4スタンス理論で「あごを引け」はNGなのか(おまけ編)
基本編🔗はクロスタイプ(A1,B2)とパラレルタイプ(A2,B1)の脳の安定平面のちがいをまとめました。
実践編🔗は脳の安定平面はまず「安定立位」が前提であるという内容を書きました。
おまけ編では近年生まれた「正しくあごを引く」という概念について解説します。
また「どうすれば自分の平面を見つけられるの?」というテーマも後半に解説します。
※この記事では一般の方に分かりやすいようにREASH理論や骨理学全般を指して4スタンス理論と呼んでいます。
「正しくあごを引く」とは
生徒さんから
「正しくあごを引く」ならパラレルでも大丈夫ですか?
と質問されたことがあります。
この表現は私も聞いたことがある程度であまりくわしくありませんでした。
調べると「正しくあごを引く」が有用な例もありそうだったので紹介します。
バズったツイート
みなさんは「正しくあごを引く」と聞いて何が思いうかびますか。
私が思い出すのは2015年にTwitterでバズったこちらのツイートです。
一般的な「あごを引く」はすこし下を向くイメージですが、写真うつりを良くするためには頭ごと後ろに引く方がいいそうです。
写真うつりのテクニックに関するツイートなので厳密には違いますが、姿勢の作り方で近年使われる「正しくあごを引く」方法とほぼ同じですね。
いつから使われ始めた?
ネット上では2011年に整体師の方が使ったのが初出のようです。英語でも調べてみると、日本より早く2009年ごろから同じようなあごの引き方が登場しています。
(もっと古いHPや書籍で見つけた方はコメントいただけるとありがたいです)
「正しくあごを引く」が古来のあごの引き方であるリファレンスは見つからず、この「正しく」は「本来の方法で」という意味ではなく、「従来より役に立つ方法で」に近いニュアンスで使われているようです。
(こちらも情報をお持ちの方はコメントいただけるとありがたいです)
「正しくあごを引く」のメリット
「正しくあごを引く」と猫背や腰痛予防になるというブログがいくつかあります。これは4スタンス理論の観点からもフォローできます。
じつは「正しくあごを引く」は4スタンス理論の「安定立位」や「安定座位」の説明の一部と一致します。
安定立位を例に説明します。
安定立位では、骨格の中でとくに大きな役割をもつ関節が垂直にそろって軸をつくります。このとき、軸の上に頭蓋底がのることで脳が安定します。
軸になる関節は揃ったけど肝心の頭がズレている人には、頭蓋底を軸の真上に意識的に乗せこむ動作として「正しくあごを引く」が役に立つ場合があります。
例えばスマホ首のように頭が軸より前に落ちてしまう人や、フランクフルト平面と聞いて頭全体を前にずらしてしまう人は、「正しくあごを引く」イメージを持つと軸上に頭蓋がおさまりやすいかもしれません。
「正しくあごを引く」のデメリット
「正しくあごを引く」は頭を後ろに移動させるので、元から頭蓋底が軸上にある人や、頭が後ろに行き過ぎている人には逆効果です。
たまにカンペル平面を意識して頭がふんぞり返る人がいます。
こういう方はむしろ普通にあごを引いた方がいいです。
「正しくあごを引く」はスタート地点とゴール地点のイメージが人によって違います。4スタンス理論(骨理学)ではあいまいな表現を避けて、骨座標という概念で説明しています(ここはまた別の機会に)。
余談ですが、カンペル平面を意識してふんぞり返る人は実際はクロスタイプのことが多いです。クロスタイプ(A1,B2)は自然に軸上で頭がフランクフルト平面になっていますが、カンペル平面を無理に意識することで頭が後ろにずれてしまう場合があるからです。
「正しくあごを引く」を正しく使う
「正しくあごを引く」のようなイメージワードは人によって認識がズレる可能性があります。4スタンス理論ではあいまいなイメージワードを避けることが多いです。
とはいえイメージワードは感覚的に伝わりやすい言葉なので、適切に使えば大きな効果を発揮します。現場での声掛けの選択肢として持っておくのは悪くないと感じています。
安定立位や安定座位を説明するときに、(頭が前に落ちる)スマホ首が多い近年では「正しくあごを引く」が優秀なイメージワードになるかもしれません。
書籍では安定立位(「正しくあごを引く」に近い動きを含む)が先に説明されており、その後の章で(従来の意味で)あごを引いたように見えるクロスタイプとあごが上がって見えるパラレルタイプの安定平面の違いがトピックとして取り上げられています。
自分の平面の見つけ方
後半は自分の脳の安定平面を簡単に見つける方法を紹介します。
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