【ネタバレ感想】映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ 観ました
すみっコぐらしの新作映画を見たので感想書きます。ネタバレを多く含むので映画見る予定の人は読まないほうがいいです絶対。
あくまで私個人としての感想なので至らない点があってもご容赦を。
■映画としての感想
前作と比べて全体的なストーリーが若干薄いかなと思いました。前作にあったどんでん返し的な展開もなく、一般的なキャラクターものの映画としてあっさり終わった印象です。前作を100点とすれば70点くらいだと思います。
おわり
■すみっコぐらしの映画としての感想
うーん、100点満点中120点!!!!!!!!
最高でした。すみっコぐらし好きのために作られたであろう映画。すみっコぐらしを全く知らない人が見れば平凡なキャラクター映画で終わるでしょうが、しかるべき人が見れば間違いなく感動できるポテンシャルがあると思いました。
以下に今回の映画で良かった点をつらつらと書いていきます。
・すみっコたちの動きが可愛い
前作に比べてキャラクターがよく動くなと感じました。前作は序盤部分にすみっコを知らない人たちに向けての説明があり、既に知っている人からすると少し退屈な箇所になっていました。
今作では同じように説明シーンはあるものの、すみっコの動きが細かく可愛く、動きを見ているだけで飽きずに楽しむことができました。
・主要すみっコをメインにした話づくり
今作の映画オリジナルキャラクターである「ふぁいぶ」。前作のひよこ?に比べて印象が薄いかもしれません。これは決して悪いことではなく、むしろストーリーを進める役割を持ったうえで上手いことメインのすみっコたちの邪魔をしていなかったなという感想です。
前作のひよこ?は愛らしく、また切ないキャラでありました。とても良いキャラクターではある反面、ストーリーではひよこ?メインで話が進んでおり肝心の主要すみっコたちの影が薄くなっていたという印象を受けました。
今作はふぁいぶというオリジナルキャラクターが、言い方は悪いですが舞台装置として徹することでその点が解消されていたかなと思いました。
・みにっコたちの活躍
前作ではみにっコたちはどちらかと言うと背景的な役割になっており、あまりストーリーには強く絡まないものでした。
今作ではみにっコが活躍する場面がちゃんと描かれており、居る意味があったということが良かったです。
・抑揚を抑えたナレーション
今作ではナレーション役のお二人ともが落ち着いた話し方をしていて、あくまで主役はすみっコであるということを感じさせる良いナレーションでした。
前作ではナレーションがすみっコの声を代弁するような箇所が見られましたが、今作では基本的にすみっコに喋らせるという作りも良かったかなと思います。
■一番感想を言いたいシーン「とかげの夢」
今回、感想を書こうと思ったのはこのシーンがあったからです。この映画のクライマックスともいえる、とかげとお母さんが会うシーン。
今作では「夢」をテーマとして話が進んでいきます。ねこはスリムな理想の姿になること、しろくまはずっと暖かく過ごすこと、ぺんぎん?は本当の自分を見つけること、とんかつは誰かに食べてもらうこと。これらはすみっコぐらしの基本設定としてずっと存在しています。
では、とかげの夢はなんでしょうか。劇中でとかげはひた隠しにしていますが、これまですみっコぐらしを追ってきている観客には当然わかっています。とかげの夢は離れ離れになっているお母さんに会うこと、一緒に過ごすこと。
私の頭の中にも勿論そのことが思い浮かんでいました。だからこそ、魔法使いの兄弟たちがとかげとお母さんに魔法で羽を生やしたとき「やられた!」と思ったのです。
映画のクライマックスでとかげとお母さんが夜空を一緒に飛び回る姿。これはすみっコぐらしファンの間では言わずと知れた、2019年12月販売テーマ「とかげの夢」をモチーフにしたシーンです。
https://www.san-x.co.jp/sumikko/campaign/tokages_dream/
このテーマのショートストーリーはとかげがお母さんと一緒に夜空を散歩する夢を見るという内容です。(一部ファンの間では諸説あるらしいですが私はこう捉えています)
普段会えないお母さんと夢の中で一緒に夜空を散歩する。色合いも可愛らしくとかげも幸せそうな表情でありながら、あくまで夢の中であるという切なさも持ち合わせている名テーマです。
とかげの夢テーマのことは知っていたのですが私は映画を見ているとき、散々「夢」という言葉が出てきたのにも関わらずこのテーマのことは一切頭にありませんでした。
なぜなら、映画のクライマックスに至るまで語られてきた「夢」はすみっコたちの理想・願望といった意味の夢だったからです。とかげの夢は当然お母さんに会うことそれだけだと思い込んでおり、”寝ているときに色々な物事を見聞きしたと思う事象”という本来の「夢」という言葉の意味はすっかり忘れていました。
観終わって考えてみればクライマックスに至るまで、だがし屋すみっコやすみっコパン教室など今まで販売されてきたテーマになぞらえたシーンが多くあったのが伏線になっていたのですが、そこは脚本の妙と言いますか敢えて基本設定の夢を強調することで上手く隠されていたように思います。
魔法でお母さんを呼び出して、とかげとお母さんが会えたとき私の心は「ああ、これでとかげの夢が叶って大団円だな」という劇の終わりを迎えた気持ちでした。なので、そこから魔法で羽が生えたとき「あ、とかげの夢!そこに持っていくのか!!」と完全に面を食らってしまったのです。
この感覚は今まですみっコぐらしを追ってきた人にしか味わえない特別で格別な体験です。まさしく、すみっコファンのために作られた映画といって過言ではないでしょう。
そこからはもう感動するほかありませんでした。今まで文字通りの夢でしかなかったとかげの夢は、果たして5年に一度訪れる青い大満月の夜に現れた魔法使いたちの手によって叶えられたのです。
なんと美しく優しいストーリーでしょうか。もうこのシーンだけで100点です。
■総括
映画すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコは映画史に残るかはわかりませんが、すみっコ史には間違いなく名を遺す傑作でした。上映時間65分でよくぞここまでのものを。
もう皆さん分かりきっていると思うので何とは言いませんがエンドロールもね、いいよね・・・。
これからパンフ読むので何かあれば追加で書こうと思います。では。