「HATSUNE MIKU LIVE - UNTITLED 0 -」感想
クリプトンさんが現在制作・運営をしているコンサートシリーズは4つあります:日本国内のマジカルミライ、海外向けのMIKU EXPO、北海道で開催されたSNOW MIKU LIVE!、そして中国ツアーMikuWithYou。
(*鼓童コラボはスペシャルライブ扱いなので入れてません)
それぞれの色や特徴があって、海外で披露されたMIKU EXPOのテーマソングは日本国内ツアーを開催されていない限り、日本国内ではそれを見る機会がほとんどないと言えます。逆に言うとHand in Handなどのマジカルミライテーマソングは海外ではあまり披露されることがないです。
(*砂の惑星がMIKU EXPOで披露されたのはとても珍しいケースです)
紹介文によると、UNTITLED 0は新しいライブタイトルということがわかります。そして今回は確かに今までのテーマに沿ったセットリスト組め方ではなく、新たなやり方で初音ミクさんのライブを再構築しました。
セットリストについて
セットリストをいくつのブロックをわけるとこうなる↓
・定番人気曲+ハイパーリアリティショウ
・MEIKO+KAITOパート
・MIKU EXPO
・巡音ルカパート
・SNOW MIKU LIVE!
・鏡音パート
・マジカルミライ
一見これまで披露された曲をかき集めただけですが、全体のバランスはとてもよく、ロックからバラートからダンスミュージック、そして代表曲から近年の新しい曲まで、幅広いセットリストとなっております。しかも各キャラクターの出番は少なくとも2回あります。とても素晴らしい。
演出面にについて
今回の演出面の話をすると、バックスクリーンとレーザーの演出がなくなり、その代わりディラッドスクリーンの出場と退場エフェクトを一新しました。マジカルミライのような豪華な演出がなくなった分、照明とエフェクトCGだけで魅せることによって、今までよりもボーカルとバンドメンバーのパフォーマンスを強調され、非常に純度の高い初音ミクライブとなりました。非常に面白いし、はっかりパフォーマンスを見れました。
無観客配信ライブについて
最近無観客配信ライブがどんどん増えてきましたが、こういったライブは臨場感と現場の雰囲気が味わえないのが欠点です。普通のアーティストだったら思うままに、モニターの前にいる観客に話をかけて交流することができますが、初音ミクさんの場合だとそういう観客との交流が少なく、オンラインライブになるとなおさら距離を感じてしまうので、今までのやり方だと、ライブ円盤を鑑賞するよりもつまらなく感じてしまいます。
そこでクリプトンさんは臨場感と参加してる感じを加えるため、これまで収録したファンの合いの手とコールを混じって配信しました。モニターの前にいる私達も現場にいる感覚を感じられて、楽しさが倍増。ボーカルの歌声もリバーブエフェクトを掛かっており、ただPA設備からの単純な歌声ではなく、スピーカーを通して空気を渡って私達の耳に届いているような感覚がありました。もちろん現場には敵わないが、少なくとも臨場感がないという壁を乗り越えられました。
UNTITLED 0の目標
初音ミクさんがMCでこう言いました↓
「みんなそれぞれ離れているけど、心は繋がっているよね!」
この言葉を感情のないはずのバーチャルシンガーから言われたとき、本当に印象に残りました。
UNTITLED 0は今まで初音ミクライブの形を砕き、再構築しました。でもそれだけではなく、人々がコロナによってできた心の壁を打ち壊す、そしてオンラインとリアルの距離を縮める、そのような目標があると私が感じております。
セットリストにMIKU EXPOの曲を入れることで、世界と日本をつなぐことができました。海外ライブへ行ける方にとって、これらのMIKU EXPOテーマソングに対するいい思い出が少なくとも1つあります。UNTITLED 0は私達にいい思い出を思い返す、そして海外へいけない方に共有するチャンスを与えてくれました。そしてこの時期に雪ミクの歌を入れることで、コロナのせいで非現実的になった夏に、心地よい涼しい空気を与えました。
あと、kzさんもこのイベントに出演しました。アメリカツアーでしか見れない光景が今回のイベントで見れて、とても驚きました。kzさんは事前にTwitterで告知しましたがそれを把握できなかったので、生放送でkzさんの姿を見たときまじでびっくりしました。
クリプトンさんが伝いたいこと
UNTITLED 0の最後の曲「Hand in Hand」、まさに今回のMC内容を代表する一曲ではないでしょうか。だからHand in Handはここでは、マジカルミライ2015のテーマソングだけではなく、クリプトンさんが世界の人々に届けたいメッセージにもなります。
コロナで不安に落ちて、世の中の人々が争い、疑い、怒り、悲しみから抜け出せなくなってしまった。
それでも、音楽の力で心の距離を縮めることができる。それで私達はきっと手を繋いで、未来へ歩き出すことができます。
タイトルがない、テーマがない、限界がない、距離がない。
UNTITLED 0は、クリプトンさんがこのご時世に向けて出した、1つの解答である。
公式紹介によると一回限りのイベントではなく、今後もいろいろ展開してくれるものですので、新たな初音ミクライブになってほしいです。
最後、ちょっとした雑談
・今回のバンドメンバーはほぼいつものメンバーですが、今までキーボードを担当してくださったMEG.MEさんは今妊娠中でしばらくお休みすることとなり、今回のキーボードはHoneyWorksのサポートメンバー宇都圭輝(cake)さん
・今回のオープニングは一年前に中国で開催されたBilibili Marco Link 2019のオープニングをベースに作られました。披露された曲も一部今回と重なった部分があるので、そのイベントがあったからこそ今回の発想に至ったではないかと私が思います。ただビリビリと違ったのは、今回のイベントはニコニコネット超会議2020夏の目玉企画なので、最初「ニコニコネット超会議2020夏、スタート!」の声も入っています。
・今回のイベントはSNOW MIKU LIVE!ではなく、ましてやマジカルミライでもない、新たなライブコンサートなので、好き!雪!本気マジックのこの歌詞「Ladies and gentlemen, Welcome to Snow Miku!」が全部なくなりました。グリーンライツ・セレナーデの方もマジカルミライで披露されたときの最後の歌詞が「マジカルミライへと」となっているが、今回のライブでは元の歌詞「間近で見たいから」となりました。劣等上等に関しても同じく元の歌詞となりました。
以上、とても満足度が高いコンサートでした。台湾の友人たちも称賛の声をあげております。制作に関わったすべての方に感謝!
ここまで読んでいただきありがとうございました。「UNTITLED 1」も楽しみに待っています。
*本記事のスクリーンショットはすべて生放送からのものです