Assetto Corsa EVOアーリーアクセス版をプレイした感想 ※2025/1/19記述、1/20最終更新
こんにちは。こんばんは。田中です。
ついに"Assetto Corsa EVO"アーリーアクセス版が出ましたね。
私も早速購入し2日間ほど走り込みましたが、全体的な感想としてはかなり面白いです。
しかし、アーリーアクセス故に調整不足が目立つのも事実で、厳しい目で見れば痒い所が沢山あります。
というわけで、今回は、1月19日時点(Ver.0.1.2)の素直な感想を述べていきたいと思います。
PCの要求スペックについて
公式で発表されている推奨環境は以下の通りなんですが、これ以上のスペックでMODモリモリに魔改造した激重なAssettoCorsa無印(以下AC)を問題なく動かせるレベルのPCでもまともに動かない、動作は問題ないが走行中にFPSが出ないとお困りのユーザーが多発しているようです。
OS: Windows 10 64-bit / Windows 11 64-bit
プロセッサー: Intel i5 10500 / AMD 2600X
メモリー: 16 GB RAM
グラフィック: RTX 2070, Radeon RX 5600
DirectX: Version 12
ネットワーク: ブロードバンドインターネット接続
ストレージ: 100 GB の空き容量
サウンドカード: Integrated
VRサポート: SteamVR, Oculus VR, OpenXR
追記事項: SSD required
実際に私のフレンドさんには、intel9世代+RTX2070という少なくとも最低環境はクリアしている構成で、メニュー画面すらまともに動かないという方がいらっしゃいました。動作が重すぎてグラフィック設定をLOWに変更する作業だけで数分かかるといった有様だそうで、勿論走行もままならないとのこと。
ただ、Ryzen9 3900X+RTX2080superの構成で、グラフィック設定MEDIUMで問題なく動作したというフレンドさんもいたので、単純に構成が問題というわけでもなさそうです。
Xでの情報を見ると、BTOで組んだRTX3070構成のPCでもFPSが40も出ない、そもそも起動しても画面がブラックアウトしたまま、といった情報がありました。
また、AssettoCorsaの公式Discordサーバーには、動作の重たさに対する海外ユーザーの悲痛な叫びがかなりの頻度で書き込まれています。
私も色々な情報を集めていますが、具体的な解決策・改善策を見つけている方はいなさそうなのが現状です。
最適化がまだできていない、というところでしょうかね。
アーリーアクセス特有のトラブルで片づけてしまうとそれで終わってしまうのですが、プレイできない人が多いとメーカー側としてもフィードバックが貰えないので、ここは早急に改善してほしいところですね。
ちなみに、私のPCはi7-13700KF+RTX4070Tiの構成でプレイしており、起動や終了、ロード時にゲームの重たさを感じる瞬間はありますが、今のところ全く問題なくストレスフリーで動作しています。
FPSは計測していませんが、グラフィック設定をULTRAにしても肉眼でフレーム落ちは感じない程度には走行可能です。
バグらしいバグにも今のところ遭遇していません。
ただ、レースモードをまだ試していないので、台数が増えた時の処理がどうなのかが気になるところではあります。
既にレースをプレイされている方の中には、レースモードでFPSがガタ落ちしたという報告がいくつかあがっています。
システムについて
基本的なシステムに関してはAssetto Corsa Competizione(以下ACC)を踏襲しており、使用できる機能や設定はACCとほぼ同じです。
UIはかなり現代的でシンプルな装いに変わり、個人的には見やすくて大変満足です。
ACはプレイ済みでACCは未プレイという方は、メインメニューに戻ることなく、コース内でFFB設定やキーコンフィグを即変更することが出来ることに感動するかもしれません。
グラフィックについて
色調に関してはやはりACCと似ています。
グラフィックの美麗さ(曖昧で失礼)は、この時代における及第点をクリアしているとは思いますが、ACの最高画質+SolやPureを導入したグラフィックには明確に劣りますし、GT7と比較してもかなりのレベル差を感じます。
また、現時点ではReshade等の外部エフェクトツールの使用可否や、これからACのように有志によるグラフィックMODがリリースされるのかは不明です。
ACを買う方は挙動に拘りを持って購入される方が多い傾向にあると思っているので、グラフィックが買わない理由にはならないと信じていますが、少なくとも現時点ではそういった要素を期待しているとがっかりするかもしれません。
挙動について
足回り
足回りの動きに関しては、ACに比べて段違いに良いです。
ACは全体的にサスペンションが動きすぎる傾向にあり、特に重心が高めで柔らかい車は平地での走行でもピッチ・ロールによってフルバンプしがちです。
その点、EVOはダンパーの演算が絶妙で、初期減衰がしっかりしているので柔らかいセッティングでもコシがあり、衝撃はしっかり吸収しつつ踏ん張りが効いていて、安全なポイントで確実にロールが止まるようになっています。
ただ、明確な問題点もあります。足回りの問題なのか、FFB設定の問題なのか分かりませんが、どの車もカウンター方向のセルフステアが信じられないくらい弱いです。→FFB設定に問題がありました。セルフカウンターステア優先の設定に変更したらこの程度は出来るようになりました。ただ、この設定だとステアリングセンター付近(切り始めや切り返し時)のグリップ感を感じにくいため、私はこれでグリップ走行はしたくないです。
→ドリフト、グリップ問わず使用可能なFFB設定が見つかりましたので近日中に公開致します。
タイヤ
タイヤシミュレーションは恐らくACCのそれを流用し、ピッチ・ロールの大きい市販車向けにアレンジしているかなという印象を受けました。
個人的な感想は、グリップ走行に限定するのであれば感触は相当良いと思いました。
個人的に、純正ACやACCの挙動は、ステアリングを切った時の手応えは強めなのに、車が滑り出す時のステアリングセンター付近の微細なセルフステアの動きが変に減衰されていて挙動変化が掴みづらいと感じていて、ステアリングから伝わってくる情報を直感的にアンダー・オーバーステアへの対処の材料にすることができないのが納得できないポイントでした。
それは私がACでMODを作るきっかけになった理由でもあり、今もACでMODを制作するときに大事にしていることでもあります。
その点、EVOは全体的にターンインの入力時のステアリングからの様々な情報が何を示唆しているのかが分かりやすく、アンダー・オーバーステアの予兆を早い段階で掴むことが出来るため、より直感的にゼロ~微カウンターで旋回姿勢を整えつつアクセルを入れて、車を前に進めていくのが容易になっていると感じました。
また、ACやACCと比較してテールスライドが起きた際にリアの粘りが強く感じられ、スポーツタイプの国産市販車やストリートカーが履いているハイグリップセミスリックorラジアルタイヤにより近い感覚でドライブが出来るようになった印象です。
ただ、その粘り感は、どうも横方向のスリップに対する抵抗を強くすることで演出しているようで、スリップした際の失速感が強すぎるのと、戻ろうとする力も強すぎる印象を受けました。
ロールオーバーからカウンターを当てて空転を維持させたまま浅い角度のドリフトでコーナーをクリアしようとしても、パワーが異常に食われてしまい姿勢を維持できず、かなりの確率でお釣りを頂いてしまいます。
また、その粘りも、ある一定のスリップアングルを超えると唐突に無くなり、一気にスピンモードに入ります。
上記の特性がタイヤの銘柄に関わらず、低速高速に関わらず出現する故、現時点で収録されている車種の性質も合わせて現時点ではEVOでドリフトが楽しめるとは言い難いです。
グリップでの限界走行中に自然発生的に起こるゼロカウンターに近いドリフトや、サイドブレーキで角度を決めてからのドリフト、高いスピードからフロントもリアも思いっきり流すような慣性ドリフトであれば、ゲーム的にコツさえつかめばそこまで難しくはないですが、低速での定常円旋回や8の字、卍といった一定のアクセルワークで過空転と角度を維持し続けるような、実車であれば初歩的な技術を簡単に実現することができません。
こちらの動画のような走らせ方が難しいです。
同じ要領で、ジムカーナにおけるサイドターンとかも難易度は高そうですね。
動力性能
各車の動力性能の調整は、現時点ではかなりテキトーです。
私が乗った車両はアバルト695、ジュリア、A110 S、ZL1カマロ、296GTB、S2000、NDロードスター、GR86ですが、どれも本来の性能から考えるとストレートの伸びが異常です。
例えば、GR86の実車はスピードリミッターを解除すると鈴鹿本コースのホームストレートエンドでメーター読み200km/hを少し超える程度らしいのですが、現時点では収録されている鈴鹿東コースの走行で若干マージンを持って1コーナーへの減速を始めたにも関わらず、速度は215km/hに達していました(ボルトオンターボでも付いてるんですかね?)。
NDロードスターも同じくらい出ていましたし、A110 SやZL1は250km/h、296GTBに至っては310km/hも出ていました(全て吊るし状態での走行)。
ただ、まだアーリーアクセス版ですし、いずれ確実に調整されるでしょうから、現時点ではこれはこれで楽しむのもアリと思っています(単純に速い車好き)。
ブレーキ
ブレーキというよりABSについてですが、制御入り方やFFB表現がACCとほぼ同じです。
ACと比べると、かなり制御は大雑把(むしろ、ACのABSが有り得ないほど優秀すぎるといったほうが正しいかも…)です。
それから、自分が搭乗した車両たちは全車サイドブレーキが効きすぎで、エンジンブレーキがほとんど効いていないのが気になりました。
FFB設定について
現時点では、一部のハンコンを使用すると、環境によってはデバイスとして認識しているにも関わらずFFBが出力されないトラブルがあるようです。
私が確認したところ、ロジクール社製のG27・G29・G923、スラストマスター社製のT248の製品を使用しているユーザーの報告が多いようです。
また、初期のFFB設定はかなりテキトーですので、コースインして数周はFFB設定に時間をかける必要があります。
シミュレーターをプレイするにあたってはタイトルに関わらず必要な作業ではありますが、現代のしっかりデバッグが成された親切なゲームに慣れ親しんでいるユーザーの方にとってはもどかしいポイントだと思いますので、初めに忠告しておきます。
一応、AC EVO公式ホームページにゲーム内設定及び各メーカーのハンコン本体側の推奨設定が書いてありましたので、引用にて抜粋いたします。
ゲーム内設定
Fanatec
Fanatec社製のホイールベースはFFBトルク強度を7Nm前後を基準に、必要に応じてハンコンのドライバーかゲーム内設定のGainを上げ下げすることを推奨しています。
MOZA
MOZA社製のホイールベースはFFBトルク強度の基準を8Nmとしています。
FFBトルク強度の調整方法は、増加させたい場合はハンコンのドライバー、減少させたい場合はゲーム内設定のGainで調整し、更にMechanical Springを100、Center Damperを0、その他の項目を100にすることを推奨しています。
Simucube
Simcube社製のホイールベースはFFBトルク強度の基準が8Nmで、FFBトルク強度の調整方法は、増加したい場合はドライバー側、減少させたい場合はゲーム内設定で調整することを推奨しています。
SIMAGIC
SIMAGIC社製のホイールベースはFFBトルク強度の基準が8Nmで、トルク強度の調整方法はMOZAと同じ手法を推奨しています。
Logitech
こちらはPRO Racing Wheelの推奨設定です。
FFBトルク強度の調整方法はSIMAGICと同様です。
CAMMUS
こちらは公式の推奨設定ではなく、現在私が使用しているCAMMUS DDWB2021の現時点(2025/1/19)の設定です。
同じハンコンを使用していて設定にお困りの方は、こちらの設定を試してみてください。
グリップ走行に限定するのであれば、この設定で十分楽しめると思います。
まだNatural DamperやNatural Inertia、Springの調整をする必要があると感じているので、煮詰まったらまた更新していこうと思っています。
総評
まだアーリーアクセス版ということもあり、現時点ではまだバグが多く、いきなりコースインして満足に走れるような初期設定でないためとっつきにくさはあります。
ただ、グリップ走行に限定すれば挙動に関しては現時点で既にACやACCと比べて、かなり良い方向に進化しています。
このまま順当に煮詰まっていけばこれらの作品よりも楽しめる、購入する価値のある製品になりそうな予感はあります。
ただ、ACで主にドリフトをされている方は、現時点のEVOに移行しても満足いくことはないでしょう。
今後MODフレンドリーなソフトになるのかどうかは不明ですが、個人的にはそういったコンテンツが揃ってきてからのプレイでも遅くはないのかなと思います。