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【短編連作】神木町

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一つ一つ独立した短編として読めます。
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#赤マント

02 赤マント

02 赤マント

 夜更けし帝都の街並みを、駆け行く怪しの赤マント。月光眩しと見あぐる顔は、恐ろし邪悪の白仮面。可憐な少女を小脇に抱え、鮮やかコルトのガンさばき。唸る銃声。伏すは官憲。たちまち上がるは土煙。
「諸君。外れたのではない。外したのだよ。今度会うまで、その命預けておこう」
響く怪異の笑い声。忽然と、消えたる魔人の影帽子。
「どこだ」
「どこにいる」
「警部、あそこです」
指さす先にアドバルーン。下がるロー

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16 赤マントの最期

16 赤マントの最期

「やまもとー。また漫画描きよるん」
いつものように、昼休みに漫画に没頭していると、いつものように幸子がからかいに来る。
「そうじゃ、読むか。読ましちゃる」
「いらんわ」
そう言いながらも、幸子はワシのノートを覗き込む。見ちゃれ見ちゃれ。ワシがデビューしたら、こんな生原稿なんぞ見れんぞ。ほれほれ。
「やまもとー。ほんまお前、絵が下手くそやなぁ」
「なにお」
「小学生でも、お前より上手いわ」
「描いた

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