アメリカ英語の発音を総括する2⃣
アメリカ英語の音声には、いろいろな特徴があります。
アメリカ英語(general american)(以下GA)の音声は、
①イギリス英語に比べて、共鳴の度合いが高い。
②イギリス英語に比べて、音声周波数がかなり低い。
③鼻音化されている。
④音声変化が多い。
⑤「ツ」(tsu)の発音ができない。
⑥曖昧母音の発音が多い。
大体、以上のような音声的特徴があります。
上記の、①~⑥の それぞれの音声的特徴は、元をたどれば、たった一つの原因から発生しているのです。
その一つとは、舌の形状を緩やかなⅤ字型にしておいて発声しているということです。
どういうことかと言いますと、舌を喉の奥に引き込むような感じにすることで、舌の左右の両端は盛り上がり、舌の中央部分は奥部に引かれていて低い位置にあるために、正面から見れば、舌がⅤ字型になっているということです。
GAでは、Ⅴ字型の舌の形状を基準としておいて、ここからいろいろな発音をしていく訳です。
Ⅴ字型の舌にしておいて発声することで、❶口腔の奥部から喉にかけて、空間ができるのです。この空間で音声を響かせているのです。
❷単に舌を盛り上げておいて発音しているイギリス英語は、呼気の通路が狭くなっています。呼気の通路が狭くなっていれば、同じ量の呼気なら、そこを速く通過します。呼気には、音声も含まれています。音声が速く通過すれば、音声周波数が高くなるという訳です。
そういう訳で、イギリス英語の音声の共鳴の度合いは、GAのように高くならないのです。
ところが、GAの音声は、口腔の奥部に広い空間ができているために、狭い通路を通過するイギリス英語のように速く通過することができないのです。
❸GAの発声は、舌の中央部分に舌を口腔の奥部に引こうとする強い力が加えられているために、舌の中央部は盛り上がることができません。
この強い力は舌だけでなく軟口蓋周辺にも及びます。そのため、軟口蓋の先端に付いている口蓋垂(いわゆるノドチンコ)にも影響を与え、口蓋垂は 常に下がった状態になります。
通常、口蓋垂は口腔と鼻腔を切り離すために、口腔と鼻腔の通路を閉じるようにしています。そして、n や m 、あるいは ng を発音するときのみ、自動的に下がった状態になり、口腔と鼻腔の通路を開け、口腔と鼻腔の空間を一体化します。
ところがGAでは、常に 舌や口蓋垂に強い力が加えられているために、口蓋垂は、常時 下がった状態になっているのです。ということは、常時 鼻音化の発音をする状態になっているという訳です。
❹GAの音声変化は、私たち日本人からすれば、彼らが音声を変化させて発音しているのだと考えるのが一般的ですが、実は、彼らは普通に発音しているのです。普通に発音しているのだけれども、舌の形状が影響して音声が自然に変化しているのです。
❺舌の形状を緩やかなⅤ字の形状にしておいて「ツ」と言ってみて下さい。「チュ」のような発音になります。
舌を緩やかなⅤ字型にするには、舌を喉の奥に引き込むような感じにする、あるいは、舌を強い力で口腔の奥部に引くようにすれば、自然に舌の形状は緩やかなⅤ字形になります。
舌に強い力を込めることができない人は、下の前歯を前に突き出すようにすれば、舌は緩やかなⅤ字型になります。
❻舌を緩やかなⅤ字形にすることがGAの発音の基準になっています。この基準となる発音の構えこそ、GAの曖昧母音の発音の構えなのです。だからストレス(アクセント)の無い母音は、曖昧母音を多用して発音全体を滑らかにしているのです。
GAの音声の特徴は以上です。
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