2023年書籍編
Xで流れてくる作品を気まぐれで眺めていると、たまにとんでもない作品に出会うことがあります。
大手出版社の作品が無料で読めるような時代に、そういったインディーズ魂あふれる作品に出会うと興奮するし、とても嬉しい。
絵が汚くても、ありふれた設定であっても、何か1つでも刺さるものがあるような作品こそ応援したいですね。今年はそんな作品にたくさん出会えた気がします。
▶︎漫画
ヤニねこ
一発屋的なSNS漫画かと思いきや、商業連載まで行ってた謎の漫画。
とりあえずキャラとギャグのセンスが良い。思っていた何倍もちゃんと練られていた作品でした。
最近は初期の過激さが薄れて益々きららに近づいた気がする。
たまにヤンマガwebを覗きに行くので末長く続いて欲しいですね。
スラムダンク
映画をやっていたので気になって読破しました。
高校3年間を描いた作品かと思ったんですが、全31巻でありながらほんの3か月くらいしか描かれてないんですね。その分内容は濃密です。
部活、恋愛、人間関係が絡み合うストーリーもさることながら、絵柄やご都合主義過ぎない展開からも伝わってくるリアリズムが非常に好印象でした。
仙道さんと部活サボって釣りしたいです。
金色のガッシュ!!2
ガッシュが復活ということで読んでみました。
ファンサービス的な内容かな、と思ったら初っ端からシリアスでビビった。
雷句先生は相変わらず熱いシーンを描くのが上手いので、お馴染みのキャラが登場するだけでゾクゾクします。くだらないギャグも重い話に対していい清涼剤になっていたり。
あと若干気になったのですが、ガッシュやキャンチョメの等身に違和感があります。別に悪くはないのですがなんともシュールです。
少女ファイト
全話無料キャンペーンで読みました。
ヘタウマな絵と世界観が良い。団体スポーツ漫画の宿命であるキャラの多さ問題についても、きちんと個性あるキャラを描き分けていて素晴らしいです。
それぞれキャラが悩みやトラウマを乗り越えて成長する様を丁寧に描いていて良い作品でした。
でも作者のセンスや雰囲気に良くも悪くも癖があるので、好き嫌いはかなり分かれるかも。
地元最高!
Xで見つけました。まずタイトルが良い。
可愛い絵柄ながら一応裏社会が舞台の漫画です。
むしろこの絵柄だからこそ狂気が引き立ってます。
アウトローの日常みたいな話がメインですが、たまに長編のしっかりとしたストーリーも挟まるので気が抜けない。しかも展開が王道だったりしてちゃんと面白いんですよね。
キャラも個性的ですが、特にこはるさんがイカれてて好きです。ただ関わりたくない…。
日出る街の人々
こちらもXで見つけました。
狼男や透明人間などといった人外の日常を描いた作品です。
種族ごとの生態と絡めながら、人間関係や将来についての普遍的な悩みを丁寧に描いています。
オムニバス形式なのですが、どれも優しい話ばかりで心が浄化されていく。
作中に、「(気にかけてる男子と)もう付き合っちゃえばいいじゃん」という感じの女子高生的な会話のある回があるのですが、その時の登場人物の反応がなんかすごく印象に残っています。かなり地味なシーンなのですが、妙にリアルというか、気の置けない友人との会話って感じがしてすごく好きでした。
おやすみプンプン
全巻無料だったので読破。
「前衛にして王道」というコピーがまさしく言い得て妙な作品でした。
決してサブカルメンヘラ御用達漫画などではなく、真正面から人間を描いた作品だと思います。
キャラクターの見た目からは想像つかない背景があったり辛い現実がありながらも、少なからずちゃんと生きる希望も描いていたのが個人的に良かったです。奇をてらいすぎないというか。
サチ録〜サチの黙示録〜
ジャンププラスの新連載です。
適当に見てみたらすごく良い作品でした。
凄く簡単に説明すると、生意気な子供が天使と悪魔を振り回すコメディです。
バカバカしいギャグとほっこりとしたストーリーがいい塩梅にマッチしていて毎週の癒し。
結構マジで好きなので単行本買いました。
世界的スターなのにやっすい仕事してるマーヴが好きです。
外の
Xで見つけた短編漫画。
独特の世界観と意表をつく結末がまさしくショートショートのような作品。
可愛らしい絵柄と平和な雰囲気がすごく良かったです。
この人はたまにこんな感じの漫画を描いてるようなのでたまに覗きに行くと楽しいです。
半人前の恋人
ふと気になって読み始めたジャンププラスの作品。
太鼓職人の女子高生と美術部の眼鏡男子の恋愛を描いた漫画です。くど過ぎずあっさり過ぎず、ちょうどいい塩梅の空気感が素晴らしい。
高校生編は割とすぐに終わり、現在は職人見習い&大学生編に突入しています。
物語の中で環境が変わる作品いいですよね、キャラクターの変化を見守れて嬉しい。
あと太眉やっぱいいっすね。
ふつうの軽音部
Xで見つけた漫画。ヘロヘロの絵ですがストーリーがしっかり描かれており、とっても面白い。
特に軽音部の生態系がとてもリアルに描かれています。
ちなみに現在はジャンププラスで連載中。当然絵柄は変わりますがこれはこれで。
X版は中々良いところで話が終わってしまったのでジャンプラ版のストーリーが追いつくのが待ち遠しいです。結構アツい展開になりそう。
主人公は根暗ですが愛嬌があって、ギャグも軽快なので読みやすい作品かと思います。元軽音部員なら尚更。
(追記:ジャンプ+で連載始まりました!まさかそのまま、次に来る漫画大賞1位になるとは…)
路傍のフジイ
ふつうの軽音部の作者さんが呟いてたので読んでみました。
会社では見下されているフジイが、実は本人なりに充実した生活を送っているという話。
題材がまさしく最近の漫画っぽいですが、押し付けがましくなくて良いです。こういう人生もいいなぁという感じで読める。
フジイさん友達に1人欲しいですね。
瑠璃の宝石
山、川、洞窟などを巡って、女の子たちが鉱物採集をする話。ハルタでの連載です。
この作品はまず表紙がいい。話の間に挟まる解説もとても興味深い内容です。理系には刺さるはず。
テーマは少し渋いですが、可愛らしいキャラクターが身近な環境で宝石を探す、というストーリーは誰にでもとっつきやすくていいですね。
ただお色気要素が玉に瑕。純粋に地学や鉱物の面白さを描くだけで面白い分、そこだけが残念でした。
宙に参る
こちらも理系向けの漫画。トーチWEBでの連載。
宇宙が身近になった時代が舞台の話で、主婦が亡くなった夫の遺骨をコロニーから地球に届ける、というところからストーリーが始まります。(設定が独特すぎてちょっと説明がわかりにくいですね)
とにかく細かい設定が目白押しで、未来の日常を綿密にシミュレーションしています。SFなのに戦争やミステリーを取り扱っていないのがミソ。
とにかく世界観や設定が緻密なので、そういった漫画が好きならおすすめです。
ちなみに作者のペンネームが良い。肋骨凹介(あばらぼねへこすけ)ですってよ。
ハッピーゼリーポンチさんの漫画
Xで見かけた漫画です。
ネーム状態なので絵が粗いですが、それが逆に勢いを出してていい感じ。
特にキャラが魅力的で、コロコロと変化する表情が見ていて楽しいです。時折挟まるギャグも丁度いい。
また寡黙な先輩とアクティブな後輩っていうカップリングがやっぱり安定して良いですね。
これらの要素が上手くまとまりつつ、人形趣味や可愛さへのコンプレックスといったフックがバランスよく噛み合ってたと思います。
普通に続きが読みたい。
よふかしのうた
17巻分無料だったので読みました。その後最新話まで読んでます。
やっぱこの人めちゃくちゃ絵が上手いですね。一枚絵もそうなんですが、キャラデザ、キャラの動かし方、カメラアングル、コマ割り全部上手いです。
と、ここまではまだ想定内だったんですが、ストーリーも良くてビビった。なんでもできるのかこの人…。
特にコメディとシリアス、日常と非日常、大衆性と個性といったバランス感覚が完璧でした。こういう作品は最終的にシリアスに偏りがちですが、最後まで白けさせない程度のコメディや日常描写が散りばめられています。そして適度にドラマチックでロマンチック。
現代の日常とファンタジーが共存してる世界観、大好きです。
さらに恋愛が大きなテーマでありながら、安易に恋愛描写が描かれないのも良い。相対的に、ここぞという時の描写が光ります。
にわかファンですが、終わってしまうのがとても惜しい作品。最後まで楽しみにしてます!
(追記:完結まで読みました。とても良かったです!)
遠い日の陽
Xで見つけた漫画。読み切りです。
まずこのテーマで漫画を描こうと思ったのがすごい。やっはり日常の中の非日常って良い。
真面目に平和に毎日を過ごしているのに、ふとしたきっかけで何かとんでもないものに片足突っ込んでしまっているような感覚が上手く描かれています。
誰にも共有できず墓場まで持っていくような出来事が、それでも主人公の大切な思い出になっていくんだなと考えると感慨深いものがありますね。
奇妙ですが面白い作品でした。
▶︎漫画以外
ラノベ色々
ふと読みたくなり少し前のラノベを読みました。インデックス、俺妹、俺ガイルなど。
ラノベは何かと色眼鏡で見られがちですが、ちゃんと売れた作品はやはり作りがしっかりしています。今読んでも面白い。
どれも3巻くらい読んで満足してしまったので、あとでちゃんと読みたいな。
ダムの科学 知られざる超巨大建造物の秘密に迫る
大きいものはだいたい好きなので、ダムも好きです。ということで前々から気になっていたダムの本を読みました。
写真が多かったり字が大きめの優しい作りで、中学生くらいでも十分理解できる内容になっています。入門書としては最適かも。
普段暮らしてると全く気にならないですが、普段の生活には不可欠なダムが世界中に存在します。
そういうものの歴史や構造を知るのが最近楽しいです。普段の生活がほんの少し豊かになった気がします。
大地の五億年
以前ネットで土に関する記事を読んだのですが、その記事が面白かったので筆者である藤井一至さんの本を読んでみました。
タイトルの通り、地球に土が生まれた5億年前から現代、さらには未来までの土の歴史を描いています。
本書を読んでいると、普段何気なく見ている土のことを全く理解していなかったことがわかります。学術的なので少し頭を使いますが、一般人でも普通に楽しめる内容です。
思った以上に気候や動植物と密接に関わっている土の話がわかると、少し世界のシステムを理解した気になれて面白かったです。