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今年最後の対面授業は補習|2023おおいた起業体験プログラム②

早いもので12月も終わりになろうとしています。ということは2023年ももう終わるということ…。この1年もあっという間でした。みなさんはいかがお過ごしですか?

さて,仕事納めの今日も大学生と地方都市へ。大分県日田市に行ってきました。というのも,先に実施した「おおいた起業体験プログラム」の第1回講義をインフルエンザのために欠席せざるを得なかった生徒さん向けのフォロー講義を行うため。昨年,一昨年とお世話になってきた日田三隈高等学校に伺ってきました。

日田のソウルフードの1つ「OJハンバーガー」でランチ

今年から地元の一般社団法人NINAUに就職したゼミOBのUくんが,高校単独では難しくてもこのプログラムを続けることに意味があるからやりたいと相談を受け,大分県内の2都市(佐伯と豊後大野)の関係者にもお声がけをしてスタート。先日の第1回も非常に良い空気感で講義やワークショップが進んだが,今日は果たして。

毎度お馴染みの画角。

なお,過去2年間は私のゼミ生に協力をしてもらっていたが,今年度は大分県のバックアップを受け,福岡・天神にある大分県の施設「dot.」でインターンをする学生や大分県内に在学中の大学生の力を借りている。この日は1名がすでに帰省のため参加できなかったが,このプログラムで初めて他大学の学生が教壇に立ってくれることになった。本来はフルオンラインのプログラムの予定だったが,対面でできたのはある意味幸運。

ということで,今日の補習はどんな形になったのでしょうか。ぜひご笑覧ください。なお,マガジンは下記のとおりです。

少数精鋭でコミュニケーションも円滑に

すでに2学期が終わって数日。冬休みの最中に高校2年生の女子4名が今回は参加してくれた。これまでは2年生全体に対して希望者を募ってきたが,今回はもっとこじんまりと,学校外の時間で,しかも福岡・天神まで来て販売活動をしなければならないという高いハードルを設定。結果,集まったのは同校にあるマーケット部から2名と自主参加の2名だった。だから,意欲が高い。授業は終始ポジティブな空気からスタートした。

今回も講義担当は2年生。

冒頭に簡単な挨拶の後,アイスブレイクからスタート。12月にあった嬉しかったことをそれぞれ発表する。ハニカミながら,あるいは恥ずかしそうにそれぞれが話をしてくれた。こういう話からキャラクターが滲み出る。

授業の流れは「おおいた起業体験プログラム」と同じく,プログラムの目的と時代背景について30分ほど解説してから,残り時間で学生が講義。第1回は「アントレプレナーシップとコレクティブ・ジーニアス」というこのプログラム全体を貫く概念説明と,「理念→戦略→計画」という模擬店経営のための基本的な骨組み設計についての講義。担当する2年生も落ち着いていて,淡々と授業が進む。

理念→戦略→計画のフレームワークを説明

講義がスタートしてから1時間ちょっとが経過してから,グループワークがスタート。今回も神社をフィールドにした模擬店で何を売るかを決めるワーク。もう何度も行っているものだし,聞けばゼミOBも同校で授業を行うに際して同様のワークを行っているのだそう。それもあって,高校生からは意見がたくさん出てくるし,大学生もサポートしやすそうにコミュニケーションを取っている。

お祭りワーク(グループ1)

あるグループは隣に綿菓子のお店があるのに,綿菓子をチョイス。隣が200円であるのに対し,自分たちは値上げをして色を変えたり,パッケージを調整したりして販売するとプレゼン。

お祭りワーク(グループ2)

また,あるチームはベビーカステラを選択。周辺店舗は食事系(粉もの)がある中で,少しお腹にたまるお菓子で勝負とのこと。単にベビーカステラを売るのではなく,チーズ味など4種類の展開をして10個500円で販売するのだという。

このワークの前に当然付加価値(ここでは会計学的な付加価値概念をしっかり説明しています)を説明していたということも多少影響しただろうが,差別化戦略で価格帯を上げて,付加価値を最大化する戦略を双方のチームが選択してくれた。これはある種このプログラムで高校生に身につけて欲しい考え方なので,講義目的は一定程度実現できたと言えるだろう。

各グループから戦略の発表

このワークだけではなかなかイメージが湧かないだろうということで,さらにヒントを出すことにした。1つは,講師役のゼミ生たち自身がこの秋にかけて販売してきた商品の画像を見せて高校生に値決めをしてもらった。実際には400円の商品だったが,高校生は700円でも買うと言っていた。それがまさに差別化なんだよと。欲しいと思うお客さんの心に働きかけながら,互いに得られる利得を最大化すること=付加価値を大きくすることが大事なんだと。

講義のまとめ

もう1つは今回の会場である「dot.」がどんな会場であるかを知ってもらうために,Google MapやWebを活用して場所の説明をした。これを聞いた高校生の顔が晴れやかに。

そして,同席してくださっていた校長先生が驚きの一言。

「せっかくだから,次回の授業(1/14),彼女たちを天神まで連れて行ってくださいよ」と。

諸々の関係から即答はできなかったけれども,とてもありがたいお言葉。さらに,校長先生は「1階にsupremeってお店ありますよね。この前あそこを見に行ったら,韓国人がたくさん並んでた。あれを高校生が見たらいろんなアイデアが浮かぶんじゃないですかね」と言われる。「いや,そうなんです」と心のなかで呟きながら,これが日田という街の距離感なんだなと理解。実現に近づけるために改めて検討することに。

ということで,今回の補習は高校生も大学生も,そして関わってくださっている先生方との関係もとてもポジティブな空気をまといながら終了。あっという間に2時間が過ぎ去った。

ふりかえり:2024年への展望

今回の補習はひょんなことから決まったものであったが,こうして対面で授業ができたのは良い機会になった。本当はもう少し市内観光や街の雰囲気を大学生が味わうことで,高校生がどんな環境で生活しているかを知り,どんな産品があるのかを学ぶことができたはずなのだが,現地に行って顔を見て,どんな生徒と連携しながら講義を進めるのかがわかっただけでも収穫があっただろう。

2年生に引き継いで2回目の授業。しかも対面授業を仕切ったのは初めてだったはずなのに,落ち着いて授業を進めていた。授業終了後に校長先生が「2年生ですか!(驚)」と仰ってくださった程,落ち着き払った様子。担当者自身はこれまで福岡女子商業高校(女子商)での授業にサポート役として参加してくれていたこともあっただろうが,高校生にもわかりやすく,焦ることもなく,むしろ時間をうまく使いながら授業を進めた。細かな点で指摘する点はあったが,レベルはどんどん上がっている印象。

これにて2023年の活動は終了。

昨年度から続ければのべ9つの高校・地域で活動をした。2023年度に入ってからは補助金を得ることができたこともあり,活動を九州全域に広げる足がかりを得ることになった。昨年の長崎・壱岐の離島だけでなく,宮崎・日南や大分・日田/佐伯/豊後大野と福岡から必ずしもアクセスが良いとは言えない場所でも活動の拠点を設けることができ,より幅が広がったように感じている。

2019年にこの取り組みを始めたときにまだ高校1年生だった女子生徒は,昨年本学商学部に入学し,今年からゼミ生として正式にプログラムに関わってくれるようになった。そして,来年度はプロジェクトリーダーに指名した。そればかりでなく,4月にはこのプログラムを受講してくれた高校生が3人本学商学部に入学する。

あるいは,昨年壱岐商業での受講者は大分の大学に進学し,「おおいた起業体験プログラム」で講師側になってくれた。こうやって受講者が立場を変えて関わってくれることはとても嬉しい。

では,2024年はどうなるだろうか。年度で動くと考えれば4月以降に考えれば良いことなのだが,すでに仕込み始まっている。

元来の女子商,飯塚高校,壱岐商業に加え,熊本県内で3つ,鹿児島県内で1つ(2025年2月開始予定)の活動が決まっている。加えて,今年度は3年生が頑張って2つの授業プログラムが形になり,外に出しても恥ずかしくはないものに仕上がった。これを基礎にタイムスケジュールのヒントや参考文献から講師役の大学生が学びながら講義ができる仕組みづくりや,「スプラウト応用編」として組織学習,心理的安全性,損益分岐点分析などを取り入れたカリキュラムを構築することも必要だろう。が,それも前回,今回の授業を見て十分に対応してもらえるだけの力量がありそうだ。楽観的だったりする。

が,これだけの規模になってきたから,その先の展開も少しずつ視野に入れておく必要があるだろう。組織的にも。正直ここまで来るとは自分でも驚いている(笑)。あとから振り返ったときに2023年のこの仕掛けが未来に繋がっていたのだと気づくことになれば良いのだが。

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