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【2020-12-24】20歳 独りクモE4-600を追う

真下警視、出ておいで。
一緒に地下鉄走らせようよ。
弾丸ライナーより

交渉人 真下正義は自分の映画館デビューの作品であり思い入れがある。昔からクモと同じルートを進んでみたいと思っていた。

今年のクリスマスイブは16時頃に暇になる。16時、クリスマスイブ…!東陽町に行くしかない!!!ということに。

16時まで…

魚見たり、ケーキ食べたりしました。以上。

今回のお供

メトロの24時間券は今までに何度か使用したことがあるが、PASMOに情報を載せたのは初めて。

わざわざ財布から切符を出して、切符が使える改札を探す手間が省けるのでとてもありがたい。

自分はApple PayのSuicaに毒されているので、わざわざこのためにPASMOを新規発行した。PASMOを使うのは3年ぶりくらいかも…
最近PASMOもApple Payに対応したので、24時間券を載せた状態で、iPhoneに吸収できるか試したができなかった。これができれば、カードを出す手間すら省けたのに…

16:25 東陽町

映画の中では、16:05にデモンストレーションで葛西第二公園のゴミ箱が爆発するので、東陽町のクモ到着時刻は16:10頃だろう。だいぶ近い時間に到着できたと満足。

ここ東陽町のシーンは、映画の中でクモが初登場する大事なシーン。カーブからゆっくり姿を現す瞬間は、いつ見ても興奮してしまう。

しかし実際の東陽町は、ホーム進入部分が直線でホームも相対式。現実に合わせたロケ地だったらあそこまでの迫力はなかっただろう。
あと映画に突っ込むとすれば、東陽線の快速は東陽町を通過することだろうか。
映画の中では
・通常の速度で走行

・PTC-S1の誤作動でATOが無効になり、前にいるクモを認識せず減速しない

・運転士の手動介入による非常制動でクモの手前で停車
という流れになっている。現実通り快速が東陽町に通過するのであれば、駅進入速度はだいぶ遅くなり非常制動なんてしたらあっさり止まってしまう。そのための通過設定なのだろう。

16:44 九段下

次にクモが登場するのは1023列車への煽り運転で、九段下を通過するシーン。この駅も東陽町同様、映画では島式ホームだが現実は相対式。
個人的にこの駅で好きなのが、駅員が「九段下、封鎖できません」と言うシーン。上司からの指示を果たせず申し訳なさそうに言うのが、前作の踊る2で青島が「レインボーブリッジ、封鎖できません!」とカッコよくセリフをキメるシーンと対照的で意識してしまう。

映画を公開した15年前であれば、東西線の九段下は半蔵門線・都営新宿線とは繋がっておらず、封鎖できていればホームの安全確保に役立ったかもしれない。しかし最近の駅改良工事でラッチ内乗り換えが可能になったので、今なら封鎖をしても効果はあまりない。

便利になったのはとても嬉しいが、あのシーンの重要性が低くなってしまうのは少し寂しい。

16:56 早稲田

次に降りたのは早稲田駅。クモは早稲田の先で東陽線(東西線)から外れて、路線図にない線路 通称:脇線を通り桜田門線(有楽町線)の東池袋へ向かう。なので自分も早稲田からは徒歩で東池袋に移動しなければならない。

クリスマスイブの日が暮れた17時。独り寂しく現実にはないトンネルの上を妄想しながら歩く姿は、街にどう映ったのだろうか。
右手に3年前に落ちた大学を見つつ東池袋を目指す。

途中までは東西線の上を歩き、西早稲田交差点で右折し北を目指す。

しばらく進むと、東京さくらトラム(都電荒川線)とぶつかり道が終わる。実は今歩いてきた道路は東京都市計画道路事業幹線街路環状第4号線というもので、都市計画に基づき現在も一部建設中の道路だった。西早稲田から都電とぶつかった交差点までは完成しているものの、その先は現在も工事中。

そもそも劇中に出てくる「脇線」というものは、戦前に建設され政治家の緊急脱出ルートや軍事目的のために公表されていない地下の線路、という設定である。軍事目的で建設されたということはルート的にも優れているということだ。その脇線と都市計画道路が被るという事実が知れてとても興奮。

17:40 東池袋

40分ほど歩き東池袋に到着。引きこもりにはちょうどいい散歩になった。ここからは桜田門線(有楽町線)を進み永田町を目指す。

映画でもすぐ永田町の狙撃シーンの話になってしまうので東池袋で書くことは特にない…。

17:54 永田町

次にクモが登場するのは桜田門線の永田町。

SATの特殊部隊でクモを狙撃することで、暴走を食い止める作戦において舞台に選ばれたのが永田町である。ここは前述の2駅と違い、劇中も現実もカーブのきつい島式ホーム。わざわざ現実のカーブしているということを物語に利用しているのはいつ見ても感動する。

映画ではクモのボディーがホームと接触するというシーンがあるのだが、建築限界的な話をすると本来はあってはならない。ただクモはフリーゲージトレインなので車軸位置と車両上部の固定が弱く、遠心力によって通常より外部に出てしまったのだろう。地下鉄が開発しているから設計最高速度は低いだろうし、映画での永田町通過速度(90km/h)に耐えられなかったんだ。矢野さんも「このスピードで突っ込んだら(←ここ重要)ボディーが接触します」と言ってるし、そうだ!そうに違いない!!!。

せっかくなのでS-TRAINの回送をパシャリ。有楽町線系統の増便はされているから好調なのだろうが、東横・副都心線系統はいつ見てもガラガラな気がしてしまう。この前乗ろうと思ったら横浜駅の火災で運転見合わせになっちゃうし…。座席指定列車は大好きなので、また乗りたいな。

18:19 銀座一丁目

桜田門線(有楽町線)から渋谷線(銀座線)にどの辺りで転線するかは、明確に描かれていないので銀座一丁目で下車。下車するまではメトロの公式乗換可能駅だとは知らなかった。地上乗換とか結構遠くても設定されるので、「こことここが!?」みたいなのが時々ある。

転線場所については分からないがクモが脇線でゲージの幅を変えるシーンがある。長崎新幹線などで考えられたフリーゲージトレインのシステムとは違い、クモはジャッキアップして車輪の幅を変えるタイプ。脇線という既存の施設を使った中で対応すると考えると、この方法を採用することになったのだろう。第三軌条に接続するシーンもあるのが芸が細かくて良い。

さすが銀座!というだけあって、通りはイルミネーションなどで華やかだった。この下に脇線があることになる。

映画の時系列でいくと
永田町通過→東車両基地爆発→脇線で軌間変更


犯人はオタクなので直接起爆させるのではなく、現場付近にクモを走行させた上でクモ経由で起爆するという設定から、銀座付近に車両基地があるとなる。しかしクモを管理する車両基地は東陽線(東西線)も管理していることから、爆発の設定と車庫の位置が少し微妙なのが残念。日本で1番地価が高い場所から銀座一丁目駅までは1kmもないし、いくら元公営とはいえ銀座に車庫は作れないだろう…。

18:30 京橋

京橋からは渋谷線(銀座線)で2つ先の三越前へ。クモがフリーゲージトレインだからこそ走れるのだが、映画で走る区間は銀座〜三越前と意外と短い。しかし、この区間を走らないとストーリー的にクモがフリーゲージトレインである必要が無くなってしまうため、めちゃくちゃ重要な部分でもある。

なのに映画の中において渋谷線(銀座線)の区間は、片岡さんが気付かずに終わるほどあっさりしたシーンなので、それ以上この区間を持ち上げることもできない…。

18:39 三越前(日本橋室町)

真下が交渉術を利用して脇線の存在に迫るシーンにおいて使ったのがこの三越前。ただし映画で「三越」と店の名前を出すことはできないので、駅名も日本橋室町という設定になっていて、真下のセリフも「日本橋のデパートに買い物に行くんですが…」となっている。
三越前単体で利用したことは今までに何度かあったが、九段下線(半蔵門線)と渋谷線(浅草線)の乗換として利用したことがなかった(表参道の方が断然便利だし…)ので、映画で言う乗り換えの件は初体験。

実際に歩いてみると渋谷線(銀座線)からコンコースまでは階段で20段ほどだったのに対し、九段下線(半蔵門線)はエスカレーター2本と結構な高低差があった。お見事、真下正義!

と言いたいところだが、オタク的には細かいところが気になる。セリフをよく聞くと渋谷線(銀座線)と九段下線(半蔵門線)の位置関係が逆なのである。これは脚本のミスなのか、実際は使ってないから知らないのをあえて見せて、交渉術を使ってる風にした脚本なのか…。私は後者だと信じたい。

18:48 神保町

クモが営業線で走る最後が九段下線(半蔵門線)の神保町。駅を通過中に脇線に入るのだが、客から丸見えの場所に軍事秘密の脇線はないだろうよ…。閉塞的に駅構内だったのか、脇線に入る少し手前からセンサーに反応しなくなるのか…?。クモの最後は謎である。

ここからクモは脇線を利用しながら、ミッドナイト・プラスワンのヒントの答えとなった14号線(副都心線)に移動したことになっている。しかし脇線は架空のものであり、ルートの推測ができない(しようとしたがルートの根拠が少ない)ので、自分は直接新宿三丁目に向かう。

19:19 新宿三丁目

クモは最後、SATにより狙撃され新宿三丁目のホームで停止する。今まではルート的にどちらの方向のホームが正しいか分かっていたが、今回に関しては、ルートからの考察はできない。

なのでSATの狙撃シーンを参考にした。映画内は単線並列の掘削工法のようなトンネルであり、池袋方の方が近い(渋谷方はカーブがあり、複線の収まるシールド工法)。それを根拠に渋谷方面に止まる電車を撮った。

これでクモの追っかけが全て終了。映画2時間の中でクモは予想よりも移動してないという実感が強かった。相当高い車両だろうに、鉄オタ的には残念だ。

ちょっと寄り道

クリスマスに聴く ラヴェルのボレロのコンサートホールである新宿シンフォニーホールは、有楽町の東京国際フォーラムでロケが行われた。過去にRhodanthe*のライブでホールAに入ったこともあったり、有楽町⇆京葉線東京乗換の時だったりで何度か通ったことがある。過去に駐車場も見に行ったことがあるが、改装されて屋根には空車を示す緑のランプが増設されてたりとロケ時の状態ではなかったような…。15年も前の映画だし、しょうがないか。

この後は都営やJRにお金を払いたくなかったので、メトロの24時間券を使って日比谷線経由でQ-SEATで帰った。やっぱり座席指定列車は最高だよなぁ!

勝手に考察

この映画は最後まで犯人が誰だか分からないまま終わるのが特徴で、これについては賛否両論があるらしい。個人的には犯人が出てきても「誰?」ってなりそうだし、妄想も捗るので賛成派。

ここで自分が描いた犯人像について書きたい。「犯人も実は交渉人を目指していて、真下に先を越され交渉人にもなれなかった人間」だと思っている。
理由は何個かある。
・「警視庁初の交渉人」をリピートする
→交渉人という言葉に何かある
・真下を途中まで騙せている
→真下は永田町の場面でクモが爆弾を積んでいると予想してしまう
・交渉術に詳しい
→真下がキレの演技をした時に焦らず予定通りヒントを与えたり、「今度は泣き落とし?それもマニュアルに入ってるの?答えが分かったら電話して」というシーンなど犯人の余裕さ
・木島の「裏の裏」と「裏の裏の裏」
→通常の犯人が表だとすれば、それを引き出すための普段の真下が裏、その更に裏を行っているのが弾丸ライナー、だから我々はその更に裏を考えなければならない、という意味に自分は捉えた。

こんな考察を考える楽しさもあり、交渉人のリピートはやめられない。また来年もクリぼっちで見ているのだろう。

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