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日本式の舌で発音する「ア・イ・ウ・エ・オ」とアメリカ英語の舌で発音する「a・e・i・o・u」は どう違う?(続編)

前回は、日本語の母音を日本式の舌で(口の開き具合を変えて)発音すれば 母音の音は変化するのかしないのか変化するならどのように変化するのか、ということについて述べました。

今回は、アメリカ英語の舌で 口の開き具合を変えながら 英語の五つの基本母音[a・e・i・o・u]を発音していけば、母音の音は変化するのか、変化するなら どのように変化するのかを検証していきます。

※アメリカ英語の舌とは、舌を喉の奥に引き込むようにした場合の舌の形状、あるいは、舌を口腔の後ろに強く引いたときの舌の形状のことで、(この舌の形状は 口を開けて正面から見ると) ゆるやかなⅤ字型になっています。これは、舌の左右の両端は 上の左右の奥歯に当たっているが、舌の中央の部分は左右の両端よりも下がった状態になっているということです。この舌の形状は、アメリカ人が英語を話すときの基準となります。つまり、英語を話すときは、常に 舌の形状をこのようにしているということです。

口(上下の歯)の開き具合について 「小」は、口を鉛筆一本分(8ミリ)くらい開けて発音します。 「中」は、口を鉛筆二本分(16ミリ)くらい開けて発音します。 「大」は、口を鉛筆三本分(24ミリ)以上開けて発音します。


   口の開き具合    小    中    大

     aの発音     a        a      a

     eの発音     e             e      e

     iの発音    i                i              i

     oの発音     o             o           o

     uの発音     u      u             u

上記の母音[a・e・i・o・u]を それぞれ発音してみて確認できたことは...

[a]の発音は、口の開け方が小の場合には 弱く軽く「ァ」と発音すれば あいまい母音(シュワ―)の「ァ」の音に、強く短く「ア」と発音すれば sun や come の「ア」の音になりました。中の場合には 二重母音(ai, au) の「アィ」「アゥ」の「ア」の音に、そして 大の場合には hot や stop 等の「ア」の音になりました。 

上記の[a]の発音でお解りのように、アメリカ英語の舌の構えで発音することにより、口の開き具合を変えるだけで英語の三種類の「ア」の発音は 簡単にできました。

口の開き具合を変えて発音する三種類の「ア」とは別に、あいまい母音の舌の構え(=アメリカ英語の基準となる発音の構え) のままで「ア」の発音を強く短く発音すれば sun や come 等の「ア」の発音になりました。

また、あいまい母音を 強く長く そして後ろにR音声母音をつけて発音すれば、first や turn の「ア-r」の発音になります。

さらに、mark や part の ar の発音も、口の開き具合を大にしておいて強く「ア-」と発音し、後ろにR音声母音をつければ、ar の発音になりました。

R音性母音のつかないfather や calm, walk も、口の開き具合を大にしておいて強く「ア-」と発音すればできました。

前回の、日本式の舌で 口の開け方を三段階に分けて「ア」を発音した場合と比べてみれば、その違いは歴然としているのではないでしょうか。


[e]の発音は、小よりも もう少し口を開けておいて 「エ」と言えば 英語の[e]に、中の場合には air や bear 等の三重母音の「エ」に、そして 大の場合には apple や cat 等の「ア」と「エ」の中間の音のなりました。


[i]の発音は、小の場合は 「イ」と「エ」が混じった音になり、中の場合は ほぼ「エ」の音に、そして 大の場合は 完全に「エ」の音になりました。

英語の[i]の発音は、日本語の「イ」と「エ」の中間の音だと言われていますが、アメリカ英語の舌にしておいて発音することで、日本語の感覚で「イ」と発音しても、自動的に日本語の「イ」が英語の[i]の音になっています。

長母音の「イー」には、ストレス(=アクセント)があるので、「イー」を強く発音します。「イ―」を強く発音すれば 唇が左右に引かれるようになります。


[o]は 唇を丸めておいて発音します。口の開き具合を小、または中にしておいて「オ」と発音した場合は 二重母音(ou)の「オゥ」の「オ」になります。「オ」の後に軽く「ゥ」を付ければ、二重母音の「オゥ」になるわけです。大の場合は 二重母音の「オィ」の「オ」や、長母音の「オ―」の音になりました。

長母音の「オ-」は、唇を丸めずに「オ-」と発音すれば 「オ-」にはなりません。「オ-」に代わって father や calm, walk 等の「アー」の音になります。

[u]の発音は、唇をやや丸め、短く「ウ」と言う。長母音の「ウ-」は、唇を尖らせ(=口笛を吹くときのようにしておいて)強く「ウ-」と発音すると、短母音の「ウ」との違いが明確になりました。


母音(短母音)は、アメリカ英語の舌にしておいて発音することで、各音素のつながりがよくなり、発音しやすくなりました。音声もアメリカ英語の響きになっています。

個々の二重母音や三重母音も、これまでは それぞれを一つの発音の種類として捉えていましたが、これらの母音は 短母音の集合体なのだということが分かりました。

これまで「英語の母音は20種類以上ある」と言われていたことは 一体何だったんだという思いになり、英語発音時の日本式の舌とアメリカ英語の舌の違いを 改めて強く感じました。

私たち日本人は、これまで(英語という言語の対局にある)日本語を介して 英語の発音を身に付けようとしてきました。そのため、英語の発音を あまりにも複雑に あまりにも難しく捉えざるを得なかったのかな、という思いに至りました。

以上です。


今日のまとめ 

①アメリカ英語の発音を容易に身に付けるには、舌の形状を「基準となる発音の構え」にしなければならない。

②基準となる発音の構えの形状とは、上の左右の奥歯に当たっている舌の左右の両端よりも、中央の部分が幾分低くなっている状態のことである。

③同じ母音を発音しても 口の開き具合が変われば、日本式の舌とアメリカ英語の舌とでは、音の変化が大きく違っている。

④舌の形状を変えることで、母音と母音の音素のつながりがよくなり、アメリカ英語の発音を容易に身に付けることができるようになる。

⑤舌の形状を変えれば、音声もアメリカ英語の響きになる。

⑥これまでの発音学習や発音矯正でも英語の発音を身に付けることができたが、舌以外のところに注力した指導だったので、発音を習得するまでの道程は険しく遠かった。

⑦日本語の母音は、「アイウエオ」の五音であり、アメリカ英語の母音も[aeiou]の五音が母音の基本になっている。

⑧昭和の時代から、英語の発音をあまりにも複雑に、そして 難しく考え過ぎてきた。


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