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投資銀行のスキルを学びたい方へのオススメ本

投資銀行でのキャリアアップを目指す方や、それに類するM&Aやバリュエーション関連のスキルを学びたい方向けに。

投資銀行は職人芸(これをカタカナで言うと『プロフェッショナル』です)の世界なので、ハードスキルだったり専門知識だったり業界の過去事例だったりがかなり物を言う仕事です。

その意味で、広く浅く総合的な人間力がものをいう商社とはある意味対局にある世界とも感じています。

いわゆるT字スキルの横幅が求められる商社に対して、縦軸の深さがものをいうのが投資銀行というイメージでしょうか。

ハードスキルは努力でなんとかキャッチアップできるものでもあります。そしてその第一歩は書籍からの吸収ではないでしょうか。というわけで今回は、私が投資銀行時代に読んだ中で有用だったなと思う本をご紹介します。

Investment Banking: Valuation, Leveraged Buyouts, and Mergers and Acquisitions

↑ こちらは投資銀行を目指すアメリカの大学生がだいたい読む必携本。バンカーの視点でより実務的な観点から書かれており、これを読めばひとまず全体像はつかめるのではないかと思います。洋書です。

企業価値評価 第6版[上]―――バリュエーションの理論と実践

↑ マッキンゼーのコンサルタント陣による著作。バリュエーションの理論を基礎からしっかり学びたい人向けの正統派。これをしっかり読めば、投資銀行マンとして恥ずかしくないレベルの理論は体系的に習得できるはず。下巻はもっと各論だったり実務的にニッチなところまで踏み込む印象なので、私は上巻しか買っていません。

MBAバリュエーション (日経BP実戦MBA2)

↑ これも定番。マッキンゼーの本に比べるとかなり入門編です。初心者にも入りやすく書かれているので、バリュエーションの全体像をクイックにざっと学ぶのに適した良書。タイトルに「MBA」とあるものの、べつにMBA関係ないです。

バリュエーションの教科書―企業価値・M&Aの本質と実務

↑ これは個人的にはとっても気に入っている名著。前述のオレンジ本などで基本の「型」をとりあえず頭にいれたうえで改めて本書を読むと、「なるほどそういうこなのとか!」と目から鱗なトピックも多々。

日本のM&A 理論と事例研究

↑ かつて日本のゴールドマンサックスでM&Aを率いた服部氏の著作の一つ。インベストメントバンカー上がりで現在は大学教授ということもあり、教科書っぽいテイストの中にも実例も豊富に盛り込まれていて勉強になります。特に他のM&A書籍と比べてスキームの比較が詳細かつわかりやすく書かれている印象。

コーポレートファイナンス実践講座

↑ 少し趣向を変えて、コーポレートファイナンス全般について学びなおしたい人にとって良書だと思います。経営者や企業のファイナンス担当者向けに、お堅い金融理論を実務的な観点からかみ砕いて解説しているのでとてもわかりやすい内容になっています。

MBAチャレンジ 金融・財務

↑ もう一つ、これもお気に入りのコーポレートファイナンスの良書。執筆陣も豪華な顔ぶれです。こちらは「MBA」と冠しているだけあって、直近トレンドになっている経営トピックにフォーカスした章だてになっているので読んでいて面白いです。たとえば「ROE」という切り口で1つの章になっていたり、「グローバルファイナンス」や「データ分析」、「フィデユーシャリーデューティー」などにもフォーカス。

外資系金融のExcel作成術: 表の見せ方&財務モデルの組み方

↑ モルスタの先輩による著書。投資銀行の基本スキルセットであるモデリングのテクニカルな技法をまとめたもの。財務モデルはただ数式やロジックが正しければいいというものではなく、実は様々なお作法があって、まずパッと見てそれらができていないと瞬時に「素人」による作品と見做されます。プロフェッショナルたるもの、細部まで徹底的にこだわるべし。加えて、ショートカットはじめ作業を効率化する方法も紹介されています。いまでこそ投資銀行の世界も働き方改革が浸透しつつありますが、かつては徹夜あたりまえの世界だったので、1分でも多く睡眠時間を確保するための工夫はとても重要でした。

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