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社内研修でいわき市から豊洲へ。チームラボプラネッツTOKYOと千客万来へ行ってきた件について
11月16日(土)。
まだ朝の冷え込みが残る青空の中、総勢41名を乗せたバスが本社を出発しました。
片道約4時間の東京日帰り往復。移動時間の方が長いよな、と隣に座った菊池さんと話をしながら研修は始まりました。
車窓を流れる各所の歴史を絡めたバスガイドさんの語りと、歴史に詳しい菊池さんの語りがリンクして思わず笑ってしまう道中。普段の仕事では出ない話題で盛り上がる車内も研修の楽しみだなと感じました。
ここで全てを絞り出すようにと車内アナウンスのあった守谷SAでの最後のトイレ休憩を終え、スッキリした面々を乗せたバスは利根川、江戸川を超えて首都高に入りました。久しぶりに荒川沿いに見る東京の風景は、スカイツリーを囲む高層ビルやマンション群が広がり、東京という大都市の持つパワーとそのスケール、その裏に見えるスクラップ&ビルドの歴史とトーキョーの開発行為を改めて感じさせられるものでした。
コロナ禍などもあり私はここ7年近く東京に来ていなかったので、都市と建築群に圧倒される感覚を久しぶりに味わった気がします。
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最初に訪れた「チームラボプラネッツTOKYO」は、豊洲市場から徒歩5分に位置するアートコレクティブ・チームラボによる体感型の美術館で、単一アート・グループの美術館で来館者数世界一としてギネス認定されたということを後で知りました。事前情報がほとんどなかった私は、来場者の大半が外国人であり、靴を脱いで裸足になることや、膝下まで温水に浸ることにまず驚きました。足裏で様々な床の素材や水流を感じつつ進むと現れる各展示室は、変化する光や映像、鏡を用いた空間連続性と拡張の演出により、床・壁・天井という建築空間の概念から身体が解き放たれ、まるで仮想空間に浮遊するような感覚を来場者が共有できる構成となっていました。加えて、インスタ映えする空間づくりが、言語を超えて世界中から人を集めると同時に、靴を脱いで裸足になる行為が、どこか日本の住宅や温泉の足湯のようでもあり、日本を感じる観光地として人気なのかもなと、展示室各所でポージングして撮影する多国籍な来場者を眺めつつ感じました。
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仮想空間の余韻で浮遊する身体に靴下と靴を履かせ、再び地に足の着いた身体は、次に豊洲市場方面へ歩き「千客万来」へ。今年2月にオープンした複合商業施設で、国内最大級の木造耐火商業建築です。到着してまず圧倒されたのは、多くの人で賑わう目抜き大通りでした。江戸時代の町並みを再現した通りには長屋風の店舗が軒を連ね、まるで小さな城下町を歩くような楽しみがありました。バス駐車場のある1階は鉄骨造、2階と3階が木造の混構造となっており、鉄骨造部も木造の町並みに溶け込むよう木装化され、一見しては連続した木造の町並みでした。
昼食会場となった食楽棟3階の海鮮バイキングでは、柱や大きな梁を見せる木造空間が演出されていましたが、梁材には木材を貼っているように見えました。後に調べたところ、見せる梁材に使われていたのは、構造体の木材を燃え止まり層(石膏ボード)で巻き、さらに表面を多摩産の木材で巻いた木質耐火部材COOLWOOD(1時間耐火仕様)でした。法令に沿って大規模な木造耐火を実現する為に、建築に携わった方々の技術開発と施工の努力を感じます。
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昨今のメタバースやAR、VRで広がる仮想空間の浸透によって、今後ますます建築体験は、固いモノではなく、柔らかく変化する個人の仮想というより夢想空間を共有する体験装置として進化していくように思います。そのようななかで、日本国内のインバウンド消費を促す観光建築、空間づくり、都市計画は、夢想空間化が進んでいくのかもしれません。
その中で提供される観光資源としての日本的木造建築、空間づくりは、伝統建築という固いモノではなく、どこか仮想空間に繋がるような、表面的で夢想的なモノになっていくのかもしれません。
ただ、そのような夢想を実現する為にも、現場で何かしらその場を作る為の努力や技術革新は進めなければいけないのだと実感しました。
今回の研修では、アートと食を通して日本から海外に向け発信する最新の観光スポットを、地方の建築関係者(とアーティスト)という立場で体感することができました。こうした貴重な機会を与えていただき本当に有り難うございました。
(社内報の記事を書くにあたり、字数が収まらなかったロングバージョン原稿より)