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確定拠出年金の事業主掛金

確定拠出年金では、事業主が掛金を拠出します。この掛金には、会社が負担する分と、従業員が任意で負担する分(マッチング拠出)が含まれます。この掛金ですが、会社にとってはどのような位置付けのものになるのでしょうか?今回は、掛金について説明したいと思います。

マッチング拠出は従業員のお金

マッチング拠出とは、年金規約で定めた場合に、従業員が任意で掛金を上乗せして拠出できる制度です。税制上のメリットを受けながら、将来受け取る年金額を増やしたい従業員は、自らの負担で掛金を増額することができるのです。

マッチング拠出の掛金は、従業員のお金を会社が預って拠出するものであるため、そもそも会社のお金ではありません。このため、会社が自分で使うこともできないし、経費(損金)にもなりません。会計処理としては、従業員から天引き徴収した時点で「預り金」となり、掛金拠出をすることでその預り金が消えることになります。

事業主掛金は会社が使うことはできない

マッチング拠出の掛金は上述のように、従業員のお金なので会社が使うことができないのは当たり前です。ところが、会社が負担するお金ではあるものの、事業主掛金もいったん拠出したら会社が使うことはできないお金となります。

退職金の準備としてよく使われる養老保険では、このようなことはありません。保険金の受取人は従業員の家族になるのですが、保険契約を解除すれば、返戻金は会社に戻ってきます。また、契約者貸付という制度を用いることで、保険契約を解除しなくても、解約返戻金の範囲内で支払った保険料を会社の資金繰りに用いることもできます。

似たような制度ではあるものの、確定拠出年金の掛金は、支払った時点から従業員の財産です。どのような理由があろうとも、会社が使うことはできないので注意しましょう(唯一の例外が事業主返還ですが、勤続3年未満の従業員に限られます)。

事業主掛金は経費(損金)となる

事業主掛金は、会社が使うことはできません。つまり、事業主掛金は会社からすれば流出した資金なので、会計上の扱いは経費となります。法人税法上も損金として計上することが認められます。

そうすると、会社の実質負担は実効税率分だけ低くなるので、およそ70%で済むことになります。7割の負担で、従業員の退職金が準備できるので、これは確定拠出年金のメリットの一つです。

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