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財務の視点から考える新型コロナ対策⑬

日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、運転資金の場合、最大で5年据え置きの返済期間15年という大変有利な条件で借りることができます。そうなると、返済期間は一体何年にするのが良いのかという疑問が出てきます。今回は、公庫の融資を受けるときに、適正な返済期間について考えてみます。

1年間に返せる限度額を計算する

まずは、1年間に返済可能な金額を計算してみましょう。そのためには、当期純利益と減価償却費を知ることが必要です。当期純利益は試算表または決算書の損益計算書の最後の行を見れば載っています。減価償却費は前回の記事で説明していますのでご参照ください。

当期純利益に減価償却費を加算した金額、これが融資を返済するために使える原資となります。

既存の融資がない場合

既存の融資がない場合には、(当期純利益+減価償却費)×15の金額を計算してみてください。この金額が返済期間15年で無理なく借りることのできる最大金額になります。

なお、据置期間がある場合には、上記の×15の部分を据置期間の分だけ小さくしてください。例えば、据置期間が3年の場合には、(当期純利益+減価償却費)×13が最大金額になります。

これは、1年間に返せる金額をもとに、返済期間全体ではいくら返すことができるのか、そこから融資の最大額を算定するものです。

既存の融資がある場合

既存の融資がある場合には、少し複雑になります。まず、既存の融資を1年間にいくら返済しているのかを集計してください。その後、(当期純利益+減価償却費−返済額)×15を計算します。この金額が融資の限度額です。据置期間がある場合に×15の部分を小さくするのは先程と同じです。

実際には既存の融資は15年の間に返済が終わると思うので、もう少し借りても返済はできるかもしれません。しかし、上記の計算では確実に返済できるであろう数字を計算しています。

融資を受けるときは適正な返済額を心掛ける

売上が急減しているときにはなかなか余裕がないかもしれませんが、融資を受けるときには、常に何年で返済するのが適正か、無理がないかを考慮すべきです。そうしないと、いっときはしのげても、将来どこかで無理が出てきます。

逆に考えれれば、多くの金額を借りたければ、それだけ返済に使える金額を増やせば良いということになります。つまり、当期純利益を増やすのです。では、当期純利益を増やすには、何をすれば良いか・・・と順番に考えていくことで、次の打ち手が見つかるはずです。

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