売上高が必達売上高に届かないときの対応策
先日、必達売上高の話をしたなかで、実際の売上高が必達売上高に届いていないと、早急に対応が必要であると説明しました。そうすると、売上高を増やさないといけないと思われるかもしれませんが、売上高を増やす以外にもできることがあります。
必達売上高の計算要素から考える
必達売上高の計算要素は以下のとおりです。
・変動費率
・固定費額
・減価償却費
・法定実効税率
・借入金の返済額
したがって、売上高を増やす以外にも、上記の数字を変えることができれば、必達売上高の達成は可能となります。簡単に言ってしまえば、売上高を伸ばすということは収入を増やすことであり、上記の要素を変えるということは、支出を減らすことです。支出を減らせれば、その分だけ必達売上高も小さくて済むわけです。
しかし、上記の要素の中で変更できないものが一つだけあります。それは減価償却費です。税法で計算方法が決められているというのもありますが、減価償却費はお金の支出を伴わない経費なので、増やそうが減らそうが、会社の収支には影響しないからです。
変動費率を下げる
まずは、変動費率です。変動費率を下げることができれば、その分だけ粗利益率が増えるので、同じ売上高でも手元に残る金額が大きくなります。売上高というのは会社の数字の中でも大きな割合を占めるものなので、例え1%でも下げることができれば、効果が大きくなります。
仕入の量を増やす、支払のタイミングを早めるなど、支払手形での決済を止めて掛けや現金払いにする等、仕入先や外注先にとってメリットのある方法が提示できれば値引きに応じてもらえることもあります。業界慣行があるからうちの会社では無理だと始めからあきらめず、何か手を打てないか考えみるようにしましょう。
固定費額を下げる
固定費を下げるという取り組みは、どのような会社でも行っているかと思います。売上に貢献していない費用があるかどうか、これも見直しをしてみると結構見つかるものです。今はいろいろなサービスがあるので、振込手数料を下げたり、電気代や水道代、電話代やコピー機の料金のようにサービスの質は変わらなくても支出額を下げることが可能なものはたくさんあります。家賃も周辺相場に比べて高いのであれば交渉余地があります。
一方で、人件費の削減や節電、消耗品の質を落とすことでの経費削減は慎重にやらなければなりません。人件費の減少は従業員の士気に直接影響しますし、蛍光灯の間引きやコピー用紙の品質を下げることも、従業員によってはやる気を阻害する原因にもなりますので注意が必要です。
法定実効税率を下げる
税率は変えられないだろう、と思われるかもしれませんが、そうでもありません。例えば、資本金が1億円を超えるか否かで法人税、住民税、事業税の税率は変わります。資本金の減資を行うことで税率を下げることができるのです。他にも、事業ごとに会社を分社化して利益額を低く抑えるという方法もあります。詳しくは、公認会計士のような専門家に相談してみることをお勧めします。
借入金の返済額を下げる
借入金の返済額は契約書で決まっていますが、変更する余地は十分にあります。どちらかと言えば、銀行と話をするだけなので、上記のいずれの取組みより簡単なことが多いです。
よく使われるのは借換えと呼ばれる手法です。既存の借入が複数あれば、それらをひとまとめにして、より長期の返済期間でお金を借り、そのお金の一部で従来の借入金を繰上返済するのです。銀行としても、借入額が増えて期間も長くなれば金利収入が増えるので、喜んで対応してくれることが多いです。
他には、短期継続融資を活用するという方法もあります。金融検査マニュアルの影響で、毎月約定弁済のある証書貸付が主流ではありますが、現在は金融検査マニュアルが廃止されました。とはいえ、銀行側もなかなか従来と違う貸付はしにくいもの。こちらから声をかけるとあっさりと引き受けてもらえることがありますので、ぜひ融資担当者に聞いてみてください。
終わりに
このような取り組みを行うことで、必達売上高を下げることが可能になります。これだけ方法があれば、どれかはできるものがあるのではないでしょうか?単純に売上高を増やすことだけでなく、不要な支出を減らすということも重要であることをぜひ覚えておいてください。