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【在宅勤務】【会社の考え方】
コロナウイルス拡大を契機に専ら在宅勤務になり、月に数回、必要な時に出社するスタイルに変わりました。
一時期、可能な職種は積極的に在宅勤務を導入すべしとお偉い方々のお達しがありましたが、それがうまく進まない理由も度々話題になりました。
私が勤める会社は、完全な昭和的企業でした。
毎日出社し、遅くまで残業しているヤツはエライ。
朝は皆で集まって元気に挨拶し、スピーチと社訓唱和。
各自の予定を皆の前で発表し、その後部署ごとに詳細を報告。
事あるごとに会議を開催し、皆で意見交換。
コミュニケーションは対面でこそ成り立つ。
電話は3コール以内に出て、懇切丁寧に対応。
会社の情報を外部に持ち出すのは論外。
紙媒体は目に見える歴史。
ハンコは上長の重要な儀式。
様々な要素が、在宅勤務の導入と対極に位置する社風だったのです。
未だにトップは多少の未練がある様子ですが、現在これらの状況はほとんど解消されています。
【なぜ昭和的企業が改革を進めたのか】
結論から言うと、あるブレーンの起こした「波」です。
そのブレーンは、ちょうどコロナウイルスが騒がれ始めた時期に、異業種から引き抜かれて役職入社した男性です。
彼は精神論や合理性のない慣習を嫌い、会社の利益・成長に繋がらないことは徹底的に排除しました。
コロナ禍に順応し、生き延びられる組織を作るべく、全方位に大きく波風を立てたのです。
会社も旧態依然とした在り方を続けながらも、どこかで変わらなければならないという意識があったのでしょう。
渋々ながら、環境・体制・思想等、あらゆる方面に対する見直しが始まったのです。
【あなたはプロフェッショナル】
私はこの昭和的社風に馴染めず、コミュニケーションも苦痛でした。
また、非常にニッチな仕事を担当しており、称賛・評価される立場にありませんでした。
彼はそのニッチな担当者をプロフェッショナルとして扱ってくれました。
「あなたに求めているのは「会社に居ること・時間を過ごすこと」ではなく、成果をあげること。どこに居ても同じものが完成するなら無理に出社する必要はないし、環境も整えるので、自分の好きなように思いっきりやりなさい」
言葉を都度変えながらも、一貫してそのように背中を押してくれました。
【改革の中断】
彼のアイデアや手腕は前例がなく、他の追随を許さないレベルでした。
ただ、あまりに波風を立てすぎた故、既存幹部たちと度々衝突を起こすようになり、最終的に左遷となりました。
私自身は理想とするスタイル・環境で仕事ができるようになり、それに誰も口出ししなくなっていたので問題なかったのですが、非常に驚きましたし、寂しく思いました。
私を含め、彼の意志を受け継ぐメンバーが今も改革を進めていますが、当初の勢いが失われつつあり、何とか巻き返そうと必死で支え合っている状態です。
【身も蓋もない話ですが】
会社も「人」ですから、既存の環境や在り方を変えるには怖さやコストが付き纏うことでしょう。
結局はトップなり力の強い人が本気で推し進めない限り、一社員が少し頑張ったところで大規模な改革は難しいのだなと感じました。
私は他力本願でスネ夫的な位置に甘んじた末に利益を得ただけで、何の力もありませんでした。
彼の手腕の基礎となった知識や経験、これまでの経緯等をもっと聞きたかったという思いはありますが、後悔先に立たず。
「俺は俺の責務を全うする」
どこかで聞いたことのあるフレーズで自分を奮い立たせるのです。