誰だって失敗するけどね…
僕のバイト先は地元で知る人ぞ知る
牛タン専門店である。
お店がある場所が不便なので
基本お客さんは予約でしか来ない。
そんなある日、2組の予約があったのだが
キャンセルがあり1組だけになってしまった。
予約をしていたお客さんは8時ごろにはお会計を
済ませて帰って行った。
今日は早く帰れると思っていると
一人の女性が入ってきた。
すでに帰る準備はできていたが
優しい店長はそのままカウンターに座らせた。
その後お連れ様の一人男性が来た。
その男女は雰囲気が独特で
初めは夫婦なのかなと思っていたが
会話も少ないし黙々と食べている。
もうすぐご飯を食べ終わると思っていると
女性が口を開いた。
「実は今日予約してたんです。」
キャンセルが入ったお客さんだったのです。
その男女は姉弟でした。
数日前に父親がレントゲンを撮ろうとしたところ
看護師さんたちに腰の高さから落とされてしまい
脳出血と脳挫傷になってしまったそうで
お店に来るどころではなかったそうです。
その人は静かに怒っていました。
その父親はその女性が介護していたそうです。
もう長くはなかったと言われ大切に介護していた。
そんな大切な父を落とされたことには一切怒っていませんでした。
怒っていた理由は看護師と医院長でした。
「レントゲンの結果が出たので来てほしい。」
そして病院に行く真っ赤な枕に寝転がる意識のない父。
そんな状況で明るく話している看護師。
脳に損傷を追っているのに救急搬送しない医院長。
こんな態度や対応で怒らない人はいない。
きっと落とした看護師たちもわざと落とした
訳ではない。
人間誰だって失敗する。
だからどんな失敗も許すことが必要。
これには前提条件がいる。
全てを尽くした上での失敗のみ許されるのでは
ないだろうか。
看護師は尽くしていただろうか?
医院長は尽くしていただろうか?
意識のない父の前で明るく話している人たちが
尽くしていたと言えるか?
脳に損傷があると判断した瞬間に救急搬送
出来たのにしなかったその医院長は
尽くしたと言えるのか?
この前提条件があって快く許せる。
今回は前提条件が必要と言っているが
どうしても許せない状況だって来るかもしれない。
人と関わると色々ある。