう。
社会全体に広まっていくかはともかくとしても、少なくともおひとり様称賛一辺倒だったこれまでの流れは、その結果を反面教師と見なす人達の登場によって終わるだろう。
個々人で出来る事と言えば、筆者含め子育て適齢期の世代は産んだス文明に賛同し可能な限り結婚して子供を持つことに努める事、世間に対してはおひとり様称賛文化の結果をどんどん可視化して、産んだス文明に参加する事を若い世代に呼びかける事だろう。こうすることで生まれてくる子供をひとりでも増やしていく事が国や社会にとっても良い結果をもたらすと考える。
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