Chromatic Words

「俺たちと戦おう 勝利を信じて」「俺達がついてるぞ」

などというが、内心戦っているのはフィールドの戦士達だと信じて止まない。

だだっ広い長方形の上でひたすらチャンスを伺いボールを回し、ゴールへ叩き込む。

その為に何度も陣形を組み直し、流通経路を確保し、時には相手を潰す事さえある。

そしてとんでもない距離から放たれる芸術的な放物線が、そのままネット内に収まる事もあれば、

ルールに寄って定められた戦士達全員を総動員しても、梨の礫でいなされるということも珍しくない。

その試行錯誤・移り変わりが絶え間なく続く、息を呑む濃密な90分。

だけど、そんな90分をやっぱり「共に戦ってしまう」のは止められない。

相手の一撃がゴールを襲うと、銃弾が頬を掠めたような恐ろしさを覚えるし、

味方の選手が潰されれば、大切にしていたものに傷をつけられた時のように

怒号が出処を求めてフライングしていく。

「俺達」は「言葉」を発する。

この言葉が、味方の力や勝利に貢献するように。

この一発が故郷を飾る花火のようになるために。

この言葉が街を代表する名物になるように。

この勝利が生活を明るく照らす街の誇りになるように。

そして、今まさに眼前で行われているこの試合を色付けるために。

声に出して、手を伸ばして、繰り返し何度だって叫ぶ。

色づいた言葉で、戦いを染めゆく。

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