積み立て方法から考える退職金制度
退職金制度には、退職一時金、確定給付企業年金、中小企業退職金共済、確定拠出年金等、いろいろな種類があります。これらの制度は、会社が退職期制度を設ける目的に応じて選択するものです。今回は、退職金で重要な要素の一つである積立方法の観点から、退職金制度を見てみたいと思います。
経費になる積み立てと経費にならない積み立て
将来資金繰りの心配なく退職金を支払うためには、それまでの準備が大切です。しかし、ただ単に退職金のためのお金を貯金しておけば良いかというとそうでもありません。
例えば、退職金準備専用の口座を作り、そこにお金を貯めていくことをしたとしましょう。この場合、退職金の支払いのための準備であったとしても、そのお金は経費になりません。経費にならければ法人税がかかるので、その分退職金の準備額は目減りします。退職給付引当金を計上することで、退職給付費用を計上したとしても同じです。法人税法では退職給付引当金の計上は認められないので、結局経費にできません。
一方で経費になる積み立て方法もあります。確定給付企業年金、中小企業退職金共済、確定拠出年金の掛金です。この掛金は支出時に経費となりますので、支出の分だけ法人税負担も減ります。
経費になるかならないか、その違いはどこにあるかというと、会社の内部に貯蓄しているのか外部に貯蓄しているかという点です。退職金支払いのための口座を作る方法では、会社内部の貯蓄であり、そのお金は会社が自由に使うことができるので、経費にならないのです。一方、確定給付企業年金等の掛金は、いったん拠出したら会社で使用することはできません。この違いにより、退職金準備の積み立てが経費になるかどうかが決まるのです。
退職一時金には内部積み立て、企業年金には外部積み立てが用いられる
退職一時金には内部積み立ての方法が用いられることが一般的です。一方、企業年金については外部積み立てを用いることが多いです。なお、外部積み立ての企業年金は、退職者の希望で一時金として受け取ることができるものがあります。
ちなみに、内部積み立てと外部積み立て、税金面で有利なのはどちらでしょうか?
積み立て額が経費になる外部積み立ての方が有利そうな気がしますが、全期間を通じてみるとどちらも同じです。内部積み立ての場合には、毎期の経費にはならないものの、退職金の支払時にその全額が経費になります。外部積み立ての場合には、毎期の経費になるものの退職金の支払時に経費にならないからです。結局、一時に経費を発生させるのか、毎年平準化して経費を発生させるかの違いなのです。
ここまでのまとめ
上記についてまとめると次のようになります。
・退職金準備の方法には経費になるものとならないものがある
・どちらの方法でも全期間を見れば損得はない
そうすると、どちらの方法を選択するのが良いか気になりますよね?次回は、積み立て方法を選ぶときの考え方を解説します。