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2024.12.3 水平精度の重要さを痛感しました。 (旧11.3)
このところ連日の快晴が続いていまして 昨晩も #SeeStar 望遠鏡で星空観望をしていました。 このところずっと課題になっていましたのは 長時間撮影している際や あちこちの天体を観望し続けているとエラーが頻発しだす 問題です。
冷静になって考えてみますと答えは明白で “水平の精度が悪い” からでした。 要するに望遠鏡をあちこち向け直すと水平が狂うということが問題でした。 これまで色々な原因を探っては改善を試みて来ましたが、どうも埒があかなかったのですが ここに来てハタと気づいたのは #SeeStar 望遠鏡が認識する “水平の基準(つまりLevelセンサーの原点)が狂っているのでは??” という点でした。 いくら現場で設置の際の水平出しを厳密にやっても 望遠鏡自体が 「これが水平である」という認識をする原点が狂っていれば 何をやっても徒労に終わります。 この当たり前のことに気づくのにずいぶん時間がかかってしまいました。
昨日は実際に望遠鏡に内蔵されている水平センサー(Levelセンサー)を校正する作業をしました。 メーカーがチュートリアルで紹介しているような望遠鏡本体に水準器を載せて水平出しをして校正するやり方では全然ダメで粗すぎます。 実際にメーカー出荷時のままでは鏡筒を1周させる間に最大で 0.6度も水平が狂っていたありさまでした。
実際にこのLevelセンサーの原点を校正するやり方ですが、アプリに内蔵されている SkyAtras などを使って鏡筒を例えば30度刻みに1周させて内蔵水平センサーの示す値(スマホ画面で2つの丸が重なるアニメのあれ)を記録し 一番水平偏差の大きい方角を割り出しまして、その方角に鏡筒を向け直した上で物理的に水平出しを微調整やり直しました。 これで望遠鏡は真の水平に一歩近づきましたので その状態でLevelセンサーを校正して水平の基準として認識させます。 そして再度1周させて水平記録して… と繰り返しやって追い込んでいきまして、ようやく鏡筒をどこに向けても水平が狂わないように出来ました。 もっとも望遠鏡内蔵の水平センサーがどの程度信頼に足るものなのかわかりませんし、この校正のやり方で正しいのかどうかわかりませんが、 とにかくも結果的に長時間撮影時のエラーは減りまして、昨晩は最長4時間に及ぶ撮影もなんとか成功しました。 これまでは2時間も経過しない内にエラーが頻発して撮影中止に追い込まれていましたので 格段の改善だと思います。
#SeeStar 望遠鏡は最近のアップデートでモザイク撮影という広い視野を撮影できる機能が追加されたりしまして 結果として長時間の撮影を余儀なくされることが増えてきています。 旧来のノーマルな撮影でしかも露出時間が数分〜十数分程度の撮影なら 水平出しはそれほど精度を気にしなくても大丈夫なようで、メーカーの出荷時の状態で使っていてもさほど問題は生じにくいようですが、モザイク撮影のように数時間を要するような撮影においては水平精度の狂いは致命傷になるようです。 旧来より格段に精度の高い水平出しをする必要があります。 そのための根っこには Levelセンサーの原点が正確に機材の水平状態でゼロに校正されていないと話になりません。
実際問題として私の #SeeStar 望遠鏡は鏡筒を一周回す間に最大0.6度も水平が狂ってくると言いましたが、例えば撮影時間が2時間に及ぶと その間の水平軸の回転は30度に及びます。 半周180度で最大0.6度狂うのですから 30度なら最大で 0.1度も水平が狂ってくるわけです。 #SeeStarの画角は 2.4度かそこらですから ざっと最大で画角の4%程度差が出てしまうわけでして これは画像補正が失敗するのも無理はないのではないでしょうか? 画像補正のアルゴリズムがブラックボックスですのでこれがどの程度問題なのかはわかりませんが。 もちろん鏡筒を向けている方向によってはここまで酷くないケースもありますので 起きるエラー現象だけ見ていると何が起きているのか? なぜ今回はエラーにならないのか? など訳がわからなくなるのは当然と言えます。
改めて考えてみれば #SeeStar 望遠鏡のような経儀台式の仕組みにおける水平出しの重要さは 赤道儀式の極軸合わせの精度と同じか それ以上の重要さを持っていると思います。 これまでこの点に無頓着だったことを痛感しています。 これまでは 設置時の “水平出し” 作業を完璧にこなせば問題ないと思いこんでいたのは間違いで その根っこにある水平センサー(Levelセンサー)の原点が狂っていることにも目を向ける必要があります。 原点が狂っていれば元も子もないです。
今日は少しマニアックな話に終始してしまいました。 忘れない内にメモしておこうということで今回はこの日記に書いた次第です。全国、全世界にいる #SeeStar 望遠鏡ユーザーの方にとっての参考にでもなれば幸いです。
メーカー出荷時のLevel校正値を信用してはならない。 これが教訓でした。
写真はきちっと??校正して水平精度が高まった状態の #SeeStar 望遠鏡で撮ったバラ星雲です。 撮影時間は4時間に及び、露出時間は1時間14分でした。 モザイク撮影ですのでかなり撮影効率は32%と悪いですが これまでの悪い水平精度下では撮影時間2時間が限度だったのが 4時間に及ぶ撮影がそれなりに出来たことは 私にとってかなりの改善でした。
#SeeStar 望遠鏡自体は安直だがそこそこ高度に使える機材としてありがたい存在のですが だんだん高度?な使い方を志向してくれば 一般的な天文機材と同等かむしろそれ以上に神経を使った調整や使い方が必要になってきます。 #SeeStar 使いとして少しは上達したでしょうか。