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利益アップのための取組み順位

前回は、実際売上高が必達売上高に足りない時の対策として、売上高を伸ばすことに加えて、以下の4つの方法を説明しました。
・変動費率を下げる
・固定費額を下げる
・法定実効税率を下げる
・借入金の返済額を下げる

売上高を伸ばすという対策を、「売上単価を上げること」と「販売数量を伸ばすこと」に分けて上記に加えると、全部で6つもの対策があることになります。このうち、売上単価を上げる、販売数量を伸ばす、変動費率を下げる、固定費額を下げるという対策は、いずれも税引前の利益を増やすためのものです。

今回は、この4つの対策について、どれを優先して進めたら良いのか、その順位付けを会計的に行う方法を解説します。

利益の感応度を分析する

利益アップのための取組み順位を決めるには、利益の感応度分析というものを用います。これは、取組み成果が利益アップにどれだけ効果があるかということを数字で表したものです。といっても、計算方法はとても簡単です。
・売上単価:税引前利益÷売上高
・変動費率:税引前利益÷売上原価
・販売数量:税引前利益÷粗利益額
・固定費額:税引前利益÷固定費

上記の数値を計算してみて、数字の低いものほど、対策を行ったときの効果が大きいものになります。それぞれの数字が意味するものは、税引前利益が0になるのにどれだけの変動率が必要であるかということです。つまり、この数字が低いものほど、ちょっとの変動で赤字になる可能性が高いもの、言い換えれば、利益が大きく出るものになります。

一般的には売上単価が第1順位となる

通常、どのような会社でも売上単価の感応度が一番高く(数値が低く)なります。すなわち、それだけ売上単価の上下動は利益に直結するということです。飲食店で、割引クーポンを配布して、お客さんが増え、売上高が伸びたのに、赤字になってしまうのは、売上単価の感応度が高いことが原因です。つまり、安易な値引きは危険ということです。逆にわずかであっても売上単価を上げるということは、利益アップのためにはとても効果があることになります。

経営が苦しい時は固定費を減らせは嘘

同様の理由で、経営が苦しい時に経費を削減すればなんとかなるというのは正しくありません。業種にもよりますが、固定費額が多い場合には、固定費の感応度は低く、経費削減の効果は限定的になります。そのような場合には、固定費の削減も大事ですが、それよりも先に値下げをせずに販売数量を増やすこと、変動費率を下げることの方が効果があることが多いのです。

終わりに

すべての会社に共通した利益アップの方法はありません。しかし、利益の感応度分析をしてみると、何に取り組むべきかは明確になります。損益計算書を用意して、上記の4つの数字を計算してみてはいかがでしょうか?

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