イヴを初見プレイして考察について考察
おすすめされてプレイしてみたIb-イヴ。
ハードはニンテンドーSwitchでのプレイ。
エンディングは全部で7つあるそうで、それも全て見た。
またその考察動画も見てみた。
以下、ネタバレが含まれます。
イヴの両親とギャリーは作品だったのか
まずはこれについて。
私は違うと感じました。
【イヴの両親の絵があった】
確かに両親の絵のようなものはありました。しかし、ギャリーの「(この子相当参ってるわね)」という心の台詞から考え、イヴの目には両親の絵に見えた説を推します。
またもう1点、ゲルテナは生きた人間の絵は描いていないという点です。
その理由からギャリーもまた元作品とするにはなんとも言えないかなと考えます。
彼の絵画は〘忘れられた肖像〙として出てきますが、これはギャリーがあの世界に閉じ込められたという事ではないかと思っています。捕われ、作品の1つにされてしまったという説。
元々彼らが作品であった。だから絵画が存在しているという理由ならば、今のイヴの絵画があったことがズレてくる点ではないかと感じています。
※黄色の部屋左手側、かくれんぼをした場所で見つかります
なので〘ようこそゲルテナの世界へ〙EDでは、あの世界に捕われ、例の絵画になったのではないかと考えます。
ギャリーについて
ギャリーは謎が多いですね。
私が強く謎だと感じる部分が大きく3点。
【ライター】
ライターがあるのにタバコがないんです。ジッポライターって飾りで持つこともあるでしょうが、基本的には使うから持つものと思っています。デザインがカッコいいという理由なら家で飾るのではないかなと。
なぜライターだけ持ち歩いているのでしょう。また、これがそもそもギャリーのものであるかもわからないですね。
【コート】
ボロボロのコートのように言われますが、こういうデザインであると本人が言います。ただ、使い古してるから、ボロボロと言えばそうだけどというような内容も口にしていたかと思います。なので、お気に入りのコートでよく着ているのがわかります。
ただ、「こんな事ならもっと寝ていればよかった」「ほんとはもっとおしゃれして来ようと思っていた」のような発言がありました。
ここでわかることは、
普段の休暇より早起きしていることと、
おしゃれをしてこなかったこと。
この2点がわかります。
ギャリーは男性で、口調は女性です。
この事から、男性でありながら女性の一面を持っている事がわかります。
そして個人的に思う事ですが、心も体も女性の方よりも男性で女性の心を持ち合わせている方のほうが美的意識が高い。
だから、出かける時はしっかりメイクされたり綺麗な装いをされたりする方が多いというイメージがあります。
ですが、早起きをしたにも関わらずおしゃれをしてこなかったギャリー。
ましてや行き先は美術館なのにです。
ギャリーの中で、おしゃれして行くほどの場所ではないという判断だったのか。
それは何故なのか。
あえて使い古したボロボロデザインのコートを着てきたのか。
(ただの余談ですが、文豪ストレイドッグスの芥川は、育ての親とも言える太宰が捨てたコートを後生大事に着ています…。)
【吊るされた男】
冒頭ギャリーはこの絵画の前に立っています。話しかけても返答はなく、何か考え込んでるような雰囲気。
絵画の中に入って、同絵画を見た時に「やっぱりへんな服着てる」というような事を口にしていました。
このへんな服とはどういう事なのかずっと気になっています。
イヴを通して見えている吊るされた男は別段おかしな服は着ていないからです。仮に、自分と同じコートを着ているようにギャリーに見えていたとしたら、驚いて怪訝な顔をしているはずで、自身が描かれていたとしたらもっとでしょう。
〘忘れられた肖像〙が〘吊るされた男〙と差し替わるので何か因果があるのでしょうが、ここがかなり推測ができない箇所です。
メアリーについて
こちらも私は否と思っています。
孫ではなく娘だったのではないかという説の方を推しています。
こんな話があります。
孫をもつAさん
「孫を選びます」
孫はいないが娘がいるBさん
「当然娘を選びます」
孫を持つCさん
「孫も大事だけど娘を選ぶ」
女性と男性、また孫がすでに居る居ないなど条件下で選択肢が変わるかと思います。
AさんとCさんはどちらも娘も孫もいて、選択が違いました。
Cさん曰く、娘は自身が大変な思いをして産んだ子であるが孫は違う。
では、
だとどうでしょう。
孫を選びますか?
娘を選びますか?
父親ならば、どうでしょうか。
私の想像です。
ゲルテナには産まれずか、産まれた後間もなく亡くなった娘がいたのではないだろうか。
その娘を、生き返らせたいと思ったのではないか。
自身には作品を描く力がある。魂を込めて生涯最後ではなく、生涯を捧げる形でメアリーの絵画を描いたのではないだろうか。
.hackやバイオハザードもそうだったろうか、娘を生き返らせたい、或いは病気を治したいという想いのキャラクターがいる作品がいくつかあるように思います。
孫よりも娘の方が、よりその想いが強いのではないかと想像しました。
なので、娘だったのではないかという説を推します。
交換がなされれば現実の世界に来られるという内容が書かれた本があった事から、ゲルテナはそもそもそれを狙っていたのではないかと考えます。
ゲルテナには孫がいることも、ジャグリングの絵画でわかっています。
もう一人、ゲルテナには息子がいたのではないかと私は考えています。
そちらは後述にて。
ゲルテナについて
作家にとっての作品は、自身の子供のような所があるのではと思っています。
私も作品を作る側で、大したものはないですが、そんな私ですらそれを思うのです。
魂を込めて作っているといった、日記だったかを見つける箇所がありました。あれだけの芸術家であるなら、もちろんそうだと思う。
ひとつひとつに魂が込められ、またひとつひとつは彼の子供なのです。
そして、こうも思いました。
作品はひとつひとつ独立しているが、その全てが自身の1つの作品であるのではないか、と。
あの美術館はそもそもゲルテナの展示だけをしているのか、ゲルテナの展示は毎回違う場所で行われているのかはわからない。
ただ、
美術館丸ごと全てが、ゲルテナ自身の作品と言えるのではないかと思うのです。
作品は身を切り作り上げるものです。つまり作品とは、イコール自分なのです。
だから、美術館=作品=ゲルテナ自身なのではないかと思いました。
あの美術館という空間そのものが、ゲルテナ自身の魂の空間であると、そのように考えます。
生きている家が題材のホラー映画がありました。家の空間そのものがねじれており、その家から出られないような内容だったかと記憶しています。
たとえばこの世界も同じなら、空間のねじれも理解できます。なかった場所に突然階段が出てくる、よくわからない空間が繋がっている。
この空間そのものがゲルテナ自身ならば、好きに書き換えられるということです。
あの、『おいでよ』『あそぼうよ』というメッセージは、ゲルテナ自身のものなのではないかと思いました。
だから、イヴの両親と思しき絵を置くこともできるイヴ自身の絵を生み出すこともできる。
自由に意志があり歩いているのはメアリーだけなのもここに理由があるのかなと考えます。
メアリーは娘なので自由にできる。
そうなると合わなくなるのが、
メアリーをこの世に戻したいのではという説。
ここはこじつけになりますが、魔物と化したものは、意識がそれこそ心壊しているのではないかと考えます。
ゲルテナの愛人について
イヴの見た目や存在、またイヴの母親とその見た目は一旦さて置き。
赤い服の女はゲルテナの愛人ではないか、ということが囁かれたとゲーム内本棚の絵画の説明にあった(と思う)。
しかし、ゲルテナは実在の人物は描かないはずなので、そこに合わせると辻褄が合わない気もするのです。
同じように、青い女、緑の女、黄色い女、あと中盤ブーストかけて爆速で追いかけてくる白い女もいたので、これが全部愛人とは言い難い。彼女達は財産目当てに群がってきた女性という見解になるが、あの白い女はあまりにも恨みが深すぎる…。
〘死後の逢瀬〙も王冠マントの骸骨と赤い服の女性である事から、赤い服の女が本命で、ただ追いかけてくる絵の女とは別と捉えるのがよいのかなと考えました。
〘死後の逢瀬〙の女性がゲルテナの本命で、また愛人であるからこそ〘隠した秘密〙から始まるステージに作品があったのかとも考えられます。
この作品は絵ではなく立体でした。
よほどこの女性を愛しており、自身の死後も支配したいと思っていたような印象を受けます。
額縁から抜け出して…額縁から…抜け出してる……?
ゲルテナは実在する人間に恋したのだろうか?まさか絵の女性に恋したとかではなかろうな…?
パニックになってきたので一旦置くとします…。
追いかけてくる絵画の女達
彼女達がゲルテナの財産目当ての女達でゲルテナはそれを想像して描いたにしては、執着が激しすぎるように思いました。また、そんな相手を魂を込めて作品にするのでしょうか…。
たとえば、ゲルテナの財産目当てで近寄ってきて深海の世界に引きずり込まれ、帰られずに心壊し絵画になってしまった。この可能性も考えました。
しかし、3人ともあの世界から出てこないEDでメアリーが『本当は子供しかだめだけど』というような事を言って、イヴはともかくギャリーも絵画となってそこに残りました。
そう言われれば
『おとなのいない 楽しいせかいで あそぼうよ』というような壁の文字があったように思います。
となれば、前述女性達が引きずり込まれ絵画となった線が薄くなりますね。
自画像の謎
自画像は残さなかったはずなのに、追加された部屋にはそれが存在しており、そこがこの部屋の出口となっていました。
そしてこの自画像に私は違和感を覚えるのです。
自画像は、鏡を見て描くのだから、前を向いているものではないのかと。
自画像といえばゴッホ。耳を切り落とした後描かれたものがあったが、正面向きだったと思います。
わざわざこの自画像は顔がなく、なんだったら視線は低い。子供が大人を見た時の視線に近いようにも思うのです。
しかし、子供にここまでの絵は描けない。
ベッドから、描いた?
誰が?
愛人が、病床で描いた?
或いは…女性の弟子?
〘あこがれ〙という絵を見た時に「ゲルテナの作品のわりにファンシーな絵ね」のような事をギャリーが言っていました。
その絵は、ゲルテナの作品だったのだろうか。
このゲルテナの肖像も、ゲルテナ自身の作品なのだろうか。これがとても怪しく思いました。
もう収まらないのでこの辺にしておこうと思います。
考察というか、ただ悩み事をつらつら書いただけのような気もする。
これが元々フリーのゲームだったらしいのがとても凄い。
我々も既にゲルテナの深海に引きずり込まれていると言っても過言じゃないですね。
やー、しかし、なんなんだこの世界は。
とにかくIb、面白かった。
ぜひ色んな人の解釈を伺いたい。