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龍が生き続ける国での「小林さんちのメイドラゴン」

以前、耳にしたことがあるのだが、『小林さんちのメイドラゴン』(著者:クール教信者)のアニメが中国というか、中国の動画配信サービスで人気だと聞いた。
原作も

一応、簡単にあらすじを言えば、『小林さんちに来たメイドはドラゴンだった』以上となる。いや、タイトルを少し丁寧にしただけだが、本当にこれ以上のことはない。
実際、アニメ公式サイトのあらすじも、もう少し情報が多いだけで対して変わらない。

しかし、このタイトルで作品の要素は分かる。なろう系なタイトルよりも短く、単純明快である。
ちなみに「小林家的女僕龍」は見ての通り、中国語題。説明しなくとも漢字だけで「小林さんちのメイドラゴン」と読めてしまうほど、シンプルでジャンルや要素もまで読み取れる。

さて、タイトルからも分かる通り「メイド」、「ドラゴン」といった単語から日本でも売れる要素は十分あるため、中国で人気が出たといっても不思議ではない。
ただ、結論からいえば中国での人気の理由はクールジャパンの側面ではなく竜、ドラゴンも大きく要因しているとのこと。いや、この場合は『龍』と書くべきかな。

『龍』は日本においてもシンボル的な意味は大きい。それがイメージの源流である中国にとっては更に馴染みの深い存在であるのは間違いない。

それに「龍人」は中国の古典でも多く出てきている存在。日本でも馴染みの深い西遊記でも出てくる。それほど身近な存在として、今日まで伝わっている。
少し調べていて面白かったのは、ヨーロッパ地域でも「ドラゴンメイド」という伝承があること。
中国とは神聖度の差はあるが、人知を超える存在として描かれ、その行動に対して、名誉、又は罰が与えられるなど共通点がある。
ただ、この価値観は昨今の創作における「龍人」とは大きくずれがあるだろうが。

そんな現在の価値観で作られた「小林さんちのメイドラゴン」は『龍』、ドラゴンが出てくる題材ではあるが、安心して見られるという点も大きいか。
バトル要素もほぼなく。ハーレム要素も変則的でアットホームな作品となっている。多分、これが日本とは別の国であっても、現在日本的な牧歌と捉えて見ていたのかもしれない。
確かに、この作品を少年漫画に置き換えた場合、まず主人公は男となる。それだけでも変更で安心して、見られるモノにはならない。また、ハーレム要素が最悪の結果になる。そして、ドラゴンはバトル要素に発展する。
ただ、主人公を働く女性に置き換えることで家族という要素に昇華しているのは改めて考えると、すごいと感心する。

余談にはなるが、いまだよく分からないのは作者のクール教信者氏。性別自体も非公開のため、お話の作り方は女性的なモノを感じるけれど、扱っているネタまた、作者自身の好み、性癖は男性的であり、いまだマンガから読み取れる情報では不可解である。
割と性別の出やすい絵の描き方にしても、どちらともつきにくい。
ただ、そこも踏まえて、氏の作品を楽しめるため、非公開なのは正しいと思う。

少し話を中国のアニメ事情に関して変えていこう。
中国はその規模からも世界最大のマーケットである。だが、お国事情もあり閉ざされた所もあり、最近はそういった背景からもアニメに対してもオープン、かつ、正規に配信されるようになり、世界最大のマーケットはアニメに対しても解放された、
とはいえ、置かれているお国事情もあるので完全にはオープンではないが。

(これは語るには危険な要素だけれど、簡単に言えば政府が掲げる方針と違うことを謳う作品は受け入れられないみたいな具合だ。これはSF的な世界と感じるが、しかし現実である。また、日本においてもそういった時期は確かにあった。ことマンガ、アニメに対しても)

そういった経緯からか、中国の人気も考慮されたらしく「小林さんちのメイドラゴン」は第2期の制作が決定された。日本での売り上げは一定水準あったが、基準からいえば日本国内では、そういった背景を考慮して考えると難しかったようだ。
つまり、「小林さんちのメイドラゴン」は中国におけるアニメ産業の足かがりを作った作品として、評価されなければ次に続かない気がする。

こと中国に置いては、ドラゴンは生きている。
中国由来の龍は西洋のドラゴンへと代わり、絶滅への道を辿る、日本の竜は別の大地でその羽を伸ばし、羽ばたいている。大事な存在と知らしめるために。

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一応、最後に中国のオタク界隈で影響力の高い、「京アニブランド」。
これは先日の事件においても、中国の動画配信サービスでも追悼の意を表したほどである。

今後、アニメ事情も通じて、すべての関係がより良い関係を築けるよう信じて、締めたいと思う。

【2019年9月19日 23:00  カクヨムに掲載したものを一部編集したモノとなります】

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ツカモト シュン
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