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安易な値引き販売は本当に危険!

前回の記事で、安易な値引きは危険ということについてちょっとだけ触れました。実例がないとわかりにくい部分ですので、もう少し詳しく解説します。

変動費に着目して値引きの影響を測る

値引きがどれくらいの影響を及ぼすのか?それを知るためには変動費に着目します。なぜなら、固定費は値引きをしようがしまいが、関係なく発生する費用なので、考えても仕方がないからです。

前回の記事に倣って飲食店の例を考えてみましょう。話をシンプルにするために、メニューは1,000円のランチ1種類だけとします。また、このランチを提供するために必要な原価は材料費500円とします。

材料費だけを考慮するのは材料費が変動費だからです。アルバイトの店員がいればその人件費も考えないといけないような気もしますが、アルバイトでも人件費は固定費です。仮に売上が0であってもバイト代を支払わないということはないですよね?お店に出勤してもらった以上は多少であってもバイト代は支払います。変動費の定義を思い出してください。売上が0になったときに0になるのが変動費です。そうするとバイト代は変動費ではないので固定費となります。

値引きなしの場合を考える

まずは、値引きなしのケースを考えてみましょう。1日100人のお客さんが来てくれるとしたら、このお店の売上は100,000円/日となります。材料費が1食当たり500円だから売上原価は50,000円/日で、粗利益は50,000円/日ですね。月に20日営業したとしたら、粗利益100万円です。

固定費は考えなくても、どれくらいの影響があるかはわかるのですが、一応バイト代が10時間×1,000円として10,000円ということにしてみましょう。固定費まで含めて考えると、1日当たりの利益は40,000円ということになります。一月の利益は80万円です。

値引きありの場合を考える

では、値引きをするとどうなるのでしょうか?クーポンを配布して、1食当たり100円の値引きをすることにしてみましょう。また、値引きの効果でお客さんが増え、1日120人になったとします。10%の値引きでお客さんは20%増です。これは売上が増えそうな気がしますね。

実際に計算してみると、売上は900円×120人=108,000円となります。値引きの効果がありました!売上アップです!!

では、利益を計算してみましょう。売上原価は120食×500円=60,000円なので、粗利益は108,000円-60,000円=48,000円です。あれっ?なぜか粗利益は2,000円減ってしまいました。

どこかで計算を間違えたわけではありません。このケースの場合だと、100円の値引きで売上を増やしたとしても粗利益が2,000円減ってしまうのです。ちなみに人件費10,000円を考えると1日当たりの利益は38,000円です。やはり、2,000円の利益ダウンです。固定費を加味しても利益の減額幅は一緒です。これが固定費は考えなくても良い理由なのです。

粗利益率の減少を侮らない

今回の例で上手くいかなかったのは、原価が高かったことと客数の伸びが少なかったことに理由があります。100円の値引きで同じ粗利益を維持するなら、最低でも125人の客数が必要になるのです(ぜひ計算してみてください)。実際の飲食店では、ここまで原価率は高くはありませんので、100円の値引きなら売上も利益もアップするという結果になるかもしれません。

しかしながら、何となく値引きして客数が増えて売上が増えても喜べないということがわかったのではないでしょうか?値引きをするなら、どれくらいの売上アップが必要なのか、あらかじめシミュレーションしておくことが大切なのです。そうしないと、売上が増えた分だけ忙しいのに儲からないという悲惨な状況になってしまいます。

終わりに

いかがだったでしょうか?値引きをするなら戦略的にやらなければ、効果が出ないどころか逆効果になってしまうことすらあるのです。売上さえ維持できれば値引きしてもいいや、とは考えず、値引き額が適切であるかどうかは常に考えたいところです。

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