アメリカ英語には、三種類の「ウ」がある
一つ目は、母音の「ウ」です。日本語の「ウ」と同じです。
二つ目は、暗いL(dark L)です。暗いLとは、後ろに母音の発音がないLの発音のことです。
下の図は、アメリカ英語の暗いL(左)と明るいL(右)の発音図です。
暗いLは、舌先を歯茎につけておいて「ウ」と発音します。
舌先を歯茎につけた時点では、明るい(clear)Lの発音の構えですが、この構えのままで「ウ」と発音すれば、舌の後部が盛り上がり、舌は左の図のように変化します。
「ル」(lu)の発音の場合は、明るいL+u の発音になります。それを表したのが下の図です。
先程の図と下の図を比べれば、明るいLと暗いLの発音の仕方が違っていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
この発音の違いを記号で明確に表しているのが、下のEカナ記号です。
暗いLは、Lの発音の構えをしておいて「ウ」と発音するため、ウとLを組み合わせています。パッと見ただけで暗いLだということが分かるようになっています。
三つ目は、Wの発音です。日本語の「ワ」とアメリカ英語のWの発音は、根本的に違っています。
一般的に、Wの発音の調音位置は、口腔の奥部と唇の二ヶ所だと言われています。
ところが、日本語の舌で「ワ」を発音してみると、唇をすぼめないかぎり「ワ」と発音できないことから、唇が調音位置だということが分かります。
アメリカ英語の舌で[W]を発音した場合も、唇をすぼめないかぎりWのような発音はできません。
ところが、アメリカ英語のWの発音は、単純に唇をすぼめるだけでは出せないのです。
例えwomanの[wu]の発音は、単純な唇のすぼめ方では[uu]のような発音になってしまいます。
これは、唇のすぼめ方が足りていないのが原因です。
唇を思い切りすぼめて、と言うよりも唇をとがらせるようにしておいて[wu]を発音すれば、[uu]のようにはならず、「ウォ」のようになります。
アメリカ英語を話すアメリカの人たちが、womanを発音すると、私たちには「ウォマヌ」のように聞こえます。
下の記号は、「ワ行」を五音化したものです。
「ワ行」を五音化することで、wolf や womanを、ウルフやウーマンのように誤表記することを避けることができます。
今回は以上です。