コツがクセに変わる時
道具の進化・変化
道具は進化する。テニスはウッドラケットからメタルラケットに代わり、カーボンラケットへ進化した。ゴルフもパーシモンのウッドドライバーからメタル、チタン、そして一部カーボンへとした。
ITはどうかといえば、昔はソースコードをvimやEmacsなどテキストエディタで書いていたが、Eclipseで書くようになり、PyCharmやWebStormなどで書くようになった。システムも高価なWorkstationを買う時代からAWSやGCPなどでSaaS、PaaS、IaaSなどとしてリソースやを切り売りされているものを利用するようになった。
道具の進化や変化とともに変わらないもの、変わるもの
道具がいくら進化しようがそれを使用する人間の骨格や筋肉、知能が変わる訳ではない。ルールも変わらなければ、ITで求められる要望が変わることもない。
その一方で道具が変わるとゴールや勝利への到達方法がガラッと変わる。テニスはストリングとフレームの材質の変化により、ボールに力を伝えなくても力強いスピードのある球を打てるようになった。結果、力よりも俊敏性・予想力が求められるようになったのである。
ゴルフはルールで定められた限界の反発係数のフェースが開発された。結果、インパクト時に腕を返すといった工夫をしなくてもボールに力が伝わり、人は方向性に集中すべきとなった。このような現象ははITでも同じであり、IDEによりデバッグがより簡易になればその分をUnitTestのコードの記述など、より堅牢性に時間を使うつ必要が求められ、短時間であれば大量のリソースを使えるのであれば、処理の並列性とその集約の設計を求められるようになったのである。
コツがクセに変わる時
昔はゴルフボールに力を伝えるために、インパクト時にコックを解くと言うより意図的に手を返した。テニスはスクエアスタンスで構えてボールに力を伝えるために体重移動を行った。
もちろんこれらのコツは今でも有効である。しかしゴルフではタイミングが狂えばボールは左に大きくフックしOBになる。テニスは道具によってスピードアップしたボールについていけず、アンフォースとエラーとなる。そのため今に適した打ち方・道具の使い方が発明され、それが普及し、結果今までのコツの一部はそれがいかに重要であったとしても、今はクセとして指摘され、強制される。道具は日進月歩で進化する。これは何かをトレードオフで優しくしていくのだ。それと同時に今までは道具を使うコツだったことがクセに変わっていくのである。
アンラーンの必要性
「Unlearn」と言う本がある。実は積み本でまだ読んでもない。ただ、多分自分の今想定していることが大体抱えているのだろうと思いながら読書リストの待ち行列に入っている。
繰り返しになるが、道具が変わると全てが変わる訳ではない。人間の骨格が変わる訳ではない。ルールが変わる訳ではない。ただ、変わった道具の特性を活かして、変わらない道具より多くのアドバンテージを持ってゴールに近づく、勝負に勝つには新しい道具を使用した戦略・戦術を用いないといけないのである。
まとめ
時代とともにより優しく、より便利になるよう道具は進化する。一方ゴールやルールはそうそう変わるものではない。いくら道具が進化してもそれを使う人が新しい道具に合わせられないのであれば、新しい道具を使用したプロセスには進化が生まれなければ、新しい道具を使用することがアドバンテージになることもない。むしろ新しい道具を使うことがディスアドバンテージになることもある。
道具が進化するのであれば、それを使用する人は必要に応じてアンラーンしなければならないと言うことを肝に命じなければならない。
One more thing
人か道具が変わっても、それを活かすことのできない古びた風習や価値観を押し付けるようになったのであれば、その人のことは老害と呼ばざるを得ないだろう。
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