【海皇水精鱗】パイクとムーランの使い方【マーメイル】

 ypのttoです。水属性についてあれこれ語っています。
 最近は専ら海皇水精鱗で大会に出て3回連続トナメ1落ちとなっています。
 悪くはないですが、そろそろ入賞が欲しい気持ちになっています。
 また、RAM杯やネクストプレイ杯でも海皇水精鱗の入賞報告があり、最近ホットなテーマになってきたと思います。
 そんな中「アビスパイクとムーランが不要論」がX(Twitter)やnoteで話題になっていましたので、それに関する見解を話していきたいと思います。

成績を残すデッキには必ず入っている‐ムーラン・パイク

 個人的な考えとしては

 別に構築は個人の自由だから好きなように組めばよい

 と思いますが、一方で

 CSなどの大会で結果を残す構築には必ず入っているのは事実

 であります。

ネクストプレイ杯3位

RAM杯優勝

これらの他、トナメ1落ち構築やレギュレーションが同じ韓国で成績を残した構築でも

アビスパイク1・ムーラン1は必ず入っています。

 海皇水精鱗を組むにあたって、ネプトや竜騎隊などが入っているのは当然なので疑問に持つ人はいないかと思います。
 ただ、ムーランやパイクについては「なぜ入っているのか?」について、詳しく話したことは無かったので、今回それらについて話していこうと思います。

パイクの役割

パイクの3つの役割

 まずパイクについてですが主に3つの役割があります。

  1. 捨てるモンスター

  2. 捨てるモンスター、捨てられるモンスターのサーチ

  3. 水属性レベル4

 基本事項ですが、今の海皇水精鱗の展開は

 水属性を捨てて効果を発動するモンスター
 水属性により捨てられて効果を発動するモンスター

 の2つを組み合わせることにより動きます。
 ネプトやネプトをリクルートできるディーヴァが1枚初動であるのは、
 ネプトが2枚のカードをサーチすることで、これら捨てるカード捨てられるカードを供給できるからです。

1捨てるカード

 そして今の海皇水精鱗に入っているカードでは

捨てるカード:ディニク、ミンストレル、ライン、轟、主題のパイク、状況次第では深影隊など
捨てられるカード:竜騎隊、深影隊など

 のように分類されます。

 パイクは捨てるカードなので、捨てられるカードと合わせることで、展開を伸ばすことができます。

2捨てるカードと捨てられるカードのサーチ

 パイクはただ水属性をただ捨てるだけではなく、その際に水属性レベル3モンスターをサーチすることができます。

 このデッキで水属性レベル3は
 捨てるカード:ライン、ミンストレル
 捨てられるカード:深影隊

 をサーチできます。

 先行1ターン目の場合、相手の場にカードが無いため轟のバウンス効果は使用できません。
 ラインはレベル7の3種族をサーチできますが、直接的に捨てられるカードをサーチできません。
 ミンストレルはそもそもサーチがありません。

 すなわち、捨てる側のカードで捨てられる側をサーチできるのは
 ディニクとパイク
 と言うことになります。

3水属性レベル4

 今の海皇水精鱗の展開の中で重要な役割を果たすカードが有ります。
 それがバハムートシャークとリヴァーチュドラゴンです。
 場に竜騎隊ともう一体のレベル4水属性モンスターがいれば

  1. バハムートシャークをX召喚

  2. バハムートシャークの効果でリヴァーチュドラゴンを特殊召喚

  3. リヴァーチュドラゴンの効果で竜騎隊を回収

 この動きにより、場のモンスターの数を減らすことなく、
 竜騎隊のサーチ、竜騎隊を回収、竜騎隊のサーチ
 で合計3枚分の手札が増えることとなります。
 構築次第ではヴァーチュストリームも増えます。

 問題としては水属性のレベル4を供給する方法が限定されており、

  • 通常召喚権

  • ネプトの蘇生効果

  • 深影隊のリクルート効果

  • 海皇トリーテの蘇生効果

 一般的な構築ではこの4つの手段になります。
 そして通常召喚権か深影隊のどちらかはネプトに割くこととなります。

 加えて先行1ターン目に竜騎隊を供給する手段は

  • ネプトのサーチ

  • ネプトの墓地落とし

  • 深影隊のリクルート

 のみです。
 もし竜騎隊以外に水属性レベル4を採用しない場合、竜騎隊2体をこれらの方法または素引きで集めることになります。
 実際の対戦では相手も相応に手札誘発を投げてくるので非常にギミックとして細くなります。
 ここでパイクがいると

  • ディニクによるパイクサーチ

 と言う供給手段が増えます。
 加えて、先行1ターン目の竜騎隊は場ではただのバニラですが、パイクであれば効果を使用することで展開を伸ばすことができます。

ムーラン

ムーランの役割

 ムーランの役割は書いてある通りです。
 2ハンデスします。

 実際に対戦した人ならわかると思いますが、これが非常に強力です。

 遊戯王において相手の手札に触るカードは非常に少なく、
 ヴェルズウロボロスやラプラシアンだとレベル4を3体並べて1体
 キマイラだと融合体を出してエンドフェイズに1枚
 で、概ね3枚使って1体出して1枚ハンデスくらいが相場になっています。

 それがムーランの場合では消費はゼロで2ハンデスという破格の性能となっています。

他のデッキとの差別化 

 一般的な展開デッキの場合に対する対抗策として、球体ラーや冥王結界波、一滴、超融合など後手まくりの札を採用するケースがあります。
 それに対してムーランによるハンデスは非常に強力で、直接それらのカードを叩き落としたり、落とせなかった場合でも相手の初動を落とすことにより、一滴などを実質的に使用できなくしたりします。

 海皇は登場から12年経っておりますが、今回の新規登場以前からしばしば定期的に環境で成績を残しています。
 その理由としては
ムーランハンデスにより他の環境デッキとの差別化が図れる

 ので一定数の使用者がいたためと考えています。

パイク・ムーラン不要論について

 さてネット上で見られたパイク・ムーラン不要論についてそれぞれ、意見を述べていきたいと思います。

パイクの素引きが許容できない

 「初動でパイクが手札に来てしまったために動けなかった」
と言う意見を見ました。

良くある落とし穴として

  1. ネプト1枚初動を考える

  2. ネプト1枚初動を元に2枚初動を考える。

  3. ネプトで深影隊を落としてパイクに使うルートになる

  4. 手札にパイクがあるとネプト初動はもちろん他の2枚初動も使えなくなる

と言うものがあります。

 展開ルートの応用ができるようになれば解決します。

ネプト通常召喚で深影隊を落としてパイクをリクルートしていた
なら
パイク通常召喚で深影隊を捨ててネプトをリクルートしましょう

 これでほぼすべての2枚初動は問題なくできます。


パイク+竜騎隊

  1. パイク通常召喚竜騎隊コストミンストレルサーチ

  2. 竜騎隊効果深影隊サーチ

  3. ミンストレル深影隊コストピーピングハンデス

  4. 深影隊効果ネプトリクルート

おまけ:「パイクを素引きして動けない」場合の確率を計算する

 さて、言いたいことをまとめると

パイクを素引きしても、展開ルートを知っていればちゃんと動ける場合が多いから問題ない

という理屈です。
 これについてはなんとなく体感でも理解してくれる人が多いとは思いますが、数字の裏付けがあった方が信頼できるかなと思いました。

いつもお世話になっている↓のサイトを使いました。

これは筆者がycsjで構築したものです。
メインデッキ42枚でパイク1枚です。

パイクを素引きする確率は12%となります。
先に述べたように素引きしたら必ず事故になるわけではありません。

パイクに通常召喚権を使っても深影隊でネプトをリクルートできれば何ら問題なく展開できます。

それができるのは

  1. 竜騎隊または深影隊がいる

  2. 水属性モンスター+捨てるカード(ミンストレル、ディニク、轟)がいる

  3. 捨てるカードが2枚ある

の組み合わせがあります。
この構築なら1は6枚、捨てるカードは計9枚、それ以外の水属性が6枚(ディーヴァネプト除く)あります。

1枚はパイクで固定なので41枚のデッキから4枚のカードを引く確率を計算することになります。



 付言するとディーヴァネプト141で動く方法もあるので実際にはこれより高い確率で動けます。

 実際のところ
 パイクを素引きする確率は12%
 そのうち動けない確率は25%
となります。
 なので12%×25%=3%程度となります。

0.97の24乗が0.48です。

 CSだと8回戦マッチ戦として24回ですが、スト勝ち負けなくすべて戦い、CS決勝まで行くとして、2CSに1回程度起こる確率となります。
 そこまで気にしないで良い数字であると理解いただけるかと思います。

ムーラン不要論

Q1:増殖するG・フワロスを打たれた場合、ハンデスしても意味がない

A1:基本的に海皇水精鱗でGを通された場合、無駄に動かない方が良いです。
理由は2つあります。
手札ネプト+サラキor墓地にライン+墓地に轟と言うドローを最低限で済ます止まりどころがある
・突っ張っても妨害がそこまで強くならない。(一滴流行っているし)

Q2:ムーランハンデスで裏目になる場合がある

A2:確かに、暗黒界やティアラメンツのように墓地に送られた場合の効果を発動するカードが多い場合、ムーランハンデスはしない方が良いです。
 ただ、現環境ではそれらのデッキはほとんど存在しません
 原因としてはライゼオルがメインギミックから深淵を潜むものを立ててくるので大きく不利だからです。
 もしライゼオル規制で環境落ちや深淵禁止になった場合、海皇水精鱗も深淵不利なデッキなので強くはなりますが、そういったデッキが来る可能性もあります。

もしそのような裏目の対面を踏んだ場合の対処法はいくつかあります。

  • ミンストレルで相手の手札を見ることができるので、それでデッキタイプを把握する。裏目になるカードが多い場合ムーランサーチせずに他の展開に切り替える。ムーランハンデスで裏目になりそうなカードを除外する。

  • ムーランハンデスが裏目になるような対面、すなわち墓地を利用する相手には基本的に深淵に潜むものが有効な場合が多いので、レベル4を2体並べる方向に切り替える。

  • 罪宝狩りの悪魔のような墓地でリソースになるようなカードはトリシューラを出すことによって除外する

まとめ

 成績を残しているプレイヤーが共通して採用しているカードにはそれなりに理由があります。それらが必ずしも言語化されてなかったりする場合も多いので、採用の意図を理解されず、パイク・ムーラン不要論が登場したのかなと思います。
 最後までお読みいただきありがとうございます。何か質問や意見などありましたらご気軽にお願いします。