自燃庵千話 第2話 「利子」という呪文から解放されるか?

 コロナ禍対策で、各国は財政支出が膨らみ、その先の世界経済に暗雲が広がっている。

 その根幹にあるのは、「利子」という呪文に人類全体が飲み込まれたことにあると考える。


 そもそも最初は物々交換だった。
 そこに貨幣を介在させ、将来の支出に備えて貯蓄ができるようになった。食物は貯蔵ができても鮮度が落ち、腐っていく。
 貯蓄が減価するのは困る。そこに「金貸し」というビジネスが登場し。「利子」という呪文を唱えた。貯金を金貸しに渡すと利子がついて戻ってくる。一方で借金して当座のやりくりをする人がいる。その結果、「持てる者」はますます富み、「持たざる者」は収奪されるという構造が固定化した。


 借金は、「ツケを未来に先送りする」というもの。そのツケに利子がつくのが厄介だ。利子がつけば、「早く返さなば」という焦りが生じる。利子がなければ放置できる。
「持たざる者」が利子に反対しないのは、やがて「持てる者」になれるかもしれないという期待だ。


 昔は「徳政令」で、借金棒引きにして、貸した者に負担させ、貧民を救済した。ということで、時々「徳政令」が必要かもしれない。
 もう一つ、現在の金融は「年金基金」が柱になっている。恐慌になると年金が崩壊する。それも困る。
 ということで、富めるの者が富を放出するか、借金を永遠に棚上げにしておくか・・・そういう選択しかない。


 つまり「利子」という呪文を一から疑うことなくして、どうにもならない。