アメリカ英語の発音の変化を検証する3⃣
button や curtain, kitten の t(tt) の発音は、どうして鼻が詰まったような音になるの? どうやって発音しているの?
前回もお話ししましたが、アメリカ英語(Genaral American)(以下GA)の発音は、常に舌を喉の奥に引き込むような感じにしておいて、あるいは 常に舌を強く口腔の奥部に引くようにしておいて行われています。
従って、舌の後部には強い力が込められているために、舌の後部の動きは制限され、発音時の舌は非常に窮屈な状態になっています。
つまり、GAを話す人たちの舌の後部は、彼らが話している間、口腔の奥部で ほぼ固定された状態になっているということです。
これが、GAを発音するときの ‟基準となる発音の構え” なのです。
ここからが検証です。 舌の状態を上記のようにしておいて button を発音してみて下さい。butan のような発音になりませんでしたか 。butan のような発音では、button として聴き取ってもらえません。
button の発音は、GAでは「バア(ト)ヌ」のような発音になります。( )内の ト の発音は t の閉鎖音です。
通常 t の発音は、舌先を上の歯茎に付けておいて、口腔から呼気が漏れないようにします。そして、口腔内に呼気をため、舌先を歯茎から離したときにためておいた呼気を破裂させたようにして出します。これを t の‟破裂音”と言います。
ところが、母音と母音に挟まれた button, curtain, kitten 等の t は、破裂音の t として発音せず、‟閉鎖音”(舌先を歯茎に付けておいたままで 破裂させることなく 次の子音を発音するときの t )になります。
t の発音の構えをしたままで 次の子音を発音すると言っても、t の後ろには母音があります。
このような場合、GAの発音では、t の後ろの母音に強勢が無いために、その母音は脱落させ t と n を続けて発音します。つまり、button や curtain, kitten のような語の場合、t と n の間にある母音の発音は省略させてしまうという訳です。
なぜ省略させてしまうのかと言いますと、t と n は調音位置(発音するときの舌先の位置)が同じなので、t と n の間にある母音の発音を省いてしまうことで、t と n をスムーズに続けて発音することができるという訳です。
更に詳しく言いますと、t の後ろの母音を発音するとなると、歯茎に付けておいた舌先を 一旦 歯茎から離すことになります。そうすると、次の n を発音するときに改めて舌先を歯茎に付けることになります。
また、t を破裂音で発音した場合も 舌先が歯茎から離れることになるので、次の n を発音するとき 再度舌先を歯茎に付けることになります。
このように、舌先を歯茎にくっつけたり離したりすることを繰り返さないために、t の発音を閉鎖したり、t の後ろの母音の発音を省略したりしているのです。
舌の後部を固定するような感じにしておいて発声しているGAでは、発音時の舌の移動を 極力避けるような傾向があるのです。
GAのそれぞれの発音の変化には、舌に力を込めない日本語を発音するときの舌の状態では解からない、‟アメリカ英語舌”ならではの合理的な理由があるのです。
この、アメリカ英語の発音の原理・原則を知ることで、リスピ(リスニング力とスピーキング力)を飛躍的に向上させる道が開けてくるのではないでしょうか。
以上です。