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従業員の給与が増えると節税になる!
中小企業には、給与等の引き上げを行うと税額控除が受けられるという素晴らしい制度があります。給与を上げるというのはなかなか難しいかもしれませんが、給与等には賞与も含まれます。当期は給与や賞与を多く払ったなと感じたら、この税額控除が使えないか税理士に確認してみましょう。
ここでは制度の概要を簡単に説明します。
税額控除の適用要件
中小企業限定の制度なので、資本金が1億円以下である会社が対象となります。また、前期と当期の全期間において就業していた従業員の給与額を比較し、前期比で1.5%以上増加していることが要件となります。
ここでいう従業員とは雇用保険の一般被保険者なので、1週間の所定労働時間が20時間未満である者、65歳以上の者、季節的に雇用される者、日雇労働者以外のことです。なお、雇用保険に実際に入っているかどうかは関係ありませんので、何らかの理由で雇用保険に未加入であっても、雇用保険法第60条の2第1項2号に定める一般被保険者の要件を満たすかどうかで判断します。
税額控除の金額
上記は、税額控除が使えるための要件でした。実際に税額控除ができる金額は、(当期給与額ー前期給与額)×15%になります(ただし、この税額控除を適用する前の法人税額の20%が上限)。
適用要件の方では雇用保険の一般被保険者で前期も当期も働いている人に限って計算しますが、税額控除の金額を計算するときには全従業員が対象ですので注意してください。つまり、パートやアルバイトの社員の給与が増えた場合にも節税に繋がるのです。
税額控除の上乗せ金額
さらに、一定の要件を満たす場合には、給与増加額の15%ではなく25%の税額控除となります。その要件は次の2つで、両方満たす必要があります。
①前期と当期の全期間において就業していた従業員の給与額を比較し、前期比で2.5%以上増加
②教育訓練費の金額が前期に比べ10%以上増加している、または、経営力向上計画の認定を受け経営力向上が確実に行われたことにつき証明がなされている
このうち、経営力向上計画の認定にはある程度の時間が必要であるため、この制度の適用を考えているのであれば、早めに申請するようにしてください。
終わりに
ここでは要件を簡単に記載しただけですが、それでも何だかややこしい制度だなと感じられたかもしれません。税額控除適用のための要件と、税額控除の金額を算定するための計算が異なること、さらには上乗せのための要件もあるので、実際、複雑な制度となっています。
経営者としては、前期より給与が増えたら節税になると考えてもらえれば良いと思います。そして、詳しくは顧問税理士に確認するようにしてください。